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江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

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ひたすら政争国会・・・宙に浮いた年金記録

2007年6月11日  tag:

 5月31日深夜、私はひたすら暗い気持ちに沈んでいた。これが「選良」といわれる国会議員のやることか。いつものことだが与野党とも、「消えた年金記録」をめぐって、不毛な政争を続けていた。

 その日の昼から、延々と、かつ断続的に、本体の法案そっちのけで、年金関係法案を強行採決した厚生労働委員長、議院運営委員長、厚生労働大臣の不信任決議案が審議されていたのである。

 私と言えば、いつもように、議員としての本会議出席義務は果たし、与野党の討議内容を聴いた上で、「こんな国民不在の政争には与しない」との強い意思表示を込めて、乱発される不信任決議案への記名投票(堂々巡り)を棄権(退席)した。

 私の議席番号は一番で、「指名点呼」では最初に呼ばれて壇上で投票する役回りなので目立った。案の定、後刻、数名の議員が「相変わらずだな」といった表情で私に話しかけてきた。そして、すべての不信任決議案が、筋書きどおり否決された後、本来の「社保庁解体法案」と「年金時効特例法案」の審議に入ったのが、その日の深夜だったのである。

 私は、その記名投票にはもちろん参加し、「社保庁解体法案」には反対、「年金時効特例法案」には賛成票を投じた。これも全衆議院議員中、たった一人の投票行動だった。なぜなら、与党議員は全員、両案ともに賛成、野党議員は全員、両案ともに反対だったからだ。しかし、私の投票行動こそ、真に国民本位の立場に立ったものと自負している。

 なぜ私が政府案の「社保庁解体法案」に反対したか。理由は簡単で、今の社保庁を単に看板の書き換えで独立行政法人化し、身分を非公務員にしたからといって、その「どうしようもない体質・組織文化」が変わるとは思えないからだ。民営化といっても、保険料徴収事務自体は独占なので、通常、そのメリットとされる競争による切磋琢磨もない。

 その点、民主党案、いや、私が、10年前の中央省庁再編時から主張していた「国税庁との統合で歳入庁とする」案の方が、組織に「税徴収のノウハウ」という新しい血を入れ、異文化を有する組織と融合することで体質改善するのにはベターだと考えるからである。税との同時徴収で国民の納付負担も軽減するというメリットもある。さらに、反射的効果で、巨大権力官庁・財務省が、これまで対政治、対霞ヶ関、対国民で、陰に陽にその影響力を駆使してきた国税庁を、財務省から分離することにもなる(歳入庁は内閣府に属する)。

 「年金時効特例法案」については、もちろん、これだけで今回の「宙に浮いた年金記録」問題に対処できるものではない。また、社保庁(国)側の一方的過失で、国民の側の年金受給権(請求権)が時効にかかるとするのも如何にも不当だ。

 しかし、かといって、社保庁の今後の運用や裁判所の判決をしばるという意味で、この法案自体には反対しようがない。野党の強行採決批判も分からないではないが、今、この瞬間も年金受給だけで暮らしている人たちを救うためには、一刻も早く通さなければならない法案だ。与野党の場外乱闘はいくらでもやればいいが、場内(国会)では、常に国民本位で、必要な法案の審議、成立を図るのが国会議員の責務であろう。 

 今回の「宙に浮いた年金記録」がここまで明らかになったのは、民主党、いや、長妻昭議員ら一部の議員の奮闘結果で、率直に評価されるべきであろう。安倍政権も、政府も、一年前から提起されていたこの問題に真面目に対応しようとしなかった。メディアに取り上げられ世論が沸騰してからやっと重い腰をあげた。そこに世間の「信用できない」との疑念も根強い。

 ただ、問題化した後の「鬼の首をとったかのような」民主党の態度も気にくわない。年金記録の突合作業の目処、期限を示せと政府に迫っておきながら、政府が一転「一年」を目処とすると、今度は「それでできるわけがない」と批判する。できるかできないかは、できなかった時に責任を追及すればいい。今は、どうしたらできるかを与野党とも一緒になって国民本位に検討すべき時だろう。

 基礎年金番号を導入したのは菅直人厚相だ、いや、その後照合作業を立ち上げたのは小泉厚相だ、などという泥仕合に至っては、まったく目を覆いたくなるばかりの「選良」の体たらくだ。

 以前から、官邸や行政府からみていて、国会や国会議員とはこんなものだろうとは思ってはいたが、現実に、私自身が国会議員になって直に体験すると、本当に情けなくなる。しかし、これが皆さん、皆さんが選んだ国会議員の姿なのです。

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