社保庁ポンコツ年金システム・・・ただいま刷新中
2007年7月 9日 tag:
社保庁のオンラインシステムが、「レガシーシステム」という旧式ポンコツシステムで、それが年金記録の確認、統合作業にも影響を与えているということで、政府に質問主意書を提出していたが、その回答が先週末返ってきた。案の定、いくつかの新しい問題点が判明した。
レガシーシステムとは、聞き慣れない用語だと思うが、要は、最近の主流である「オープンシステム」に対する言葉で、大型のホストコンピューターを専用の回線で端末と結ぶ、極めて特別仕様の、互換性や汎用性のないシステムのことを言う。最近ではパソコンやインターネットでオープンにデータの処理や更新ができる「オープンシステム」に移行している。
まず、第一の問題は、この膨大かつ重要なシステムにバックアップがないということだ。これでは、地震、火災等で被災すれば、すべての年金記録、給付システム等の機能が麻痺する。政府答弁でも「社会保険オンラインシステムは、被災等の際に代替可能なシステムを有していない」と認めた。ただ、「被災等による被保険者や受給権者等の記録の滅失を防ぐため、オンライン処理の稼働時間終了後にバックアップデータを作成し、遠隔地に保管している」そうだ。
第二に、なぜ、24時間電話相談に応じているのに、システムは24時間稼働できないのかもわかった。データ処理が極めて原始的なのだ。答弁書によると「社会保険オンラインシステムについては、現在、オンライン処理と、オンライン処理以外で使用する他のデータベースへの当該更新情報の記録とが同時に実施できないシステムとなっており、オンライン処理の稼働時間終了後に1日ごとに社会保険オンラインシステムを停止して、当該更新情報の記録を行っている」からだそうだ。これでは「現行の社会保険オンラインシステムの24時間稼働可能なシステムへの移行には、システムの全面的な見直しが必要となる」わけである。
そして、これだけの有数なシステムを管理、運用しながら、社保庁にはシステムエンジニアーが一人もいないことも判明した。すべて、ベンダー(NTTデータ、日立等)任せだから、年間1000億円以上という割高なシステム経費も平気で税金でかけられる。チェック機能が働いていないのだ。それどころか、社保庁からの天下り官僚が十数人、ベンダーに天下っていた事実も明らかになっている。
という反省?もあって、現在、社保庁では、この5000万件の問題とは別に、システムの刷新計画が進行している。そして、これが完成する暁(平成23年度)には、年間300億円程度の経費が削減可能となるという。遅きに失したと言うべきか。
ただ、これらの問題は、与野党の政争の的にすべきではない。国民の年金不安を解消するために、お互い知恵を出し合って、政府の打ち出した対策の中味を国民本位につめていくべきであろう。そして、それに要する莫大な費用は、社保庁の重大なミス(過失)で起こった事態なのだから、歴代社保庁長官の退職金や現職職員の給与の一部返上、保険料で建てた豪華庁舎や官舎の売却等で賄っていくのが筋であろう。
しかし政府は、今、この費用を税金、すなわち、国民の負担で尻ぬぐいさせようとしている。その額についても、その影響をおもんばかってなかなか明らかにしない。とんでもないことだ。この責任問題、費用弁償の問題は、私は既に安倍首相にも突きつけ、その直後に首相や社保庁職員の「夏のボーナス返上」までこぎ着けたが、これではまだまだ足りない(全職員返上でも10億円)のだ。今後とも、しっかり、この問題を追及していきたい。
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