省庁再々編?・・・なぜ今なのか
2006年1月16日 tag:
竹中総務大臣の「通信と放送の融合」に関する懇談会がらみで、突然、中央省庁の再々編問題が浮上した。今はやりの「竹中・中川・安倍」ラインが平仄をあわせているところからすると、政局がらみの思惑もあるのかもしれない。
もちろん、私としては「再々編」は大賛成である。そもそも2001年1月から再編された中央省庁の絵を描いたのは私だし、当時の与党との折衝に当たったのも私だった。その際、残念ながら、橋本政権の急激な求心力低下から、官僚や族議員の抵抗を押さえつけられず、志半ばで終わった課題も多々あったからだ。
ただ、正直、こんなに早く政治課題の俎上にのぼるとは考えていなかった。このような「国家百年の計」は、せいぜい早くても50年後に再びチャンスが巡ってくれば良い程度に考えていたからだ。その意味では唐突で意外感がぬぐえない。本当にやる気があるのかという疑心もある。
しかし、やるならまず第一に、竹中氏も指摘するように、「放送と通信の融合」や「IT推進体制」を担う「情報通信行政の一元化」が焦眉の急だろう。私もこれまで、様々な機会に、「省庁再編の最大の欠陥」として、この点を指摘してきた。
従来、この行政は、旧通産省と旧郵政省に分断され、私に言わせれば、「英仏百年戦争」とでも称すべき事態となっていた。例えば、旧通産省が、地域の情報化のために「ニューメディアコミュニティー構想」を打ち上げると、半年後には、旧郵政省が「テレトピア構想」という、同じ「地域の情報化」施策を打ち上げる。官僚は頭がいいから、前者は「情報産業の振興」、後者は「電気通信の規律の確保」で目的は違いますと説明する。しかし、実際、施策の中身や対象の企業も同じ、そして両方に顔を立てて、窓口の財団も二つ作られ、予算も二重投資という極めて非効率な二重行政が行われてきたのである。
こんなことを続けていると、情報通信の分野で益々欧米に遅れをとってしまう。政府が「IT」、「IT」と言うなら、その推進体制を一刻も早く一元化しなければならない。例えば、金融庁のように、内閣府に「情報通信庁」を設置し、専任の大臣を特命で置く。難しい話ではない。現在、総務省と経済産業省に引き続き分断されている担当部署を、首相の一声で統合すれば明日からでもできるのである。そして、将来的には、米国のFCC(連邦通信委員会)のように、業振興部門と規制監督部門は分けて、後者は政治的中立性を確保するため、独立行政委員会化を図るべきであろう。
省庁再編するなら、これ以外にも課題は多い。「経済財政諮問会議」を格上げして「国家戦略会議」とし、内政、外交含めて、真の意味での「司令塔」とすること。その際、国家の骨格を決める予算編成は、官邸に置く「内閣予算局」とすること。社会保険庁と国税庁を統合して、税金と保険料の一体徴収を図り、かつ、地方の徴税部門も統合して、万人単位の公務員を削減すること。各省の縦割りを廃し、経済協力行政の一体的戦略運用を図る「ODA庁」を設置すること。巨大利権官庁と批判される「国土交通省」の地方分権化を徹底すること。哲学なき、理念なき官庁と言わざるを得ない総務省を再編すること等いくらでもある。
「省庁再々編」。前回の再編に責任を持つ者として、必要があれば、どんな協力でもしていきたい。
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