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江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

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安倍政権に立ちはだかるもの

2006年5月22日  tag:

 先週、福田氏急浮上と書いたら、各種世論調査でそれが裏付けられた。それに対して、武部幹事長主導の「国民参加型総裁選」の動きも急に具体化されてきた。小泉首相の「森派一本化の要なし」発言もそうだったが、これも、とりもなおさず、安倍支持派の焦りの表れであろう。

 一方で、このところ、米国からの「首相の靖国参拝反対」あるいは「慎重に」とのシグナルも増えてきた。首相の靖国参拝推進派の背景には、極東軍事裁判の否定や「遊就館」の掲げる戦争史観もあるので、この問題の本質を米国が知れば知るほど、9月の総裁選に向けて、この動きは今後拡大していく可能性がある。マスコミの「アジア外交重視」キャンペーンとも相俟って、靖国問題を総裁選の争点にしたくないという安倍支持派の思惑も、そううまくは運ばない。

 かといって、福田氏との違いを薄めるため、安倍氏までが「靖国参拝に慎重」とか「東アジア外交重視」に姿勢を転換し、これまで北朝鮮対応で見せた毅然とした「強硬姿勢」を少しでも弱めれれば、それは両刃の剣となる。福田氏と基本政策であまり違いがなければ、若くて国民的人気も高い安倍氏が際だつこともあろうが、一方で、安倍氏本来の保守派の支持基盤からは失望感を買う。

 ただ、最大の利点であり、また難点ともなりうるのは、安倍氏が「小泉路線の継承者」と思われていることだ。事実そうでもある。まかり間違えば、苦難の道を歩むことにもなりかねない。
 確かに安倍首相が誕生すれば、発足当初は高い支持率で船出をするだろう。しかし、この政権は宿命として、「劇場型政治」と「ワンフレーズポリティックス」で、わかりやすい政治、強い首相という「相場観」をつくった小泉政治との比較を常にされることになる。少しでも抵抗勢力と妥協し、はぎれが悪いというだけで支持率が急落する危険性と裏腹だ。
 そうなると、首相就任から10ヶ月後の参院選に、途中、予算編成という大きな関門をくぐり、「選挙の顔」として勝つという保証もなくなる。もちろん、選挙で負ければ「安倍政権」も万事休すだ。

 当然、安倍氏も、このような諸般の事情を勘案した上での総裁選出馬になる。もう本人も周辺も「どうにもとまらない」だろうから、何を言っても詮無いのかもしれない。しかし、私は、森前首相の思惑とは異なり、純粋に安倍氏だけの利益を考慮すれば、この9月の総裁選の立候補は見送り、同じ派閥の福田氏支持で動いた方が得策だと考える。そこで恩を売っておいて、参院選自民党敗北の後、満を持して国民的喝采の中で「安倍首相登場」となる方がいいのではないか。

 何も私は自民党を応援するのでも、安倍氏や福田氏を応援するのでもない。ただ、自民党の延命という観点、安倍氏の政治生命という観点からは、「福田→安倍」とつなぐ方が得策なのではないかと言っているだけだ。いきなり安倍氏では、ポスト安倍がいなくなる自民党もどうなるかわからない。そして、小沢民主党にとっても、違いが出せる安倍自民党との対決の方が、「経験vs若手」という構図を描きやすい安倍自民党の方が、はるかに与し易いのである。

安倍氏 VS 福田氏、五分五分の一騎打ち
『取り込み型』と『突き放し型』・・・財政・経済一体改革会議