安倍氏 VS 福田氏、五分五分の一騎打ち
2006年5月15日 tag:
自民党総裁選が面白くなってきた。案の定、小泉首相が外遊先で、森派の候補者一本化調整を否定してみせ、それを受けて、森派会長の森前首相が「一本化断念」を表明したからだ。これで、事実上、9月の総裁選は「安倍氏 VS 福田氏の一騎打ち」となる公算が大となってきた。
それにしても最近、自民党国会議員の中での福田支持の動きが加速している。もちろん、「小沢民主党」効果が一番の理由だが、「アジア外交」や「格差社会問題」をはじめとして、「小泉改革のひずみ」を問う声がマスコミ中心に上がってきたこともある。そろそろ、「劇場型政治」や「浮ついたパフォーマンス」に飽きた国民が、「本物指向」「地に足をつけた政治」を求め始めたこととも無縁ではなかろう。
私は、こういう状況になる以前、すなわち、昨年の年末以来、福田氏も「総裁選意欲あり」とみてきたし、安倍氏ももはや、その周辺も含め「どうにも止まらない」状況だ。両雄並び立つ場合、それでは一体どちらが勝つのか、有利なのか?
その一つのポイントに、自民党総裁選のやり方がある。小泉総裁誕生時(2001年4月)と異なり、地方票(党員・党友票。今回は300票)と国会議員票(今回は406票。亀井善之氏死去で1減)は「同時開票」だから、小泉氏のように地方選圧勝の勢い(約9割得票)で議員票も、というわけにはいかない。地方票の結果をみて、議員がそれを参考にして投票というわけにはいかないのだ。
さらに、その地方票も、「総取り方式」(都道府県ごとにトップ得票の候補者が、当該都道府県票を総取り)から「按分比例方式」(各候補者の得票率に応じて都道府県票を配分)に変わり、地方でも一候補者が圧勝とはいきにくくなった。
そして、これが肝心なところだが、どの候補者も過半数(354票)をとれない場合、国会議員票だけで決選投票となることだ。その場合は「2、3位以下連合」がある。仮に、安倍氏が一回目の投票で300票を超える大量得票をしても、過半数に届かなければ、2位候補の逆転もあり得る。そういう意味で、福田氏の目も十分あるのである。
ただ、これについては、今、武部幹事長中心に検討がされ、小泉首相がお墨付きを与えているといわれる「国民参加型総裁選」の導入の可否が問題となる。どうやらその内容は「衆院比例11ブロック毎の党大会の開催と公開討論」のようだが、そうなれば、やはり国民的・党員的人気の高い安倍氏有利に働くことも考えられる。ただ、本当に候補者間で公開討論をするのであれば、その「実力」次第で思わぬ候補者が急浮上する可能性もある。いずれにせよ、この「国民参加型総裁選」には各陣営の様々な思惑がからんでおり、その帰趨に注目したい。
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