TPPへの疑問、懸念に答える・・・⑦10年以内に関税ゼロの例外はあるのか?
2011年11月18日 tag: TPP
There is no rule but has some exceptions.「例外のない規則はない」。これが答えだ。はじめから「例外あり」で交渉を始めたら、まとまるものもまとまらなくなる。
TPPも同じだ。
交渉参加の条件も、「すべての品目、サービスを議論のテーブルの上にのせる」ということだ。テーブルにのせた後、「どう料理するか」がまさにTPP交渉になる。
この点、APEC帰国後、米国との関係で、言った言わないの痴話喧嘩があるようだが解せない。野田首相も反対派に配慮して、この程度のことで「言っていない」と釈明するようでは先が思いやられる。もっと胸をはって「全部、テーブルには出すが、あとは国益に沿い、主張すべきは主張し、とるものはとるから心配しなくていい」と言えばいいのだ。
日本同様、米国を含め、各国にはセンシティブ品目がある。米国の砂糖、乳製品、チリの砂糖・同調製品、乳製品、ブルネイの酒、たばこ、火器、花火、ベトナムの車や二輪車、マレーシアのマレー人優遇(ブミプトラ)政策等々だ。特に、米国はTPPに参加しても豪州に対する砂糖の関税だけは維持するという交渉態度だ。マルチの場というのは、こうした種々の利害を調整し、最大公約数でまとめることだ。
こうした背景、事情を理由に、今回のホノルルAPECにおけるTPP交渉でも、サービスや政府調達の分野では、各国が例外の項目を提示した。9カ国の首脳声明でも「既存のFTAでも市場開放の例外が存在する」「経済発展の違いを考慮する」ことに言及した。要は、「例外交渉」はこれからの交渉次第であり、「何が日本にとって国益なのか」という判断基準で対処していけば良いことが判明したのだ。
私は、日本もこのTPPをチャンスに、既得権益やしがらみを打破し改革を進めるべきで、例外はなるべく認めるべきではないとの立場だが、仮に、米国等から理不尽な要求があった場合には、こうした他国の「例外扱い」を逆手にとって、日本の国益を主張していけば良いだけの話だ。
(シリーズ/TPPへの疑問、懸念に答える)
⑥ルール作りを主導すると言っても、もう遅いのではないか?
⑤食品の安全が脅かされる
④ISD条項で外資の日本への訴訟が頻発
③一旦TPP交渉に入ると離脱できない
②貿易自由化はTPPではなくFTAやEPA等二国間交渉で進めるべきだ
①TPPは米国の陰謀、日本狙いうちの輸出倍増策だ
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