普天間基地の移設先は?
2005年10月17日 tag:
在日米軍の再編をめぐり、沖縄・宜野湾市の普天間基地の移設先が問題となっている。これは、元々、橋本政権時(96年4月)、「米兵の少女暴行事件」に端を発した沖縄の基地負担軽減の一環として、日米トップレベルの合意で返還が約束されていたところ、その後の政権の沖縄問題に対する関心の無さから、放置されていたものである。
それがやっと動き出したようである。これまで、日本側が名護市の「キャンプ・シュワブ陸上案」、米側が「辺野古沖縮小案」(海上埋立案)で平行線をたどっていた。そこで、日本側が、キャンプ・シュワブ沿岸部から浅瀬にかけてヘリポートを建設する「一部埋め立て式沿岸案」を米側に示したからだ。この亜形として、自民党の額賀福志郎安全保障調査会長による、一部埋立の代わりに、多数のくいで滑走路を支える「桟橋方式」の沿岸案もある。
どうしても、米側の海上埋立案だと、その周辺に生息するジュゴンや藻場に与える影響等環境への影響が懸念されるし、反対派の抵抗も強い。また、日本側の米軍キャンプ内移設だと、米軍兵舎等の移転が必要になり米国の抵抗が強い。
元々、96年当時、この移設先をめぐってデッドロックに乗り上げていた時、くい打ち式の桟橋方式(QIP方式)という方向づけをしたのが、総理秘書官であった私だった。当時も、嘉手納基地移設を主張する日本側とキャンプシュワブ移設を主張する米国側との間で接点が見いだされていなかった。移設先が決まらなければ普天間返還も不可能となる。
そこで橋本総理の指示で私が提案したのが、QIP方式であった。沖縄県民の負担をなるべく軽減し、かつ、海兵隊のヘリポート機能という安全保障上の要請をギリギリ追求していくと、(1)埋立案に比し、海底にくい打ちをして滑走路を支えるため、海流の流れを変えることもないので生態や環境への負荷も比較的少ない、(2)くい打ちなので撤去可能性もあり、将来固定化しないことで沖縄県民感情にも沿う、というQIP方式しか考えられなかったのである。
しかし、その後、くい打ちでは鉄鋼、鋼材メーカーは潤うが、地元土建会社は恩恵に与れない等の次元の低い話等が利権政治家の思惑とからんだり、稲嶺知事になってから、軍民共用の飛行場にしたいとか、15年の使用期限を設けるべきという議論もあって、紆余曲折していたのである。
要は、何が沖縄にとってベストか、日米安保のためにベストか、そのベストミックスを追求するしかない。額賀案は、その点、真摯な検討に値する案である。
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