官僚は自らの身を切れ!・・・公務員の定員削減
2006年7月31日 tag:
消費税の増税が言われている。国民に負担増を求めるなら、その前に官僚や政治家が自ら身を切る覚悟を示さなければならない。当たり前のことだ。
しかし、年初来、あの優遇された議員年金は廃止と称しながら完全廃止とはいかなかったし、最高裁に違憲状態とされた参院議員定数も「4増4減」の辻褄合わせに終わった。官僚の天下りの禁止や企業・団体献金の全廃などは期待すべくもない。
そうした中で、公務員の定員削減も尻すぼみで終わった。今後5年間で、国家公務員は全体(33.2万人)の5・7%、1万9千人弱を削減し、地方公務員も同程度に抑制するそうだ。農林統計や食糧管理、北海道開発局を中心に削減し、各省庁一律に3割程度の新規採用を抑制する。
しかし、毎年1%程度の削減では、公務員に身分保障があるといっても、血のにじむような民間企業のリストラ努力とは比べものにならない。また、その削減数の約4割は、引き続き国の関与が残る、年間3兆円を超える補助金を交付している独立行政法人への移行であり、人件費抑制効果は限定的だ。
なぜ、こんな事になるのか。それは、あくまで今回の削減が、既存の組織や枠組みを前提としているからだ。そこに発想の限界、というか官僚任せの限界がある。制度改革、組織改革がなければ抜本的な定員削減はできない。
例えば、国税(5.6万人)と地方税(国税の倍の職員がいるといわれる)の徴収一元化を図れば、万人単位の削減ができる。これに、今問題となっている社会保険庁(1.7万人)を統合(保険料徴収と税徴収の一元化)すれば、さらに数万人単位の削減可能となる。
また、将来の道州制をもにらみ、各省庁の地方出先機関(地方支分部局/21万人)の、ブロック毎の一元化、さらには廃止まで踏み込めば、10万単位の削減が可能となる。そこまでいきなりいかなくても、国土交通省の地方整備局、運輸局、航空局(あわせて3.9万人)の統合、農政局(1.7万)、都道府県労働局(2.3万)の合理化で万人単位の削減は可能だ。
さらに細かくなるが、戦後、破防法の施行を任務に設立された公安調査庁(1500人)は、既にその役目が終わっており、その余剰人員は治安やテロ、税徴収等への人員に振り向けれるべきだ。
このようにすれば、政府の原案の何倍もの定員削減、人件費抑制が可能となる。要は、政治が本気でリーダーシップをとれば良いだけの話だ。しかし、それをやろうとしない。もちろん、公務員には意に反して解雇できない身分保障があるので、国鉄民営化時の民間受け入れ等の知恵を出す必要がある。ちなみに、国鉄の余剰人員対策としては、政府は85年、「国鉄余剰人員雇用対策本部」を内閣に設置し、余剰人員の6.1万人を、公的部門(3万人)、国鉄関連企業(2.1万人)民間(1万人以上)に振り分けた。
最後にもう一度言う。官僚や政治家が身を切る努力をせずして、自ら痛みを伴う改革をせずして、消費税の増税や医療や年金の負担増はない
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