虚偽記載・違反ポスターが街中にあふれている
2007年3月 5日 tag:
4月の統一地方選を控えて今、街中に虚偽記載・違反ポスターがあふれている。
いやしくも公党の候補者たる者が、法律や条例を作りそれを守らせる立場にある者が、長年の慣行だからといって、取るべき選挙手法ではない。
有権者の皆さんも、まだ選挙でもないのに「なぜこんなポスターが」と思うだろう。そう、自民党なら安倍首相と、民主党なら小沢代表と、県議、市議の候補者が一緒に写っている例の代物だ。公職選挙法では一切の事前運動が禁止されているのに、なぜか、選挙が近づくと、候補予定者の顔写真と名前が大書されたポスターが貼り巡らされ、それを取り締まろうという気配もない。
なぜか? これも政治家の悪知恵の一環で、このポスターは「政党活動」、すなわち、政党の「演説会という活動のお知らせ」のためのポスターであって、候補者個人の選挙活動ではないという屁理屈による。確かに目をこらしてよく見れば、ポスターの片隅に「時局講演会」といった演説会の日時と場所が記されている。
しかし考えてもみてほしい。これが本当なら、安倍首相と小沢代表は、統一地方選後の4月と5月は、国会があるにもかかわらず、また公務多端であるにもかかわらず、北海道から沖縄まで全国津々浦々、何千という県議、市議との地方演説会に出席しなければならなくなる。
そう、全部嘘なのだ。疑問のある人は、自民党なら官邸に電話をかけ安倍首相の日程を、民主党なら党本部に電話をかけ小沢代表の日程を問いただしてみればいい。
「私の町の小さな駅頭に、○月○日○時、本当に首相(党首)は来られるんでしょうか?」と。
貼る方(候補予定者)も明らかに選挙目当ての「個人の売名」を意図し、かつ、客観的に誰がみてもそう受け取らざるをえないポスターが、しかも有権者を欺く「演説会告知」というスタイルで張り巡らされている。しかし、なぜか選管も警察も取り締まろうとしない。自民も民主も共産も「みんなで渡れば恐くない」、大手を振って虚偽記載・違反ポスターがまかりとおっているからだ。
ちなみに私は、この「事前(政党)ポスター」なるものを一切、選挙前になっても貼らない。街の景観を乱すこと甚だしいし、実は、政治にカネがかるのは、こういった禁止されているはずの事前運動にカネがかかるからである。告示日から投票日までの選挙期間中は、法律で、ポスターもビラもはがきも厳格な枚数制限があり、上限法定費用という規制もあるから、実は、そんなにおカネはかからないのだ。
私がこの問題を重視し、累次にわたって政府に質問主意書を出し問いただしているのも、これが「政治とカネ」の問題の琴線にふれるからだ。何も、重箱の隅をつつくような議論をしたいがためではない。カネがかかるから無理してカネを集め、それがしがらみを生み、国民本位の政治家からかけ離れていく。
したがって、このようなカネのかかる「事前運動」的なものを、際限なき事前ポスターの類の全面禁止を含め、文字(法律)通り禁止する。その代わり、告示日から投票日までの選挙期間中の運動を、公開討論会やインターネット運動の解禁等でもっと政策中心の重厚なものに変えていく。そうすることで随分、政治や政治家の風景も変わっていくのである。
(参考「1/3ルール」とは?)
私が質問主意書により「政党(事前)ポスター」の適法要件を問いただしたところ、以下のとおり。ただし、この解釈運用を私が認めたわけではない。総務省も「みんなで渡れば恐くない」をやられて苦肉の策として生み出した基準なのだ。
(1) 政党部分の面積=自民党、民主党といった政党名の記述とそのキャッチフレー
ズ、演説会の告知部分の面積
(2) 政党代表の面積=党首あるいはそれに準じる演説会弁士の顔写真と名前の部
分の面積
(3) 候補者個人の面積=候補予定者個人の顔写真と名前の部分の面積
とした上で、
・ (1)>(3) または (1)=(3) であれば、政党活動と認められ適法
・ (1)<(3) であれば、候補者個人の活動と認められ違法
・ (2) の部分はノーカウント(適法、違法の判断に影響しない)
すなわち、政党部分、党首部分、候補者部分が1/3ずつであれば適法(「1/3ルール」)というわけである。なお、無所属候補であっても、自分の後援会ではない他の政治団体の活動用ポスターであれば、政党候補者と同じようにポスターを貼れる。
なお、この「1/3ルール」を我が選挙区(横浜市青葉区・緑区)に貼られているポスターに当てはめれば、民主党の大井県議(青葉区)のポスターが、明らかに個人部分の面積が政党部分の面積より大きく違法となる。即刻撤去すべきであろう。
Copyright(C) Kenji Eda All Rights Reserved.