座して死を待つのか!?日本の農業・・・「TPP参加」と「減反廃止」で成長・輸出産業に!
2011年10月27日 tag: TPP
日本の農業は、手厚い保護政策の下で発展してきたか? 結論は真逆である。ウルグアイラウンド交渉の結果、6兆円の予算をばら撒いても、778%の高関税をコメにかけても、日本の農業は衰退の一途をたどってきた。この50年間で岩手県分の耕作地が失われ、埼玉県分の耕作放棄地が出現したことに象徴される。
そして今や、農業生産額はGDPの1.5%、就業者人口は3%だ。そのうち、65歳以上が6割以上を占め、35歳未満はたったの3%にすぎない。このまま、TPP反対派のいう保護政策を採り続けていたら、確実に10年後、日本の農業は消えてなくなるだろう。「TPPで農業は壊滅する」のではなく「このまま放っておけば農業は壊滅する」のである。
だからこそ、「攻めの農業政策」が必要になるのだ。食料の自給率向上と言いながら、それに逆行する「減反政策」(官僚統制)はやめる、貿易もTPPで自由化する。確かに、それで今一俵13000円前後の日本のコメの価格は10000円を切るだろう。しかし、中国や米国のミニマム米の輸入価格が約10000円前後であることに鑑みれば、また、今後、株式会社や若者の新規参入や大規模集約化等をすすめて生産性を向上させていけば、十分、価格的にも伍していける。
今でも、北京や上海、シンガポールでは、何倍もの高価格の日本のコメが、「おいしい」「品質が良い」といった理由で飛ぶように売れている。それが価格的にも戦えるということになれば、立派な輸出産業として変貌していくことも可能になるだろう。今後、特にアジアでは、日本並みの所得を有する良質な消費市場が形成されていくのだ。このチャンスを逃すべきではない。
ただし、価格が下がることで農家の収入は減る。その分を「戸別所得補償」で支えていけば良いのだ。今後とも農業で頑張りたいという意欲ある農家は、国が「直接支払い」で支援していく。中山間地等の零細農家は、それをより手厚くしたり、集落営農化することで維持していけば良い。
世界の潮流は、需給調整による「価格支持政策」から、「直接支払い」に移行している。減反や高関税をやめるかわりに「直接支払い」で、安全保障品目である農産品、その自給率を向上させていくのだ。こうした形で、日本の農業を成長産業、輸出産業にしていくことができれば、いざ食糧危機が到来し、世界の農産品貿易が止まった時でも、その輸出余力を国内に振り向ければ、日本の食料自給率も高まる。
民主党政権のように、減反もやめない、高関税もやめない、こうした「価格支持政策」をとりながら、一方で「戸別所得補償制度」という「直接支払い」も導入する。しかも、この民主党の「所得補償」は、専業農家も兼業農家も、大規模農家も零細農家も、頑張る農家ももう頑張らない農家も区別なく、一律に税金を交付する。戦略なき、理念なき「バラマキ政策」と評されるゆえんだ。
TPP反対派は「農業を守る」と言いながら、従来以上の保護政策を、過大な税金投入と消費者負担でとり続け、不必要な参入障壁を設け、やる気のある人材、企業の参入を阻止する。その結果、日本の農業を壊滅させる道を歩んでいることがわかっていない。今、必要なのは「積極的な農業産業政策」(攻めの農業政策)なのである。
(貿易自由化を前提とした農業の成長産業戦略については、以下を参照)
http://www.eda-k.net/column/week/2010/12/20101206.html
http://www.eda-k.net/column/week/2010/12/20101213.html
http://www.eda-k.net/column/week/2010/12/20101220.html
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