世間の常識を国会に!・・・いよいよ参院選
2007年7月17日 tag:
この参院選は、「世間の常識」を国会に! 世間の言葉が永田町にも通じる、当たり前の国会へと踏み出す第一歩の選挙としたい。そういう観点から、安倍自民党、小沢民主党に対し、批判だけではなく、建設的な提案もしたい。
まず、その前提として、今回の選挙も、無党派層の動向がカギを握ると思うが、その心をつかめるかどうかは、その政党、政治家が「国民の側にたっている」と見られるかどうかだ。
何だかんだ言っても、あの小泉前首相が最後まで支持率50%台を維持できたのは、郵政解散の時の「国民に聞いてみよう」発言に代表されるように、時々ミスもし飛んでもない発言もするが、国民が基本的に「小泉さんは国民の側に立っている」と思わされたからだ。「抵抗勢力」の設定等にたくみにだまされた感もなきしもあらずだが、少なくとも国民にはそうみえた。
しかし、安倍自民党はどうであろう。赤城農相や松岡前農相の「政治とカネ」の問題では、「法律に則っている」「ルールに従って」等々、まったく言い訳にもならない言辞を繰り返す。そもそも事務所費等は、年度間でも議員間でも比較的変動が少ない経費で、民間では一円単位で公開するのが常識だ。
「政治とカネ」の問題は、国民の生活には直接関係しないが、その政党や政治家を信用できるかどうかの根本にかかわる問題であり、大きく安倍自民党に影を落としている。こんな簡単なことにすらケジメがつけられない政党や候補者が、どんな立派なこと、きれいごとを言っても信用されないだろう。
したがって、全議員がどうしても無理というなら(信じがたいが)、閣僚には、平議員と違って、その職務の廉潔性から、株取引や資金パーティーの自粛等特別の上乗せ規制がかけられているのだから、閣議決定(了解)をして、閣僚だけ、一円単位で公開させれば良いだろう。それさえできないと言うなら、余程、「やばい経費」を計上しているとしか判断できない。
安倍自民党、というか安倍官邸の問題としては、この「政治とカネ」や「年金記録」への一連の首相の対応から、「官邸の危機管理能力」は一体どうなっているのかという疑念を生ぜしめたことだ。
自殺までした大臣の後任の大臣が、「身体検査」不足で、同じスキャンダルにまみれる。年金記録の問題では、5000万件の「宙に浮いた年金」のことを安倍首相が知ったのが昨年暮れだったのにかかわらず、何ら対策を講ぜず、今年2月の予算委員会での野党の追及にも「国民の年金不安をあおる」と取り合わなかった。
この初動(事の重大性の認識や判断能力のなさ)が問題とされているのだ。5月になり、支持率が急落し、マスコミが大きく取り上げるようになって初めて、あたふたと急造りの対策を打ち上げたため、いくら「最後の一人まで給付」といってもなかなか国民に信用されない。
これでは、北朝鮮の核・ミサイルや大地震時の対応等をめぐって、国民の生命・財産は本当に守られるのか、今の官邸は情報疎外されているのではないか、この根元的な問いかけに安倍内閣が応えるためには、「われがわれが」の功名心旺盛な政治家補佐官を全員更迭し、本当の有識者で回りを固める、霞ヶ関から浮いた存在の官房副長官(官邸の事務方の長・官僚出身)を差し替える等の荒療治が必要だ。首相補佐官の位置づけも、各種戦略会議の事務局長とし、権限、役割をはっきりさせることだ。
小沢民主党の問題は、なぜ、安倍内閣が、安倍自民党が支持率を減らしているのに、それに呼応して民主党の支持率が上がらないのか、に尽きる。小沢一郎党首そのものが大きな要因の一つだ。国会をすっとばかして、選挙のために一人区の全国行脚に勤しむ。そして、旧来の業界、労組の締め付け選挙を展開する。小沢氏の「旧い」「昔の自民党のしがらみを代表する」「表より裏の人」等のイメージを払拭しきれていないのだ。
私の周りには、「過半数をとれなければ政界も引退する」といった発言に対しても、「民主党に入れようと思っていたが、それなら民主党には入れない」という声すらある。退任を期待する声があることにも、謙虚に耳を傾けるべきであろう。
民主党は、政策的にも、農業の戸別所得補償(1兆円)や高速道路の無料化(1.5兆円)、公立高校の無償化(0.3兆円)等に象徴されるように、再び「大きな政府」「バラマキ」に回帰するのではないか、との懸念が強い。いくら当面の財源策を示しても、政策を一旦方向付けすれば、そのコストは将来、想定以上に膨らんでいく。
「格差是正」とか「弱者保護」と叫ぶのはいいが、これでは、特に都会の無党派層には敬遠されるだろう。郵政解散以来の「都市部に弱い民主党」を脱却できないのではないか。
いずれにせよ、選挙まであと二週間だ。両二大政党が、これら懸念材料をどう解消していくのか、あるいは結局できないのか。梅雨あけの、最初の週末、夏休み真っ最中の投票日、その投票率も気になるところだが、選挙後は、緊張感をもって、国民本位に、「世間の言葉で語れる国会」にしたいものだ。
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