改革競争/対案路線、大いに結構!
2005年10月10日 tag:
民主党が、郵政民営化についての対案を提出した。確かに10頁ほどの要綱レベルの法案(政府案は数百頁)だが、たった一週間で党内をまとめた「意気や良し」としたい。前原新民主党の「対案路線」も評価できる。
しかし、その内容たるや、私も少しは期待していただけに失望した。相変わらず、郵便と少額郵貯・決済サービスは国営公社でいくという。これでは、すべての事業を民営化して、なおかつ、企業としてやっていけるというビジネスモデルを提示した政府案には劣る。
こうした現業的な仕事は、できれば公的部門ではなく民間にさせた方が効率的であることは自明だ。元々、私もそうだったが、礼儀作法もろくろく知らない、コスト意識も営業感覚もない公務員に期待する方が無理なのだ。民主党案は、折角、郵便公社職員は「非公務員」とすることに踏み切ったのだから、なぜ、完全民営化案を出さなかったのか。これでは、小泉首相以下与党に「中途半端」と批判されてもやむを得ない。
民主党のやるべきことは、今の政府案を基に、さらに民営化を進めた案、すなわち、三分の一まで認められている持株会社への政府出資をなくしたり、郵貯限度額の縮小だけでなく地域分割にまで踏み込み、民業圧迫回避策を明確に提示することだった。今の政府案は、反対派への妥協しすぎという点が多々ある(持株会社による郵貯・簡保会社株の買い戻し容認や会社相互の株式持ち合い等)のだから、それも是正すべきだった。
民主党案には、郵貯・簡保資金による財投債購入禁止や天下り禁止という政府案にはない素晴らしい内容が盛り込まれているだけに惜しい。
前原新代表は、民主党の「労組依存体質」からの脱却を宣言した。連合会長に「少しデリカシーのない発言」と批判されても動じる風でもなかったのだから、民主党は本当に変わったということを国民に形で示さなければならない。そのための第一弾が、この郵政民営化対案だっただけに誠に残念だ。
しかし、「改革競争」はこれから目白押しだ。年金や医療制度改革、政府系金融機関の統廃合、公務員の純減、税制の抜本改革・・・・。小泉政権への信任は、郵政民営化法案成立までで、国民は、どちらが本当の「改革政党」かを固唾を飲んで見守っている。そして、自民、民主、どちらかが既得権益や利権・圧力団体に日和見すれば、途端に政局の流れは変わるだろう。
私、江田けんじは、自身の身の振り方を含めて、その「リトマス試験紙」でありたいと思う。
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