議員年金の偽装廃止法案に反対!
2006年1月30日 tag:
本日(30日)、衆議院本会議で、見かけ上「議員年金廃止」をうたった与党法案が可決される。対案である民主党案も、与党案に比べればまだマシとは言えるものの、議員年金の完全廃止とは程遠い。私、江田けんじは、選挙戦で「廃止」を訴えたとおり、どちらの「偽装廃止法案」にも反対するつもりだ。
与党案は、「廃止」と名打ってはいるものの、実際は議員年金制度が、これから40~50年も続く代物だ。すなわち、
(1) 在職10年以上の受給資格のある現職議員は、
・退職時に、一時金として納付総額の80%を受け取るか
・現行より15%削減した額の年金を月々受給するか、 を選択できる
(2) 議員OBは、
・給付額を最大10%削減して年金を継続する
何のことはない、給付額は減るものの、議員年金は支給され続けるわけだ。小泉首相も一時、この与党案をみて「完全廃止」を指示したのに、なぜか翌日、与党幹部の説明で撤回してしまった。
これに比し、民主党案も、「議員OB」には引き続き、現行より3割減の年金を支給しつづけるが、「現職議員」の議員年金制度は完全廃止する。すなわち、現職議員にはこれまで納付した額の5割を返還し、それで「終わり」とする。不十分だが、国民の血税である国庫負担は、与党案に比べればかなり減額できる。
与党は、既に受給資格を得た議員あるいは議員OBへの年金完全廃止は、憲法29条が保障する「財産権」を侵害すると主張する。しかし、これはあまりにも雑ぱくな議論だ。
例えば、サラリーマンの「厚生年金基金」の場合、労使からなる代議員の多数によって解散を決めることができるが、その際、廃止した制度の年金受給権が「年金」として保護されるという法的構成にはなっていない。受給者は、基金の保有する資産の範囲内で清算一時金を受け取るわけだ。そして、その場合、受給者がその清算一時金を年金にしたいと希望する時は、「企業年金連合会」に移管することができる。ただ、その額は、精算一時金をベースとして計算され直されるため、大幅減額となる。
したがって、国会議員の年金も、同様に解散し、一時金を基に「国民年金基金連合会」に移管すればいいだけの話だ。そうすれば、民間と同様に、国民年金の上乗せ給付できる途が開かれ、その代わり、議員年金は、OBを含めて名実共に完全廃止となる。
確かに、厚生年金基金の場合でも、解散に伴い、いくつかの受給者からの訴訟は起きている。しかし、少なくとも現行法制上は解散による清算一時金は合法であり、仮に、多額の血税で給与や年金を受けてきた議員が「財産権侵害」を理由に裁判に訴えれば、世間からは袋だたきにあい、訴訟も勝てるとは言えないだろう。
民主党には、そこまで踏み込んで提案をしてほしかった。立法技術の稚拙さか、はたまたOB議員の圧力に屈したか。自民党に比し独自性を発揮して政権党になるためには、もう一皮も二皮もむけなければならないだろう。
(参照条文)
[ 厚生年金保険法 ]
(解散)
第百四十五条 基金は、次に掲げる理由により解散する。
一 代議員の定数の四分の三以上の多数による代議員会の議決
二 三 (略)
(基金の解散による年金たる給付等の支給に関する義務等の消滅)
第百四十六条 基金は、解散したときは、当該基金の加入員であつた者に係る年金たる給付及び一時金たる給付の支給に関する義務を免れる。
(連合会)
第百四十九条 基金は、中途脱退者及び解散した基金が老齢年金給付の支給に関する義務を負つていた者(以下「解散基金加入員」という。)に係る老齢年金給付の支給を共同して行うとともに、第百六十五条から第百六十五条の三までに規定する年金給付等積立金の移換を円滑に行うため、企業年金連合会(以下「連合会」という。)を設立することができる。
[ 国民年金法 ]
(連合会)
第百三十七条の二 基金は、第百三十七条の十七第一項に規定する中途脱退者及び解散基金加入員に係る年金及び一時金の支給を共同して行うため、国民年金基金連合会(以下「連合会」という。)を設立することができる。
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