昨年夏の幹事長更迭の真相（拙著「政界再編」2月刊行より）
2014年3月29日 tag：
（先月発刊の拙著「政界再編」角川ｏｎｅテーマ新書
維新・松野頼久氏との対談／2013年12月27日より）
江田 本当のところはこのとき（注：幹事長更迭の時）、僕が幹事長として渡辺さんに党改革を突きつけていたんですよ。でも、メディアの関心も、そんな小さな野党の党改革よりも、再編話の方にいっちゃった。
松野 離党するくらいなら、党に残って党改革すればよかったじゃないかという声もあるんじゃないですか。
江田 いや、もう今さら、そんな負のエネルギーは使いたくないという思いが強かったですね。それまで散々やってきましたから。この党改革の問題は、もう一年以上前から、小熊慎司さんたち三人（みんなの党→維新）が離党して維新に移った頃から、実はずっと訴えてきたことだったんですよ。
まずは、一対一で渡辺さんと何度も議論し、それでもダメなので、こんどは役員有志六人がそろって渡辺さんに申し入れたこともあった。でも、すべてゼロ回答だったので、しょうがない、参院選が終わった直後に、僕が役員会でダメ元で問題を提起し、案の定、ダメだったので、それを幹事長会見でふれて両院議員総会に持ち込んだ。党の最高意思決定機関は両院総会ですからね。こうした手順を踏んだうえで、不本意ながら表沙汰にしたんです。そうしないと、この問題は動かなかった。
松野 党運営にどんな問題があったんですか？
江田 みんなの党を結党した当初は５人の国会議員でスタートして、ある意味「渡辺個人商店」でやむをえない面もあった。ただ、衆参で３０人を超える大所帯になれば、株式会社化して上場し、多士済々の所属議員の総力戦で国会や次の総選挙にのぞむ。そのためには公党としてのガバナンスを確立しなければならないというのが、私の強い問題意識だったんです。
例えば、党のお金の運用。みんなの党は、年間１７億円もの政党助成金と２億円超の立法事務費を受け取っていたのに、渡辺さん一人がそれを独断で差配してきた。全部、税金ですよ、このおカネは。その多額の税金を支出するのに、どの党でもやっている、党内の事前決裁をとることがなかった。特に、議員一人あたり月額６５万円支給される「立法事務費」、これは領収書のいらないおカネなんですが、この２億円超のおカネが何に使われてきたか、役員ですら知らないはずですよ、今でも。
松野 え？そんなこと、ありえないでしょう。うちだと、政党助成金はもちろん、立法事務費でも、五万円以上の支出には決裁が必要ですよ。飲食費も全部決裁が必要です。最終的に幹事長である僕の決裁ですが、僕が使ったものも経理の名前、経理局からの判子が必要です。
江田 そうでしょう。それが当然ですよ。でも、それがなかった。維新もうちも、税金の無駄遣いを徹底的に問いただしてきた政党ですからね。その党首が自分の税金の運用については、一人で勝手に不明朗にやっているというのは絶対に許されない。
でも、僕が渡辺さんに散々指摘しても、「幹事長は監査役じゃないから」と取り合わなかった。やましいことがないと言うなら、今からでも遅くない、ご自身で管理している通帳を開示すればいいだけの話です。
参院選候補の公認問題でも面接審査や役員会決定などの党内手続き、機関決定を経ずに渡辺さんが何人も候補者を立てた。押しつけられた地方組織からは抗議の声が寄せられ、離党者まで出た。選挙は民主主義の根幹である神聖な場ですよ。そこで党公認とも言えない候補者を立てたわけですから、有権者にも申し開きができないでしょう。
でも、さすがの渡辺さんも、両院議員総会まで開かれて党改革が議題にのぼったので、やっと重い腰をあげた。政党助成金については、それ以降は、５０万円以上は幹事長決裁、１００万円以上は代表決裁になった。ただ、立法事務費の扱いについてはどうなったのか、僕は、この党改革を議論していた最中の両院総会で突然解任されたのでわかりませんが、でも、それ以前の２億円超の立法事務費が何に使われたかは、先にふれたように、今でも明らかになっていないはずですよ。要は使途不明なわけです。
ですから、この一連の事態が、外からみれば、「内紛」だ、「私怨」だ、「痴話げんか」だ、等々となるんでしょうが、決してそんな次元の低い話ではなかったんです。ただ、おそらく、渡辺さんはそれを認めたくなかったから、やれ「路線が違う」とか、「松野・細野・江田でよからぬ再編の企みをしている」とか、そういうことに問題をすり替えたんですよ。四十分程度の会談で、そんな大それたこと話せるわけがないでしょう。
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