国民一人一人の夢を実現できる社会を実現したい

江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

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衆議院本会議 代表質問(2/16)

2015年2月16日 動画 | 国会活動 | 活動報告 tag:

平成27年2月16日(月)、衆議院本会議において江田憲司代表が代表質問を行いました。

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代表質問の動画はこちらです。
衆議院インターネット審議中継

代表質問の原稿はこちらです。
代表質問原稿(PDF形式)

《施政方針演説に対する代表質問 原稿全文》

 維新の党代表、江田憲司でございます。

(はじめに)

 ISILによる邦人拘束事件は、悲しいことに、最悪の結果となりました。亡くなられたお二人のご冥福をお祈りし、ご家族の皆様に衷心よりお悔やみを申し上げます。


 こうした残虐非道な蛮行を断じて許すわけにはいきません。テロにも絶対に屈してはいけません。しかし、政治は結果責任です。今回、なぜ人質の救出ができなかったのか。安倍総理には、虚心坦懐に一連の対応を検証し、国会に報告されることを求めます。政府は身内だけで検証作業を開始したようですが、重要なことは、第三者による客観的な検証です。そして、それを今後のテロ対策に活かしていくことです。


 さて、安倍総理、今、日本に一番、求められているものは何でしょうか?それは「新陳代謝(イノベーション)」です。


 旧い細胞を排出して新しい細胞を作る、そうして人間の身体も成長していきます。国も同じです。非効率な産業・分野から、「ヒト・モノ・カネ」を新しいフロンティア、成長分野にシフトさせていく。これこそが国の「新陳代謝(イノベーション)」です。そうすれば、「少子高齢社会」の重圧と「国際大競争時代」の荒波にさらされている日本の将来を、必ず切り拓いていくことができるでしょう。


 そして、それを担うのが「民間の活力」と「地域の底力」なのです。だからこそ、大胆な規制改革を断行し、わざわざ民間活力をそいでいる「手枷足枷」(官僚統制)を取り払い、その能力を最大限に発揮させる、さらには、基礎自治体(市区町村)に徹底的に権限、財源を国から移譲し「地域のことは地域で決める」、そして地域の強みを見出し、その可能性を伸ばしていく。維新の党は、こうした「新陳代謝(イノベーション)」を、利権圧力団体(既得権益)に一切依存しない、全くしがらみのない立場から、断行してまいります。


 この「維新の大改革」は、しかし、あの「冷たい改革」と言われた「小泉改革」とは違います。経済政策では、確かに「市場主義」「自由主義」を基本としますが、社会政策では、その負の側面に配慮し、失業者の発生や格差拡大には手厚いセーフティ―ネットを張ります。例えば、衰退産業には市場から退出していただきますが、そこから出た失業者には、北欧諸国で行われているような職業訓練、次の就業機会の確保等の施策を講じます。低所得者向けには、「給付付き税額控除」や生活保護と基礎年金等をシームレスにつなぐ「最低所得補償」の制度導入も目指します。


(アベノミクスの評価)

 こうした維新の考え方をベースに、「アベノミクス」を検証してまいります。大事なことは、景気が本格的に回復し、現実に給料が上がり、国民生活が安定していくことです。


 「アベノミクス」。その方向性自体には、維新の党は賛成です。しかし、考えてみれば、それは、これまで歴代政権等が取り組んできた政策を、一つのパッケージにまとめたという意味はあるものの、その政策自体に新味はありません。 


 唯一ありそうなのが「第一の矢」=「大胆な金融緩和」「物価安定目標の設定」ですが、これも安倍政権が誕生する三年以上も前、みんなの党が結成された時のマニフェストに書かれていたことです。旧日本維新の会も掲げました。当時は、「珍説」「奇説」の類と批判されたものですが、それを安倍総理が採用された。その結果、株価も上がり、円高も是正され、失業率も下がった。そこは率直に評価したいと思います。


 しかし、この「金融緩和」は「カンフル剤」でしかありません。何本も打つものではありませんし、打ってもその効果は減殺されていきます。問題の根本的解決にもつながらない。昨年秋の二本目のカンフル剤は、増税失敗の影響緩和というやむをえない事情はあったものの、今後、三本、四本と打っていくと副作用、弊害も出てきます。総理、こうした金融緩和が行きすぎた場合の弊害を、具体的にどう認識されていますか?


 デフレ脱却、本格的な景気回復には、「お金」だけでなく「モノ・サービス」、すなわち「実体経済」を動かしていく必要があります。金融緩和というカンフル剤で一時的に身体はシャキっとしますが、「体質改善」は手術をしなければ実現できません。その意味で、第二、第三の矢が重要となってきます。


 その「第二の矢」=「機動的な財政政策」は、当たり前のことです。しかし、残念ながら、この「第二の矢」は「あらぬ方向」に飛んでしまいました。そう、端的に言えば「公共事業のバラマキ」に堕してしまった。


 ここ数年、決算ベースで公共事業は例年の二倍、年一〇兆円にまで膨れ上がっています。しかし、そのうち二~四兆円を使い残している。一体何のための消費増税だったのか。あまりの「バラマキ」に消化不良を起こしている公共事業に頼っていても景気浮揚は望めません。政府は表向き認めていませんが、やはり、「国土強靭化」と称して「一〇年間で二〇〇兆円」もの公共事業をばらまくのではありませんか?


 総理、「経済最優先」とおっしゃるなら、もっと国民の懐を温める政策、家計を潤す分配政策が必要でしょう。あれだけ我々が警告したのに、昨年四月、消費増税を強行し、国民経済の六割を占める消費が落ち込んでしまった。せっかくそれまではデフレからの脱却が進みつつあったのに、今や直近の統計で、デフレギャップは一五兆円にまで拡大してしまいました。これを埋めなければならないのに、来年度予算、補正予算とも、消費を喚起する政策、予算があまりにも少ない。


 例えば、本予算では低所得者に六千円/人、子供一人当たり三千円を給付することになっていますが、この予算額がたったの二三〇〇億円。補正予算で講じた商品券等を交付する二五〇〇億円をあわせても五千億円程度でしかありません。「商品券」の効果も過去の「地域振興券」の例からして乏しい。加えて、増税先送りを口実に、七九〇万人の低年金生活者への月五千円の給付金や、保険料納付期間を二五年から十年に短縮する措置は見送られました。公共事業に何兆円も余らせる余裕があるのなら、なぜ、これら「見送り分」、せいぜい二千億円程度の財源が捻出できなかったのでしょうか。


 ここは、やはり思いきって三・五兆円の補正予算全額を消費喚起策に充てるくらいの大胆さがあっても良かった。例えば、商品券ではなく、使途限定の保育バウチャーを子育て世帯に、福祉バウチャーをお年寄りに、直接交付する。そして、そのバウチャーを持って利用者が施設を選べるようにすれば、事業者間の競争でサービスの質も向上する。一挙両得です。総理、如何でしょうか?


 なお、一〇%消費増税先送りの際、一七年四月からの増税は「景気条項」なしで必ず実施、とされたのはいただけません。総理は今国会でも「経済は生き物であり、計画経済のようにがちがちに固めていくと、結果かえって悪くなることもある」と述べられました。まったくその通りです。財政運営も時々の状況変化に応じて適時適切に「経営判断」するのが基本です。維新の党も将来の増税を否定するものではありませんが、これでは昨年の増税失敗の反省がまったくありません。ご再考ください。


 そして、アベノミクスの一番の問題が、「成長戦略」=「第三の矢」が飛んでいないことです。維新の党は、その「一丁目一番地」が「規制改革」と「地域主権改革(分権改革)」だと位置づけていますが、これも何のことはない、歴代政権が取り組んできたことです。そう、安倍総理もおっしゃったように「要は、やるか、やらないか」、「行動」なのです。しかし、これまでの自民党政権でできなかったことが、どうして安倍政権ならできるのか、ここがポイントです。規制で守られた人たちから票や金をもらい、中央集権の下で甘い汁を吸ってきた官僚に支えられている自民党に、本当に「規制改革」や「地域主権改革」ができるのか。これは、人間の本性、人間社会の根源的な問題にも係るところです。


 だからこそ、「ここに維新の党あり」なのです。旧いしがらみや既得権益からまったく無縁の、維新の党だからこそできる本当の改革、「身のある改革」、それが「規制改革」であり、「地域主権改革」なのです。


 安倍総理のおっしゃるとおり、単なる批判の応酬からは何も生まれません。維新の党は、しっかり「対案」を示しながら、総理のいう「改革」について質してまいりますが、それにしても総理、「戦後以来の大改革」とは大見えを切られたものです。「戦後の改革」とは、戦争放棄、国民主権の確立、教育の民主化、農地解放、財閥解体といった「国のかたちを根底から変える改革」でした。残念ながら、総理の改革は、とてもその域には達していない。はっきり最初に申し上げておきます。


(規制改革)

 さて、「規制改革」です。農業や医療・福祉、電力・エネルギーといった日本の将来を切り拓く成長分野ほど規制でがんじがらめ。この民間活力をそぐ「手枷足枷」をはずしていかなければなりません。


〈農業・農協改革〉

 まずは、「農業改革」「農協改革」です。


 維新の党は「農業は守るが農協は守らない」。農業を輸出・成長産業にする、そのために頑張る農家、特に専業、主業農家は支援する。これが基本的な方針です。


 今、JA全中の監査権の廃止ばかりがクローズアップされていますが、この程度の「組織いじり」の、どこが「農政の大改革」なのか。「大改革」とおっしゃるなら、実際に農業の将来を切り拓いていけるだけの中身がなければ意味がないでしょう。全中の監査権を廃止しても、それをそのまま「監査法人」に衣替えし、身内のお手盛り・馴れ合い監査は続ける。「監査権」は「総合調整権」と名前を変え、かえって全中は何でもできるようになる。そして、自民党の選挙マシーン=都道府県中央会には手をつけず、見事に温存です。こうした、いつもながらの自民党のお家芸=「看板の掛替え」や「お化粧直し」で、日本の農業の危機的状況が打開できようはずがありません。


 地域の農協の創意工夫が重要だと言うなら、同じ地域に第二農協、第三農協の設立を促し、競争させた方がはるかに効果的でしょう。あえて「よそ者」を入れる、異業種連携・融合から新しい知恵は生まれてくるのですから、農業生産法人の要件緩和はもちろんのこと、株式会社にも農地所有を認める。お年寄りや若者も、最近は地方に行って農業をしたいという人も増えているのですから、どんどん受け入れる。これは農家の担い手不足解消にもなります。そのためには、地の人で固めて、よそ者を入れたがらない農業委員会の改組も必要です。「農業委員会」は別名「転用委員会」とも言われ、その「転用期待」が農地の集約・大規模化が進まない阻害要因にもなっています。こうした、いわば「平成の農地解放」を断行すべきと考えますが、総理の見解を求めます。


 「農協改革」を言うなら、今やメガバンク並みになった金融部門を農協から分離し、金融庁の監督下に置いて、他の金融機関との公正な競争を促すべきでしょう。JAバンク・共済による収益が農協の本来事業を支えているという構図は、あたかも民営化前の郵政三事業と同じです。さらに言えば、農協の正組合員(四六一万人)より准組合員(非農家五三六万人)の方が多いという現状は、どう考えても法の趣旨を逸脱しています。独禁法の適用除外や税の優遇も、農協が「農業者の協同組織」だからこそであり、准組合員の利用制限も含め、その抜本的な是正策は避けて通れないでしょう、総理。それとも農協や自民党内の抵抗勢力を恐れて手をつけませんか?


 また、政府は食糧自給率の向上を目指しているのですから、減反も本当に廃止してコメをどんどん作れば良いじゃありませんか。政府は「減反廃止」を言いますが、その実は「形を変えた減反政策の継続」「名ばかり廃止」です。確かに国が音頭をとって生産目標を配分する制度は一八年度に廃止されますが、コメ以外の作物に転作する奨励金を増額して実際にはコメの減反を促す。こうした需給調整でコメの値段を高止まりさせて農家の所得を維持する、いや補助金(税金)で増やす。損をするのは高いコメを買わされる国民、消費者という、いつもながらの図式です。


 日本のコメは「美味しくて安全」、海外でも飛ぶように売れています。減反という需給調整を本当になくせば、コメの値段はさらに下がり、もっと輸出できるようになるでしょう。ただ、その分だけ農家の所得は下がる、そこは税金で一時的に直接支払い(所得補償)をしても良い、頑張る農家は支援する、欧米では当たり前のことです。そして、七七八%もの関税は段階的に廃止していく。


 総理、この数十年間、日本の農業は、ウルグアイラウンド対策費で六兆円の税金をばらまいても、コメに異常な高関税をかけても、衰退の一途をたどってきました。その間、岩手県分の農地が失われ、滋賀県分の耕作放棄地が増えた。そして、農家の平均年齢は今や六六歳です。このまま自民党の保護農政を続けていたら確実に日本の農業は壊滅してしまいます。総理、発想を抜本的に転換して、維新の党が提案する真の「農政の大改革」を断行して、ともに日本の農業の将来を切り拓いていこうではありませんか。


〈電力自由化と原発〉

 電力の自由化も重要です。発送電を分離して送電線を自由に使わせる。そうすれば電力分野に様々な会社が参入してきます。欧州のように消費者が電力会社を選べるようになる。そして競争で電力料金も下がっていくことでしょう。


 先の原発事故から得られた教訓は、「計画停電」が不可避であったように、原発のような大規模集中電源が、電力の安定供給にはかえって資さないということでした。原発の「安全神話」が崩れたと同時に「安定供給神話」も崩れたのです。これからは「地域分散型の小規模電源」こそが、いざという時のリスクを分散し、電力の安定供給を担っていく。そのためにも可及的速やかに発送電の分離を進めていかなければなりません。


 また、都会にくらべて地方に行くほど風力や太陽光のポテンシャルがある。太陽光パネルを置ける土地もある、海岸線を中心に風が強い。それを活用して地産地消の電力会社が雨後のタケノコのようにできれば、そこに雇用が生まれ、給料が払われ、税収が上がり、地域おこしにもなります。そう「地域創生」のためにも電力自由化が不可欠なのです。


 そこで総理に伺います。報道では二〇二〇年に発送電を分離し、その方式は「持ち株会社方式」と伝えられていますが、事実でしょうか? 送電線を電力会社から分離しても、相変わらずその影響下にある方式では、こうした新規参入が十分に行われません。欧州のような「所有権分離」が理想ですが、それが私的財産権の関係で難しいなら、米国のように、少なくとも送電部門を公正中立な「独立系統運用機関」に任せる方式を採用すべきではないですか?


 維新の党は、こうした電力の自由化を進めていけば、もう安くもない安全でもない原発は自然に市場で淘汰されると考えています。いわゆる「原発フェードアウト(段階的自然消滅)」です。


 総理は、米国エネルギー省の公式データでは、原発は既に太陽光を除き一番高い電源だということをご存じですか? 原発が9・61セント/kwhであるのに対し、最新鋭の天然ガス火力が6・44セント、温暖化対策にもなる二酸化炭素貯留型(CCS付き)の天然ガス火力でも9・13セントです。以下、風力8・03セント、水力8・45セント、石炭火力9・56セントです。日本の原発が安いとされてきたのは、本来参入すべきコストを参入してこなかったからです。総理、それでも原発は他の電源に比べて安いと強弁されますか? そうなら米国エネルギー省のデータをどう理解されてのことですか?


 総理は「原発依存度を可能な限り低減させる」としながら「原発は重要なベースロード電源」とも位置付ける。矛盾していませんか? 原発の再稼働に向けた手続きを着々と進めておられるようですが、原子力規制委員長ですら「基準への適合は審査したが、安全だとは言わない」としている川内原発をはじめ、どうして急いで動かすのですか? 三〇キロ圏内の地元同意はとれたのですか? 避難計画は万全ですか? 核のゴミの最終処分場は決まったのですか? 「安全」だという責任は最終的に誰が負うのですか? それぞれお答えください。


 維新の党は、再生エネルギーの開発・普及や省エネに努めながら、シェールガス革命で価格が急落した天然ガスの高効率コンバインドサイクル等を「つなぎ電源」として、将来の「原発ゼロ」を目指します。それに伴う一時的な電気料金の上昇は、LNGをはじめとした燃料調達コストの低減、火力発電所のリプレースによる高効率化、「総括原価主義」の見直しなどで抑えてまいります。


〈働き方の多様性と雇用の流動性〉

 次に雇用法制です。


 働く者のライフスタイルや意識の変化等に応じて「働き方の多様性」を認めていく、経済の新陳代謝を促すために「雇用の流動性」を高めていく、という基本的方向には、維新の党は賛成です。しかし、一方、それは、働く者の立場を守る、しっかりとしたセーフティーネットを張る、そうした仕組み作りと表裏一体だと考えています。


 政府は、時間ではなく成果に賃金を払う「脱時間給」の導入を柱とする労働基準法の改正案を今国会に提出されるようですが、そうなら、一方で「長時間労働」「過労死」を防ぐ対策も欠かせません。また、労働力人口が二〇三〇年には今より九〇〇万人減少するとされる中で、労働生産性を高める努力も必要不可欠です。日本の賃金体系はざっくりと言えば、基本給は「年功給」、残業代は「時間給」というものですが、こうした「働きすぎ」防止という観点、少子化時代の「労働生産性向上」という観点からの雇用法制の在り方について、総理の所見を伺います。


 また、労働者派遣法改正案については、働く者が望む限り、派遣も含めて、働き方の選択肢が広がるのは良いことですが、重要なのは、いわゆる正規と非正規の間に、賃金・待遇の面で大きな格差があることです。維新の党は先の臨時国会に「同一労働同一賃金」を定める法案を提出しましたが、総理のお考えを伺います。


(大阪都構想と地域主権改革・被災地再生)

 維新の党が目指すもう一つの「新陳代謝(イノベーション)」には、「地域主権改革」、市区町村に徹底的に権限、財源を移譲する「道州制」の導入があります。これこそが「中央集権体制」を打破する、「戦後以来」の、いや、「明治維新以来の大改革」です。そして、その象徴的なプロジェクトが「大阪都構想」なのです。


 安倍総理は、この構想について「二重行政の解消と住民自治の拡充という目的は重要。政府としては住民投票で実施の意志が示された場合には必要な手続きを進めていく」とされています。総理、引き続き、この移行プロセスに賛同していただけますね。


 「大阪都構想」には、東京と大阪、その二大エンジンで日本の成長を引っ張っていく、東京一極集中の是正と日本の新たな成長像を示すという意義もあります。五特別区には東京二三区以上の中核市並の権限、財源が与えられます。


 また、「大阪都構想」には「民間でできることは民間に」という方針もあります。その一環として、大阪市では、地下鉄、バス、上下水道等の民営化を進めようとしていますが、大阪市議会、自民党の反対で実現していません。「公共施設の民間による運営」は、安倍総理の「成長戦略」の大きな柱の一つでしょう。そこで、伺いますが、地下鉄は民営化しても施設自体は残るので、地方自治法二四四条の二第二項の「特別決議」を要する施設の「廃止」には当たらないと解しますが、如何ですか。当たるのであれば「通常決議」で民営化できる法改正を求めます。


 安倍政権になって、こうした「地域主権改革」に消極的なのが残念でなりません。自民党が野党時代に策定した「道州制基本法案」は先送りされ、「道州制特区」に指定された北海道に移譲された権限は「商工会議所定款の一部変更認可」や「鳥獣保護法の麻酔薬使用許可」といった些末なものばかり。政府が先月、閣議決定した「地方分権改革の対応方針」も不十分なものです。総理の反論を聞かせてください。


 あの大震災から四年近くが経ちました。しかし、未だ二三万人の方々が避難生活を余儀なくされ、復興事業もまだまだ途上です。来年度は「集中復興期間」の最終年であり、「道州制特区推進法」の見直しも予定されています。この「集中復興期間」を延長するとともに、東北地方も「道州制特区」に指定し、権限や財源をおろして「被災地のことは被災地が決める」、復興の加速化を図るべきと考えますが、総理の見解を伺います。


 原発事故も「収束」には程遠い状況です。政府は、廃炉や汚染水対策、損害賠償、汚染土壌の除去・処分等で「前面に立つ」「責任を持つ」としてきましたが、被災地の方々は決してそう受け止めてはいません。それぞれの問題について、国として、どう前面に立ち、責任をもっていくのか、お答えください。


(身を切る改革の断行)

 「信なくば立たず」。すべての政策の前提は、国民の政治への信頼です。増税で国民に負担を求めるなら、年々増加する社会保障費の抑制をはじめ歳出削減を断行していくなら、尚更のこと、国会議員が率先して「身を切る覚悟」を示さなくてはなりません。


 維新の党は、議員定数や給与の三割カット、文書通信交通滞在費の使途公開法案を国会に提出しています。安倍総理にも累次、その「身を切る覚悟」をお聞きしてまいりましたが、「それは議会でお決めになること」と繰り返され、自民党総裁としての指導力を発揮されてこられませんでした。


 しかし、大阪ではどうでしょうか。橋下徹さんが大阪府知事になり、府議会で大阪維新の会が過半数を占めた途端、府議会議員の定数は一〇九から八八に二割削減、給与も三割カットです。その後、橋下さんが大阪市長になると市長給与も四割カット、退職金もとうとうゼロにした。総理、これが政治ではありませんか? 維新の党は、こうした大阪でできたこと、やれたことを国政でもやりたい! 行政のトップをとり議会で過半数をとれば、安倍さん! やればできるんですよ! 今、貴方が総理であり自民党総裁、そして衆参とも与党が圧倒的多数を占めているじゃありませんか! 総理、おっしゃるとおり「やるか、やらないか」、「行動」あるのみ。やりませんか。「それは国会でお決めになること」、都合の良い時だけ「少数会派も含めて民主的に決めるべき」という相変わらずのご答弁なら、もう要りません!


 維新の党は、国会議員の給与三割カットに賛同が得られないなら、国会議員の給与を自主的に返納できる法案を提出します。現在は公職選挙法により、給与の国庫返納は違法寄附に当たります。それを閣僚の給与返上と同様に適法にする。総理、あくまで議員個人の判断による自主返納です。この程度のことは、自民党総裁として自民党に指示していただけませんか。


 さらに、維新の党は先般、自主的に「文書通信交通滞在費」の使途公開を党のホームページ上で行いました。国会議員一人当たり月百万円、年千二百万円もの税金が、使途公開も領収書添付もなく使われています。国会議員の「第二の給料」と言われる所以です。あの「号泣県議」の政務活動費の不正使用が暴かれたのも、その使い途の公開があったからこそでしょう。どこの会社でも経費は領収書付きで請求、こんなことは「世間の常識」です。総理、先の選挙戦中の討論番組でも、公開に全党、反対はなかったじゃありませんか。公明党の山口代表も「議院運営委員会の場で検討しよう」とおっしゃった。反対する理由はないでしょう、やりましょう!できないのなら総理、国会議員である御自身、また内閣の閣僚だけでも文書通信交通滞在費の公開をされてはいかがですか。総理、「要は、やるか、やらないか」、はっきり答弁してください。


 大阪市では、天下り先だった外郭団体を七二団体から一八団体に減らしました。外郭団体への天下りも一四八七人から七三九人に半減した。しかし、国では天下りが続々復活しています。特に、安倍政権になって、完全民営化が予定される政府系金融機関のトップへの天下りが顕著です。日本政策金融公庫や国際協力銀行の総裁には財務省OBが、商工組合中央金庫社長には経産省OBが、民間人に代わって就きました。日本政策投資銀行も副社長が財務省OBであり、いずれ社長昇格でしょうか? 政投銀、商工中金の完全民営化の時期はすでに二度も先送りされており、これでは改革路線の後退が心配です。総理、安倍政権下で、天下りの禁止を含む「公務員制度改革」は一体どこにいったのでしょうか?


 国民は増税で苦しみ、社会保障費の抑制や負担増で痛みを分かち合っていると言うのに、国会議員の給与は月額二六万円、年間四二一万円もアップ!国家公務員の総人件費も五一〇億円増! これではとても政治への信頼回復など望めません。


(外交・安全保障)

 最後に、「安全保障法制」「集団的自衛権」について一言します。


 この問題についての維新の党の立場は明快です。昨年九月の結党時にまとめた統一見解どおり、「我が国と密接な関係にある他国に対する攻撃の結果、我が国に戦火が及ぶ蓋然性が相当に高く、国民がこうむることとなる犠牲も深刻なものになる場合」には、憲法上「自衛権」行使は可能というものです。


 近時の武器技術の飛躍的進展等に応じて、通常兵器しかなかった時代に比べて、「個別的自衛権」と「集団的自衛権」という概念自体が相対化してきました。国際法がご専門の中谷和弘東大大学院教授も、「自衛権の現代的展開」という本の中で、「日本を守るために派遣された公海上にある米国艦船が攻撃を受けた場合」「有事における海上交通の安全確保と外国船舶」「発射直後の上昇段階にある弾道ミサイルの送撃」という例をあげられ、こうした「集団的自衛権の外縁」を「個別的自衛権として位置付ける可能性は排除されない」としておられます。まさに我が意を得たりです。


 今後、安全保障に係る法案が提出されれば、この相対化された「個別的自衛権」と「集団的自衛権」、その外縁が重なり合う部分で認める、その範囲内でしっかり歯止めをかけ、国民の皆さんの不安を払しょくするという方針で対処してまいります。


 そこで、総理に伺います。昨年七月の衆参予算委で「国民の権利が根底から覆される明白な危険とは?」との問いに、「国民に、我が国が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況」であり、また「あくまで自国防衛(自衛措置)であり、他国防衛自体を目的とするものではない」との答弁がありましたが、この政府答弁を、総理はどう、自衛隊法や武力攻撃事態法等の改正案に反映、明記されるおつもりですか?


 さらに、先の閣議決定を受けて、恒久的な自衛隊の海外派遣、後方支援に関する法案を提出されるお考えがあるかどうか、その際、いわゆる「周辺事態法」はどう扱われるおつもりか、お伺いいたします。


 最後に、こうした重大な憲法解釈は、政治家や官僚に任せるのではなく、「憲法裁判所」を設置して司法の判断で最終的な決着を図るべきと考えますが、総理が目指す憲法改正の折に入れるお考えはありますか?


 維新の党も、憲法も「不磨の大典」ではなく、時代の要請に応じて適時適切に改正していくのは当然だと考えていますが、その際、我々が求めている「統治機構改憲」、すなわち、「衆参統合による一院制」「首相公選制」についての見解も、あわせお伺いします。


(むすび)

 「偉大なことを成し遂げる人は、つねに大胆な冒険者である」。その著書「法の精神」で「立憲主義」「権力分立論」を唱え、フランス革命やアメリカの独立にも大きな影響を与えたフランスの思想家、モンテスキューの言葉です。後に、ナポレオンも「チャンスをもたらしてくれるのは冒険である」と述べています。


 そう、今、この日本に求められているのは「新陳代謝(イノベーション)」。そして、欠けているのは、それを実現する「ベンチャースピリット(冒険者精神)」ではないでしょうか。


 官僚や官僚に操られた政治家にこの国をゆだねれば、何か新しいことにチャレンジしようとしても、問題点ばかりが頭に浮かび「石橋を叩いても渡らない」。それではこの日本の危機的状況を打開し、将来を切り拓いていくことはできません。失敗を恐れず果敢に挑戦する、最初から「できない」とは言わず「どうしたらできるか」を考える。今の日本に必要なことではないでしょうか。


 その「ベンチャースピリット(冒険者精神)」を体現しているのが維新の党」、「JAPAN INNOVATION PARTY」です。自民党や民主党という大政党に入って、一段一段、階段を上っていくのも人生でしょう。しかし、まず、その「冒険者精神」でベンチャー政党・維新の党を立ち上げ、それを大きくしていく、その夢と喜びを国民の皆さんと分かち合いながら、やがて、晴れて上場を成し遂げた時、はじめて日本の政治が変わる、まさしく「戦後以来の大改革」が実現するのだと確信しています。


 真の改革政党=維新の党への国民の皆さんのご理解とご支援を心からお願い申し上げ、私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

代表記者会見(2/12)
議員歳費自主返納法案 提出後会見(2/18)