なぜ、重要な問題指摘を一行も報じない!・・・消費税1%2.7兆円のウソ
2012年5月27日 tag:
今、野田政権が提案している「社会保障と税の一体改革」なるものは、消費税を5%から10%にあげて、総計13.5兆円の増収になるということを大前提としている。この前提で、年金に2.9兆円、子育てに2.7兆円、社会保障の安定化に7.0兆円などと割り振っているのだ。
しかし、考えても(いや考えなくても)、消費税1%分は2.5兆円だったはずだ。これで計算すると、政府の目論みどおりとしても増収分は12.5兆円。なんと1兆円も不足してしまうのだ。一円たりとも税金はおろそかにしないという点からみても、何よりも、「社会保障と税の一体改革」なるものの大前提が崩れるという点からしても大問題だろう。
この点を、先週火曜日(5/22)の特別委で質すと、安住財務大臣は即座に答えられなかった。事務方に延々とその場で教えてもらって出てきた答えが、名目成長率を1%後半から2%に見込んでとのこと。じゃあ、それを法案に書き込まなければだめだろう。そう言うと、「いや消費税収は景気に左右されないから」。じゃあ、その数値は、これまでの平均2.5兆円で計算しないとだめだろう。
ちなみに、前回消費税を3%から5%に上げて以降(平年度化した98年以降これまで)の消費税収を全部調べると、確かに景気で変動はあまりなく、平均で2.5兆円、一度たりとも2.7兆円などという高水準になったためしがない。それを見込んでいるのだから「何をかいわんや」だ。
ことほど左様に、支離滅裂なのだ。これは、ただ一つの象徴的な例でしかない。基本中の基本も財務省の言いなりだから、政治家は誰も詰めてもいない。野田首相も同じだ。
しかし、さらに問題なのは、こうした大問題を、もはや政府と一体となって「増税一直線」の新聞、大手メディアが一行も書かない。そして、今日も新聞を開けばがひたすら権力に媚びへつらう編集委員なる者が増税賛成論を何度も何度も繰り広げ?る。自説を開陳するのまでやめろとは毛頭言わないが、いやしくも?「ジャーナリスト」なら、その反対論も十分紹介してから論じるべ?きだろう。
そして、返す刀で「国会には政策論議がない」「スキャンダル追?及や責任追及ばかりだ」」と批判する。でも、政治家がマスコミに何か「モノ?言えば唇寒し」ということになる。まあ、私の国会中継でも見てください。こちらからどうぞ。
私の議論のポイントは「景気の悪い時に増税してもさらに景気が悪くなって税収は逆に下がる。それが歴史の真実だ」という経済のABC。それには反論できないからすれ違い答弁を重ねる。「増税と成長はともにやらなければならない」。アクセル(成長戦略)とブレーキ(増税)」を同時に踏む馬鹿さ加減が、民主、自民の政治家にも大手メディアにも分かっていない。
※江田けんじの拙著「財務省のマインドコントロール」はこちら
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