国民一人一人の夢を実現できる社会を実現したい

江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

文字サイズ
Home  > コラム  > 今週の直言  >  麻生氏に総理・総裁の資格はあるか?・・・自民党総裁選

カテゴリー月別

麻生氏に総理・総裁の資格はあるか?・・・自民党総裁選

2007年9月17日  tag:

 自民党総裁選が告示され、「福田vs麻生」の一騎打ちになった。人材豊富?な自民党のこと、もっと多くの候補者が出て侃々諤々の討論をし、「この国のかたち」を論じてもらいたいと思っていただけに残念だ。

 それに加え、いやしくも政権与党のトップの座を争おうかという総裁選、すなわち、選ばれれば即総理を意味するこの選挙に、麻生太郎氏という政治家が一方の雄として座している以上、彼にはどうしても答えていただきたい「5つの疑問」が、私にはある。

 まず第一に、麻生氏と言えば、小泉政権になって急に重用され、01年4月から今日まで、自民党政調会長、総務大臣、外務大臣、幹事長と要職を歴任してきた。にもかかわらず、これだけの責任あるポストと権限、時間を与えられてきて、一体、国民の心に残る実績を一つでも残してきたと言うのだろうか。

 第二に、今回の総裁選で、麻生氏は「福田氏擁立は派閥談合」と口を極めて非難している。しかし、そもそも、「麻生人事」と言われた先の組閣、党人事で、用意周到に各派閥に布石を打ち、自らの総裁選出馬のための環境整備をしたのは誰だったのか。その思惑が福田氏立候補で崩れたからと言って、手のひらを返すように派閥批判をするのは、私利私欲のためのご都合主義と言われてもしょうがないのではないか。

 内閣改造後の幹事長就任記者会見でも「(小泉元首相により)ぶっ壊れた自民党を元に戻す」と発言したのではなかったのか。小派閥で他の有力派閥に頼らざるを得なかった麻生氏が、今さらそんなことを言っても国民には見透かされるだろう。

 第三に、霞ヶ関を本当に御していけるのか。麻生氏の霞ヶ関内の評判はすこぶる良い。私も昔、霞ヶ関にいた関係から、各省の評判(特に麻生氏が在任した総務省、外務省)を直接聞いているが、手放しの褒めようだ。その理由は「官僚の言うことをよく聞いてくれる」「我が省の省益を実によく他省に主張してくれる」等といったものだ。霞ヶ関にとっては「頼りになる兄貴分」といったところだろう。

 こういうところから、私が指摘した「自衛隊補給のイラク戦争への転用疑惑」も、9/14に放送された「報道ステーション」で、米国言いなりの外務官僚の説明を鵜呑みにし「HPは既に削除され、米国防総省も否定した」と事実無根と斬って捨てた。こんな説明で納得する国民が何人いることだろう。

 外務官僚といえば、この問題で、そのトップたる事務次官が「パキスタン船への油は高品質の必要があり(他国ではなく)自衛隊の補給しかあり得ない」との記者会見を既に行っている。その後すぐに自衛隊幹部に否定され、私が入手している情報からも、自衛隊が補給している油は米国を含むNATO共用の油であり、この次官の説明がシーファー米大使を含む米国の説明を鵜呑みにした「大嘘」であったことは明らかであろう。

 第四に、この人には、人の心の痛みが本当にわかるのかという疑念が消えない。過去には、参院選応援での講演で、日本の農産物輸出に関し「78,000円と16,000円はどっちが高いか。アルツハイマーの人でも分かる」とアルツハイマーで苦しむ人たちを馬鹿にするような発言をした。政調会長時代には「創氏改名は朝鮮の人たちが望んで始まった」という趣旨の発言をした。

 最後に、麻生氏には、私が総理秘書官として仕えた橋本政権で、経済企画庁長官(96年11月~97年9月)をやっていただいた。が、私には何をした長官なのか、失礼ながら、まったく存在感がなかった。そればかりではない。「9兆円の負担増」と経済失政(注)の烙印を押され、その責任を一身に背負って退陣し、失意の内に亡くなった橋本龍太郎氏にとってみれば、その一義的責任は「経済政策の元締め・麻生太郎氏だ」との思いが強かったことだろう。

 もちろん、国民に対し、最終的な責任を負うのは総理であり、私もその側近であったのだから責任は免れないと思っている(私は政権終了後すべての職を辞した)。しかし、この失政の責任が麻生氏の文脈で語られてこなかったことは極めて不自然なことなのだ。

 麻生氏は、たしかに「陽気で話が面白い」「おたくの気持ちもわかる」政治家なのかもしれない。しかし、このような人物を担がざるを得ないというところに、いよいよ自民党の人材も払底したということなのだろうか。

「9兆円の負担増」と経済失政(注)
 9兆円の負担増とは、97年4月からの消費税アップ(3%→5%)で5兆円、それまで時限的に3年間続いた特別減税の廃止で2兆円、医療保険の患者本人負担増(1割→2割負担)で2兆円、あわせて9兆円の負担増のこと。これが経済失速を招き、不況の引き金を引いたと、当時批判された。

 私は必ずしもこの説明に同意するものではないが、いずれにせよ、これら負担増が経済にどう影響するか等の分析と経済政策全般の取りまとめは、一義的には当時の経済企画庁が行っており、そのトップたる大臣の責任は免れない。

臨時国会、安倍首相退陣へ
思考停止するな!・・・国際貢献・日米同盟を巡って