原子力安全庁・・・環境省か内閣府か?
2011年8月 6日 tag:
答えは、いずれもNOである。
私が提案する原子力安全庁は、独立行政委員会たる「原子力安全委員会」の下に置く。あたかも、警察庁が国家公安委員会にぶらさがっているようなものだ。
原子力の安全は、既存の省庁に横断的に広く関係する。経産省はもちろん、汚染牛なら農水省と厚生労働省、放射線なら文部科学省といった具合だ。したがって、それらから独立した公正中立性が強く求められるため、内閣から独立した行政委とし、そこに関係各省庁への強力な勧告、命令権を与える。
いわば「原子力警察」のようなものだ。警察庁は事務方として官僚がトップ、その大臣は国家公安委員長だ。この図式がそのまま当てはまる。事務方は、現在の原子力安全保安院と原子力安全委の事務局を統合する。国家公安委員(委員長1人と委員5人)がそうであるように、安全委の委員には「原子力村」以外の有識者を当てる。
この点、細野原発相は、独立委の場合、「危機管理に不安がある」という問題点を指摘しているが、警察庁という組織形態自体に危機管理上の問題があるとは、誰も思っていないだろう。また、内閣府ではなく、独立委とすることで、人脈的に経産省はじめ「原子力村」との癒着が切れるか、という危惧も解消される。
一方、環境省にくっつけるのは案にならない。縦割り意識が強い霞が関で、そうでなくても「色男、カネも力もなかりけり」の環境省には荷が重すぎる。また、CO2排出との関係で利益相反も起こりうる。原発は少なくともCO2は排出せず、地球温暖化目標との関係では、原発には甘めに、という判断も働くからだ。
江田試案として、「原子力安全委員会―原子力安全庁」という体制を提案したい。
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