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日銀総裁、出自を問わない? 学者ではダメ?

2013年3月 3日  tag:

 皆さん、日銀総裁人事の話になると、さかんに「出自は問わない」って言うんですね。私も「生まれ素性」で人を差別する気は毛頭ありませんが、こと、この問題については「出自」がまさに問題なんですよ。

 まず、「中央銀行の独立性」という問題がありますね。だから、黒田氏個人の能力はともかく、この世界では、まさに「出自」が問題になります。「独立性」とは「政府、特に財務省からの独立性」ですからね。だからこそ、国際的には財務省出身者をそのトップにはすえないというのが「通り相場」なのです。

 また、日本の場合、過去、忌まわしい「金融接待スキャンダル」という大事件が起こりました。そう、当時の大蔵省と金融機関との赤裸々な癒着の実態が白日の下にさらされたのです。こうした反省から、「財政と金融の分離」が図られ、日銀幹部から財務(大蔵)省OBが一掃されたのです。今回の人事が通れば、過去のこの努力も水泡に帰します。

 だって天下りの問題もそうでしょう。「官僚OBでも能力、資質があるからOK」なんて言っちゃったら、そもそも「天下りの根絶」なんてできなくなる。まさに「官僚」という出自があるからこそダメだと言っているんでしょう。

 おかしいことをおかしいと言えない。これも、メディアや政治家、国民も含め、「財務省のマインドコントロール」の一環なんですね。

 麻生財務相はじめ、「学者がトップになると組織のマネージメントができないからNG」という議論もありますが、おかしな話です。

 この点も世界に目を向けると、FRBのバーナンキさんも、ECBのドラギさんも、今度イングランド銀行の総裁になるカーニーさんも、皆さん学者さんなんですね。そう、G5とかG7といった中央銀行のトップの会合では、まさに学者的マニアックな議論にもついていけなくてはならないのです。

 経済学のPh.D.(博士号)にしても、バーナンキさんはMITのPh.D.。ドラギさんも同じくMITPh.D.。カーニーさんもオックスフォードのPh.D.。もっと言えばお隣の韓国のキム・ジュンス総裁も、ペンシルベニア大学のPh.D.。当たり前の話なんですがねえ。

 でもこれも、長年、大蔵事務次官と日銀プロパーが日銀総裁を独占してきた日本では「禁句」だった。だって、この両者でPh.D.持ってる人、ほとんど皆無だったわけですから。

 「Ph.D.を条件にすることは日本の風土に合わない」? これも一種の「マインドコントロール」だなあ。

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