ホリエモン、逮捕へ
2006年1月23日 tag:
ライブドアに東京地検の強制捜査が入った。その陣容や捜索箇所、用意周到な事前準備、その徹底的な秘匿等からして、東京地検の不退転の決意が読みとれる。最近は、世論迎合型の、いや世論に尻を叩かれての国策捜査的なものが多かったが、その意味でも、極めて異例な捜査だ。「時代の寵児」ともてはやされたホリエモンも、これで万事休すとなる。
それにしても、この事件発覚と同時に、手のひらをかえすように、ホリエモンへの態度を豹変させた人たちは一体何なんだろう。所詮、時流にのっておいた方が得策程度の浅薄な考えで、言動や行動を決してしまう政治家やマスコミ、評論家がいかに多いことか。
私は、「ホリエモン礼賛論」も「ホリエモン批判」もしたことがない。今週の直言「フジvsライブドア報道に辟易」 [04/Apr/05]を読んでいただければわかるように、マスコミや世論の関心が、一連の騒動の、勝った負けたの戦いばかり、目先の勝負ばかりに向いているのに辟易していただけだ。
私がそこで指摘したのは、ホリエモンが既成秩序をかき回す中で(それは良しとしても)、攻め方、防ぎ手双方に「どうか金融市場の世界的なルールから逸脱する取引や手法を駆使しないように」ということだった。金融市場は、橋本政権が北拓、山一の破たんという大きな代償を払いながら進めた「金融ビッグバン」の流れの中にある。それまでは、旧大蔵省の「護送船団方式」による不透明な保護行政により、いわば、江戸時代の鎖国のように、世界からは極めて異質なルールに基づいてプレーをしていた。
それが、一連の騒動で、またぞろ、日本人にしか理解できないようなルールが市場的、司法的に認められれば、日本の証券市場の約半分を支えている外国人投資家のお金が、一斉に日本市場から逃避することを心配した。「日本はやはり異質な国だ」ということになれば、こわくて日本に投資できない。その結果、株は暴落し、せっかく回復しかかっている日本経済を再び奈落の底に追いやる。
当時は、ニッポン放送が、防衛策として画策した「新株予約権の発行」が問題となった。が、それは幸い、司法の判断で差し止められた。今回は、ライブドアによる「粉飾決算」や「株価操作」だ。それにとどまらないという話もある。
いずれにせよ、経営陣の保身、支配権の維持には手段を選ばない、あるいは、企業の実態を水増しして投資家をだます、このような手法が我が者顔のようにまかり通れば、確実に国際金融市場が日本市場を見る目は厳しくなる。ましてや今回は、売り注文がさばけず、東証のシステムがダウンするという、恥ずべきおまけまで付いた。
金融市場は、好むと好まざるとにかかわらずグローバル化している。日本だけが「日本的経営」とかいって独善ではいられない世界だ。すべてがすべて「グローバルスタンダード」に合わせろとは私も言わないが、特捜には今回、徹底的に「マネーゲーム」の深層にまで立ち入って不正をあばいて欲しい。
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