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江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

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北朝鮮・六者協議復帰・・・制裁を緩めるな!

2006年11月 6日  tag:

 北朝鮮が六者協議に復帰するという。先の「直言」で指摘したとおり、中国がその影響力を本気で行使した結果だろう。これでわざわざ唐家セン国務委員まで派遣して米国を説得し、その見返りに負った義務が果たせたと、とりあえず中国はほっとしていることだろう。しかし、問題は今後だ。

 日本はどうか。残念ながら、この復帰プロセスで役割は果たせなかった。一時、わざわざソウルまで出向いて「日米韓外相会談」を演出し、機会をうかがった北京での「六者外相会談」も、北朝鮮の反対で実現できなかった。北朝鮮の要求は、あくまでも中国を介在させた米朝直接会談であり、それが事務レベルで実現し、その中で米国による金融制裁を六者協議のプロセスにのせることを条件に、復帰を決めたのである。相変わらず、したたかな金正日の戦略が垣間見える。

 今回の再開が、前回までの協議と基本的に異なるのは、北朝鮮が核開発をしてしまったという事実もさることながら、今後の交渉を占う上でより重要なことは、国連決議をはじめ、はじめて経済制裁下で「圧力」を背景とした交渉になるという点だ。「対話と圧力」の「圧力」の内実が整えられた後のはじめての交渉となる。我々としては、ここに期待するしかない。

 そして、一つの安心材料というか、協議再開の意義としては、日本はじめ関係各国が、この会議を通じて北朝鮮に「命綱」をかけられたということだろう。「命綱」の意味は、何をしでかすかわからない国・北朝鮮、しかも核を持ち、弾道ミサイルも発射できる国・北朝鮮、その国の出方や顔色を見極めながら、今後、外交を組み立てていくことができるということだ。野放しの猛獣は、いつどういう場合に襲ってくるかもわからない。そんな状況では夜も不安でおちおち寝付けないが、そこに一本の命綱、すなわち「暴発防止装置」あるいは「暴発事前察知装置」がかけられたということか。

 したがって、六者協議促進のポイントは、具体的成果が出るまで制裁レベルを現状より緩めないということだ。そうでなくても、これまでの六者協議は、北朝鮮にとっては核開発のための「時間稼ぎ機関」であり、米国にとっては、イラク・イラン問題にかまけて余裕がないブッシュ政権の、政治的エクスキュースのための「問題先送り機関」だった。今回の六者協議再開の経緯を探っても、基本的にこの構図は変わっていない。北朝鮮は協議と並行して、より高度な核開発を引き続き進めていく魂胆であろうし、ブッシュ大統領にしても、中間選挙向けの政治的ポーズや国内向けポーズが必要だからだ。特に最近の米国は、北朝鮮の核保有そのものの否定よりも、それが拡散しテロリストの手に渡らないことに一番腐心しているように見受けられる。

 ただ、制裁については、早速、韓国を中心に、ロシアも含めて、六者協議が再開した時点で制裁を緩めようという動きが出てきている。日本がこの協議で果たせる役割は大きくないとはいえ、安倍政権として重要なことは、実際上この問題の解決能力を有している中国や米国のお尻をたたいて具体的な成果を出させていくこと、一方で、ややもすれば腰砕けになりがちな韓国やロシアを説得して、現状レベルでの制裁を維持し、北朝鮮の出方によっては、さらなる経済制裁の強化を促していくことだろう。

 そうでないと、また元の木阿弥、単に元のスタートラインに戻っただけで、また同じことの繰り返しという無意味な結果になってしまう。制裁下で、北朝鮮の出方を慎重に見極めながら、なだめたりすかしたり脅したりの交渉テクニックを如何に駆使していくか。いずれにせよもう、そう長い時間をかけるわけにはいかない。

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