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江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

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ギリシャの教訓とは何か? ・・・「公務員天国を放置し、経済成長戦略もなく増税すれば財政破綻」

2012年6月 8日  tag:

 5月22日の「社会保障と税の一体改革に関する特別委員会」で、私が取り上げた、ギリシャの名目と実質、それぞれの 成長率の推移が下のグラフです。一目瞭然ですが、2006年を境に両成長率が急降下していることが分かります。
これが、所謂、今、欧州をはじめ、世界全土を巻き込んでいる「ギリシャ危機」なのです。

 では、2006年にギリシャで何が起きたのでしょうか?言い換えれば、「ギリシャ危機」の要因は何だったのでしょうか?

 野田総理や安住財務相が、ギリシャの財政破綻は「対岸の火事」ではない、日本もギリシャの「教訓」に学べ、
と仰るのなら、この要因分析こそが大事なはずです。しかし、特別委で、お二人にこの要因を問い質したところ、
お二人と答えることはできませんでした。やはり、財務官僚が書いたペーパーを鵜呑みにして、何の疑問も感じず、
まるでオウムのように繰り返しているだけなのでしょう。
 
 因みに、「リーマンショック」は2008年、ギリシャの「粉飾決算」が、政権交代で明るみになったのは2009年ですから、
ギリシャ経済は、それ以前から奈落の底に向かって突き進んでいたことになります。

20120522特別委使用パネル②ギリシャの成長率推移.jpg

 その答えは、「増税」です。ギリシャは消費税を2006年の18%から2010年には23%へ段階的に引き上げ、計5%
増税しました。にもかかわらず、ギリシャは財政破綻したのです。野田総理は、ギリシャを例に「日本も増税しなければ
財政破綻する」という教訓を度々お話になりますが、とても同意できません。

 では、本当の「ギリシャの教訓」とは一体、何なのでしょうか? 少し詳しく、ギリシャの現状を見ていきましょう。

 まず、ギリシャは日本以上に「公務員天国」だということです。

 政権交代のたびに、政治家が支持者を公務員にしてきたため、国民4人に1人が公務員なのです。しかもギリシャの
公務員は民間の2~3倍の高給をとっており、若年層の給料比較では民間企業が1,000ユーロ(約12万円)なのに対し、
公務員は2,000ユーロ(約24万)という統計もあります。各種手当てまで入れれば、その2倍、3倍 になるという説も
あります。

 さらに、年金も高い。現役時代の給与水準との比較(所得代替率)でいうと、ギリシャは96%で、老後も現役世代の給料並みの年金をもらっているのです(日本は「夫40年勤続・妻が専業主婦」モデルで59%、「男性単身世帯」は34%) 。また、その支給年齢も55歳までさかのぼってもらえるという仕組みもあるようです。

 また、ギリシャには観光産業のほかには、これといった成長産業が見当たりません。製造業にいたっては、GDPに
占める比率は1割で、ユーロ諸国平均の半分しかありません。経済を成長させて税収を上げ、それを財政再建の財源に
充てていくことができないのです。

 そうした中で、ギリシャは、増税と緊縮策を2006年から採ったのです。それに堪えうる「体力」も「体質」もないままに、
ひたすら「経理屋の発想」で「数字の辻褄合わせ」をしようとしたら、実体経済から見事な「しっぺ返し」を喰らってしまったというのが本当のところでしょう。

 ですから、あえてギリシャから学ぶ「教訓」を挙げるのであれば、「公務員天国を放置したまま増税しても財政は
破綻する」「経済成長戦略もなく、稼ぐ力を養うこともなく増税すれば財政破綻する」ということなのです。どこかの国に
極めてよく似ていませんか?

 このギリシャの例に照らせば、我がみんなの党が訴える「増税の前にやるべきことがあるだろう」が正しい処方箋
であることがわかります。今の日本は景気が悪いんですから、そこに大震災と原発事故が襲い国難にあるんですから、
まずはデフレから脱却して経済を成長路線にのせていきましょう、さらに、公務員制度改革をはじめ、国会議員や役人が
身を切る改革を断行していきましょう、至極まっとうな、当たり前のことだとは思いませんか?
 
※江田けんじの拙著「財務省のマインドコントロール」はこちら
 
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