原発事故の賠償問題をめぐる思惑
2011年5月 5日 tag:
今、この国を支配する最強軍団による「賠償機構」スキームが加速度的に固まりつつある。遅々として進んでいない被災民生活再建、被災地復旧を横目で見ながら。
それは東電やその利害関係者の利益を損なわないという一点で思惑が一致しているからだ。利害関係者とは、東電に莫大な資金を貸し込んでいるメガバンク、電力の地域独占等の現体制(天下り権益を含む。)を維持したい経済産業省、賠償に無駄なお金は使いたくないという財務省だ。
要は、巨額な賠償をした後も東電はそのまま残る。東電を通じて利益を得てきた株主の責任も貸し手の責任も問われない。今回の事故や停電等への反省のもとに電力の再編・自由化も行わない。
その代わり、賠償の負担は電気料金の20%値上げで国民が負担する。国から機構に拠出される「交付国債」も、換金の必要が出た時点で国民負担となる。
これで良いわけがない。この賠償責任は、一に東電(経営責任を含む。)、二に株主、三に貸し手、四に社債権者が負うのが筋だろう。その上で国民負担は最小化しなければならない。物事には順序というものがある。
Copyright(C) Kenji Eda All Rights Reserved.