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江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

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なぜ日本にはイラク戦争の総括がないのか!?

2007年5月28日  tag:

 米国では、イラク戦争開戦の判断の誤りと、益々内戦化し米兵の死傷も続くイラクの現状等への批判から、ブッシュ大統領の支持率が20%台前半まで落ち込み、英国では、あれほど人気の高かったブレア首相が、同様の理由で退陣を余儀なくされた。

 しかし、日本はどうであろう。開戦を熟慮することもなく米国追従で支持し、憲法で禁止された集団的自衛権にまで踏み込んで自衛隊派遣までした小泉前首相へのお咎めは一切なく、安倍内閣は、各国の軍隊が続々とイラクから撤退しているというのに、イラク特措法(自衛隊派遣法)の二年延長を決めた。

 私は、一貫して、しかも開戦前から、イラク戦争と自衛隊派遣に反対してきた。累次にわたる政府への質問主意書をご覧いただければ明らかであろう。その理由は、極めて簡単なことで、国際法上許されている戦争は「自衛戦争」と「国連決議に基づく戦争」だけであり、イラク戦争はそのどちらにも当たらないからである。しかし、この単純なロジックが日本では通用しない。

 政府は、後者の「国連決議に基づく戦争」であるとの詭弁を一貫して弄している。しかし、武力行使のような最終最後の手段を行使する時には、明確な容認決議が必要であるのが当然のところ(湾岸戦争時の決議は「all necessary measures」=あらゆる必要な手段。これが武力行使を認めた明文の規定)、常任理事国であるフランスやロシア、中国が当時開戦に反対したことからも、武力行使容認の決議がないことは明らかだ。

 だから苦肉の策で、政府は、湾岸戦争当時の古い決議(国連決議678)を持ちだしてまで正当化しようとする。しかし、その決議を安保理議長として必死の思いで採択したべーカー米国務長官(当時)でさえ、その決議の対象は、クウェートをイラク侵攻から解放するまでで、バクダッド侵攻までは想定していないとする代物だった。ただ、いずれにせよ、過去の事件の決議を引っ張って、現に今起こっている別の事件を裁こうなどということが、近代刑法(罪刑法定主義)を持つ国で許されるわけがない。

 だからこそ、米国は、大量破壊兵器等を所有し、9.11テロを起こしたアル・カイーダとの共謀関係もあるイラクへの武力行使は、「自衛のための先制攻撃」だということで正当化したのである。しかし、その大量破壊兵器もなく、アル・カイーダとの関係もなかった。これでは「あいつ(フセイン)は危険そうで(大量破壊兵器の所持)、過去には殺人事件(クルド人虐殺やクウェート侵攻)まで起こしているのだから、殺してしまおう」という発想と同じだ。証拠もなく裁判手続きもなく、単に危険そうだということで勝手に殺してしまうのは、法治国家では断じて許される行為ではない。

 だからこそ、イラク戦争は間違った戦争だったと、米国民の6~7割が現在では断じているのである、開戦当時は、某黒人女性下院議員たった一人だけが開戦に反対し、そのせいで彼女はありとあらゆる誹謗中傷を受けたのだが、米国では「振れすぎた振り子」は必ず戻る。英国も同様だ。米国や英国では民主主義がまだ正常に機能していることを証明したのである。

 しかし、日本では、政府・与党にも、メディアに、世論にも、こうした反省、総括がない。日本では「振れすぎた振り子」は振り切ってしまう。これが、私が、憲法改正で「集団的自衛権」を認めない最大の理由である。

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