『横浜市政を憂う』・・・横浜市は借金ワースト1
2007年1月 8日 tag:
市長が「借金を減らした減らした」と胸を張っているせいか、ここ横浜市で財政が危機的状況にあることを知っている市民は少ない。しかし現実は、神奈川県下35市町村で最悪の借金財政で、あの破たんした夕張市の状況に近づきつつある。
これは、総務省が昨年はじめて発表した「実質公債費比率」という指標で明らかになった。いわば、これまで不明朗だった「隠れ借金」、すなわち、バスや地下鉄、水道事業といった公営企業会計等も含めた借金の真の姿を表に出したのである。その数値が横浜市の場合23.3%。市の収入に占める借金返済の割合を示す数字で、全国15の政令指定都市の中でも実質ワースト1(注)だ。ちなみに件の夕張市は28.6%である。
この比率が18%を超えると、市が借金をするのに一々国の許可が必要となり、債務削減計画の策定が義務付けられる。こんな不名誉な地位にあるのは、県下では小田原市と湯河原町のみだ。比率が25%を超えると借金さえできない国の管理団体になる。そしてやがて破産するのだ。横浜市はその一歩手前ということになる。
にもかかわらず、市や市議会にはまったく危機意識がない。
横浜市議会が「議員特権」と「税金ムダ遣い」のオンパレードであることは、以前この「直言」(『驚くべき地方議会の実態』・・・来年4月の統一地方選に怒りをぶつけよう!)でも述べた。議会・委員会開催は年間たったの2ヶ月なのに1600万円の給料(鎌倉市議会の二倍)、領収書もいらない使い道不明の政務調査費が年間660万円(鎌倉市議会の十倍以上)、そして極めつけは、議会に出席するのが仕事の議員に毎回1万円の日当だ。おまけに議員定数(92人)の削減も一切しない。
市政も例外ではない。退職もしていない市長に退職金4200万円(市レベルで2000万円が主流)。総務省の反対を押し切って、市長選の翌日開票までして節約を訴える市長が、自分のこととなると、単に一期目が終わったという理由で巨額の退職金を「自分のためにも人のためにも受け取ります」(記者会見発言)というわけのわからない理由で受け取る。長野県や宮城県知事は「不合理」という理由で退職金を辞退している。
さらに昨年末には、3人と、そうでなくても多い副市長を4人に増員した。副市長(助役)は、地方自治法で1人置くこととされているが、条例を設ければ置かなくても良い。最近は行政改革の見地から置かない市町村もある。まったく改革に逆行した措置といえよう。
おまけに市長は「横浜サミット(先進国首脳会議)」開催を国に要望している。私は、首相官邸でサミット(2000年)開催地決定の事前調整役もしていたが、これが本当に実現すれば、巨額の地元負担と過剰警備のための交通渋滞、商店街の閉鎖等が待ちかまえている。一定期間、市民生活を犠牲にし、借金財政をさらに悪化させてまで、すでに国際都市、観光都市の横浜市に「先進国首脳会議」を誘致するメリットはない。要すれば、市長や政治家の「晴舞台」「出番」をつくるだけのための「サミット提唱」なのだ。日本でサミットをやるなら「地域起こし」とか、最近の開催地のような「保養地」という名分の立つ地域に誘致すべきであろう(この観点から洞爺湖地域が有力候補に上っている)。
相変わらず不要不急の公共事業への税金投入や大企業誘致のための税減免措置等も含め、今の横浜市政は「危機意識のない市民不在のやりたい放題行政」といった状況になっている。にもかかわらず横浜市議会は「オール与党体制」でチェックが効かない。
「つまみ食い的なパフォーマンス行政」の陰にかくれた市政の真の姿をあぶりだし、そこに真正面から切り込める市議会議員を誕生させるのが、この4月に行われる統一地方選の意義であり、政治家・江田けんじの使命と心得ている。
(注)実質公債比率の数値だけみれば、横浜市は神戸市(24.1%)に次いでワースト2だが、神戸市には「阪神淡路大震災」関連の借金という特殊事情があり、実質上は横浜市が政令指定都市ワースト1である。
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