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江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

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『ホワイトハウス型の官邸』とは?・・・首相補佐官の活用

2006年10月 9日  tag:

 安倍政権が、「ホワイトハウス型の官邸」を標榜して発足した。その命名の是非はともかく、首相補佐官定数5人のフル活用等「官邸主導の体制」をより強化したことは評価できる。

 ただ、首相補佐官と大臣との関係をはじめ、「二重行政になり混乱が生じる」(片山自民党参院幹事長)等の懸念もあるようだ。「議院内閣制と米国のような大統領制とは違う」との議論もある。まだまだ制度の趣旨が理解されていない証拠だ。官邸機能の強化を含む中央省庁再編(01年)の設計者として、説明責任を果たし若干の提言をしたい。

 日本の行政機構の最大の問題点は、各省庁割拠による「縦割り行政」で、この日本の将来を導くグランドデザインが描けないことにあった。本来、それを総合調整する、国家の司令塔であるはずの官邸も、その中身は「がらんどう」で、首相主導の実を果たせなかった。そこで、中央省庁再編では「官邸機能の強化」を掲げ、経済財政諮問会議の設置や首相補佐官の増員等で官邸の内実を埋め、首相の「知恵袋」としたのである。

 日本は議院内閣制だから、国会で指名された首相の下、過半数を国会議員が占める内閣で行政権を執行する。それぞれの行政は「分担管理の原則」(国家行政組織法)に基づき、確かに各省庁大臣が所管し一義的な責任を持つ。しかし、ますます各省庁横断的な重要政策課題が増え、調整役の官邸の役割も高まり、それを担う首相や官房長官への負担も大きくなっている。

 したがって、補佐官の役割の一つが、この総合調整のアドバイザー役だ。首相や官房長官といえば、分刻みの忙しい日程を日々こなさなければならないし、必ずしも全部の政策に通暁しているわけでもない。そこを補完するわけだ。例えば、安全保障政策は、外務省、防衛庁、海上保安庁、警察庁等々多岐の官庁にわたる。その間を調整し一つの政策を形づくるために「国家安全保障会議」を置き、その担当を補佐官にするのだ。そして、そこからの成果を基に、首相が最終的に判断する。

 もう一つのより重要な役割は、首相の「基本方針発議権」に係わるものだ。内閣法の改正までして設けられたこの「発議権」は案外知られていない。が、これにより、内閣の重要政策については、それまでの事務次官会議→閣議というボトムアップ型の意思決定過程を経ずに、首相自らの閣議への提案による「トップダウン方式」も可能となった。小泉政権下の郵政民営化も、本来の所管官庁である総務省ではなく内閣で法案を立案し、この「発議権」に基づき閣議に提案され決定されたのである。この重要政策の企画立案を巡って首相を支えるのが、経済財政諮問会議や首相補佐官の役割なのだ。

 各省庁大臣との関係だけでなく、既存の官邸ライン職員(官房副長官、副長官補等)や特命担当大臣等との関係も整理すべきだ。「屋上屋」との批判を封じるためには、首相補佐官の権限と責任を明確にする必要がある。
 そのためには、補佐官を単なるスタッフ扱いではなく、各種政策課題毎に置かれた戦略会議の事務局長に任命、併任させることだ。事務局長であれば、その下に官僚だけでなく外部人材を多数登用し、自前のスタッフを置くこともできる。そして、首相の意向、しかもその息づかい、微妙なニュアンスまでくみ取って会議を切り盛りしていくのだ。まさに首相主導の真骨頂だ。小池補佐官は国家安全保障会議、山谷補佐官は教育再生会議、根本補佐官は経済財政諮問会議の、それぞれ事務局長に任命する。

 ただ、こうした首相補佐官の存在は、どう位置づけても霞ヶ関官僚たちにとっては目の上のたんこぶとなる。霞ヶ関は、自分たちの権限に踏み込まれるのを嫌い、自分たちの流儀で仕事をしない組織、人間を徹底的に排除する習性があるからだ、過去にも、外務省や防衛庁に徹底的に足を引っ張られた橋本内閣の岡本補佐官(沖縄担当)の例がある。今回の「ホワイトハウス型の官邸」に早速、官僚側から批判が出ているのも、こうした背景があることに留意すべきである。

以上のような前提で、安倍首相が、米国並みの「国家安全保障会議」や「教育再生改革会議」を創設し、その任に当たる首相補佐官の活用や官邸幹部職の政治任用化などを図るのは正しいし、別に議院内閣制に反するわけでもない。 ただ、肝心なことは、あくまでも、これらは「手法」「道具立て」にずぎす、問題は、その結果出てくる政策の中味だということだ。その点は、今後厳しく監視していきたい。

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