『郵政造反組復党へ』・・・さあ有権者はどうする!
2006年11月20日 tag:
「郵政造反組」の復党への流れが強まっている。そうなら、あの大騒ぎした「郵政民営化選挙」とは一体何だったのか。単なる「真夏の夜の夢」にすぎなかったのか。
「小泉チルドレン」を中心に自民党の一部にも反対の声があるようだが、造反組を戻したいという自民党の大多数の意図ははっきりしている。来年夏の参院選で造反組の支援を得たい。特に地方の一人区では、岡山や佐賀をはじめ造反組が大きな組織票を持っている。選挙区が全県区で広いということもあって、参議院議員は、自前の後援組織というより、衆議院議員やその系列県議、市議等の支援基盤の上に乗っかって当選してきている場合が多い。したがって、その基盤の枢要な部分が崩れるということは死活問題なのだ。
また、早期かつ年内の復党を目指すのにも理由がある。300億円を超える政党助成金は、毎年、議員数に応じて1月1日を基準日で算定されるため、年内復党でなければ資金配分の「うまみ」にあずかれない。また、来年夏の参院選まで本件が尾を引き有権者の反発を喰うよりも、早期復党でなるべく有権者の記憶から本件を早く消したい。
しかし、そうは「問屋はおろさない」のである。昨年9月の総選挙を思い起こしていただきたい。当時、小泉首相はなんと言ったか。「これは郵政民営化、その是非を問う選挙だ。国民が賛成か反対か直接聞いてみたい」「刺客は民営化賛成の選択肢の提供だ。郵政民営化反対の候補者ばかりでは有権者の選択肢がない」「今や旧い自民党は皆出て行って、新しい自民党に生まれ変わった」。そして、大多数の国民は熱狂的な賛成、支持表明をしたのだ。
それを造反組の参院選応援目当てに「もう終わった話」として片づけるならば、有権者を馬鹿にした裏切り行為と言うしかない。ましてや、選挙に700億円近い血税を投入し、解散まで打って問うた重要政策が、「たった一つの政策の違い」であるはずがない。「あとはすべて自民党と同じ考えの人たちなんだから帰ってきて当然だ」というなら、そんな選挙は、そもそもすべきではなかった。うがった見方をすれば、あの総選挙は結局茶番、結果的には「刺客」と「造反組」で有権者の目をくらまし、実は二重取り、自民党の議席増戦術だったと言われても仕方あるまい。
しかし、それをわかった上であえて復党させるのは、「人の噂も75日」、来年夏頃には有権者はきれいさっぱり忘れて、参院選では組織票の強みも加わって勝利と計算したいのだろう。しかし、選挙戦では民主党はじめ野党がこぞってそこを突いてくるから有権者の記憶はよみがえり、都会を中心にそんな自民党を許すことはないだろう。損得勘定からしても決して得ではないのに、それを得と判断してしまうところに、復党賛成者の旧来の発想から抜けきれない旧い選挙スタイルがある。
かく言う私も、造反組を未来永劫「復党させるな」と言っているわけではない。選挙は、次の選挙までの国民の負託である。もし、諸般の事情の変化があり復党させるというなら、次の解散総選挙時に行い、その是非を堂々と国民に問えば良いのである。
世は「マニフェスト選挙」である。先の選挙の一番のマニフェストに反した政党に、次の選挙でマニフェストを語る資格も、勝利するチャンスも与えられることはないのである。
Copyright(C) Kenji Eda All Rights Reserved.