安倍首相、訪米帰国後、TPP交渉参加表明へ
2013年2月22日 tag: TPP
安倍首相訪米。「聖域なき関税撤廃前提では参加しない」と建前上の選挙向けメッセージは発しているが、少なくとも、TPP参加の決意は固めていることだろう。内々にオバマ大統領には伝えるはずだ。
すべての品目を「ON THE TABLE」という意味は、交渉の対象はすべての品目で例外を設けないが、交渉の結果、抜けおちる例外は当然ありうるということだ。英語のことわざにもあるが「例外のない規則はない」。
現に、米国も、豪州とのFTAで砂糖、乳製品は絶対に例外にということにしているし、TPPでも同様の交渉をしている。
安倍政権のシナリオとしては、オバマ大統領との会談で「聖域なし」ではないという感触を得たということにして、帰国後、時日を置かずに「交渉参加表明」だろう。
TPPについては、3,5,9,という数字を覚えておくと良い。今年の実務者交渉の開催月だ。
御存じかもしれないが、米国が新しい国のTPP交渉参加を認めるためには「90日ルール」というものがある。そう、参加の90日前までに議会に通知する必要があるのだ。
これで逆算すると、今月末までの交渉参加表明がないと、日本は5月の交渉に参加できない。そうなると9月からの参加となるが、それだと、その翌月のTPP交渉妥結(APECバリ会合)までにたった一月しかないことになるわけだ。これでは、日本が自国の国益に沿った主張が十分にできない。分厚い交渉ドキュメントをもらって終わりということにもなりかねないのだ。
もちろん、こうしたマルチ【多国間】の交渉は遅れ遅れになるのが常だ。現に、このTPP交渉もその期限をなんどか延ばしてきた。しかし、今年のオバマ大統領の一般教書演説ではじめてTPPが取り上げられたように、今年中に妥結というタイムスケジュールは例年になく現実味をおびてきている。
これが訪米帰国後、時日をあまり置かずに参加表明の根拠である。
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