国民の中にたまったマグマに、噴出すきっかけを与えたい
―――無所属にこそ政治の可能性がある
「SIGHT」2009 SPRING号 掲載記事
江田憲司氏は、元通産官僚であり、橋本政権では総理秘書官を務めたというキャリアの持ち主でありながら、自民にも民主にも属さないインディペンデントな立場から公務員制度改革や規制改革、分権改革に取り組んでこられた稀有な政治家である。氏は「脱藩官僚の会」を立ち上げて税金の無駄遣いを徹底的に監視し、渡辺喜美氏らとの「国民運動体」では政治・行政を国民の手に取り戻すべく全国規模の草の根運動を展開しようとしている。数合わせの政局しか考えないお遊びのような政治家ではなく、政策を打ち出すプロの政治家として、民主主義のあるべき姿を模索する江田氏に、官僚主導体制がもたらす政治的停滞をどうやって突破すればいいのか、そしてこの国の新たなグランドデザインをどうイメージしているのか、未来に向けてのビジョンとその戦略を訊いた。
なぜ自民でも民主でもなく、無所属なのか
――― まず、江田先生が政治家としてどういった立ち位置でいらっしゃるのかというところからお話をおうかがいしたいと思います。これまで先生は、最初の選挙のときに自民党の公認候補として出馬されましたが、その後はずっと一貫して、自民でも民主でもない、他の政党でもない、ひとりの無所属の議員として活動されてきました。政党に属さないということは、当然デメリットも多いと思うのですが、それでもあえてそうしたポジションを取られた理由は何ですか。
江田 まず、今の政治全般、政治家についての話から始めたいと思いますが、私は、海部、宮沢内閣の時に通産省から官邸に出向し、総理演説や国会対策の仕事をし、橋本政権では、政治担当の総理秘書官として政界の裏表を見させていただきました。特に総理秘書官時代に、中央省庁の再編や行財政改革、大蔵省の分割などに取り組む中で、政治家という人種は保身ばっかりでリスクを取らないし、八方美人で「寄らば大樹の陰」だなと痛感したんです。たとえば、当時も郵政民営化が大問題になっていたんですが、政治家は相手の顔色をうかがい、その人が民営化賛成だと思えば「私は賛成です」と言い、翌日には民営化に反対しそうな人の前で「私も反対なんですよ」と平気で言う。こんな嘘八百を政治家は平気でつける、自民党の幹部クラスですらそうなんですね。そういう姿を何度も何度も見せつけられました。これではどうしようもないと思いましたね。一方、官僚の方も口を開けばとにかく組織防衛、行革反対の話ばかりするわけです。秘書官は総理の横で事務次官や局長の話を聞けるわけですが、これが自分の10年後、20年後の姿かと思うと、情けないというのを通り越して、もう官僚でいる意味はないと思いましたね。
こんな政治家や官僚と付き合っていたら自分自身がスポイルされてしまう、だめになってしまう。そう思って、橋本政権終了と同時に辞表を出して、プータローでハワイに渡ったんです。ですから、その時は政治家になるつもりはありませんでした。でも、1年の放浪生活でリフレッシュしたこともあって、今、自民党で選対副委員長をしている菅義偉さんに「江田さん、ぜひ出てくれ。全部面倒みるから」と熱心に要請されて最初は自民党から出馬したんです。総理秘書官当時、議員バッジもつけずに国政を左右するのかと散々批判されましたから、じゃあ選挙に出てみようじゃないかと思ったことも事実です。その時はまだ、自民党を中から変えられると思ってたんですね。でも選挙を実際やってみてはっきりとわかりました。決定的だったのがやはり、自民党の組織選挙というか、しがらみ選挙で、利権圧力団体のボスに頭を下げまくることでした。こんなことをやっていたら当初はいくら高い志を持っていても、どんどん矮小化していって、しがらみに足をとられて自分を見失うと思って自民党を離党したんです。02年秋のことでした。当時は小泉政権全盛時で、損得だけいえば損で、渡辺喜美さんのように注目もされませんでしたが、これは私の確信犯的な、信念に基づく行動だったのです。
それ以来、私は一貫して完全無所属を通してきました。まさに茨の道で途中落選も経験しました。正直、自民党や民主党のトップレベルからお誘いを受けたこともありますし、当選だけ考えればもっとうまい処世術もあったでしょう。しかし、今の自民党も民主党も「エセ二大政党」で政党の体を為していない、基本政策すら一致していない寄り合い所帯では、この日本の危機を救う骨太の政策も打ち出せない。民主党も今は、政権が目前だからまとまっているように見えるけれど、政権を獲った途端に、基本政策の違いからまた内紛が起こるに違いない。
政治家って、一体何のために政治家をやっているんだろうと思いますよ。政治家は自分の信念や主義主張を実現するために存在しているんでしょう。でも、今の政党政治は、国会議員の大きな塊が二つあるだけで、決して理念や政策本位でまとまっているわけではない。だから、自民党にいて朝から晩まで党本部の会合に出ていれば、何か仕事をしているような錯覚にはとらわれますが、実際は国政に何ら影響を与えていない。気の毒なものです。党内議論はいつも足の引っ張り合いで、この前の消費税騒ぎなんかもその典型でしょう。そこで官僚が出てきて「先生、それでは足して二で割って、こんな感じで如何でしょうか」とその場をおさめる。こんな官僚政治が横行する最大の理由が、この政治家、政党政治の体たらくなんです。結局、この国は何のことはない、官僚が動かしているんですね。こんなことを続けていたら、結局、一番不幸になのは日本の国民だと思いますよ。
――― 今、国民の側もそうした政治の機能不全に気づいていますよね。
江田 私はね、静かなる地殻変動が起きていると思うんです。要は90年代のわかりやすい日本新党ブームのような爆発力はないのかもしれないけれど、それ以上のマグマが今、国民の間に、静かに奥深く溜まっている。だけど、なかなか日本の国民というのは醒めた面もあるから、韓国みたいに100万人といわれるデモが起こったり、暴動が起こったりしません。でも、このマグマを噴き出させるきっかけさえ与えれば、すさまじい勢いで噴き出してくると思いますよ。それが次の総選挙の時ですね。
官僚主導から政治主導の統治構造へ
――― 江田先生の取り組みについて順を追っておうかがいしていきたいのですが、昨年、先生は霞ヶ関に対峙しう得る政策集団として、志を同じくする元官僚を集めて「脱藩官僚の会」を立ち上げられました。ここでは、天下りの全面禁止、税金の無駄遣いの一掃などを提言されていますが、こうしたメッセージは国民にすごく響きますよね。この会を立ち上げられた理由とは何でしょうか。
江田 それは、政治・行政を霞ヶ関から国民の手に取り戻すために、官僚と本気で戦わなければならないと考えたからです。いわば「霞が関への宣戦布告」ですよ。今、本当の意味で官僚に手綱をつけてコントロール出来る政治家がいない。官僚主導を打破して政治主導にしても、じゃあ政治家が官僚に代われるだけの能力を持っているかというと、それはたしかに疑問です。最近、若手政治家を中心に、立法能力を持った方が多少出てきたけれど、政治主導が薔薇色かっていうと現状はそうじゃない。しかし、じゃあまた官僚に戻すかっていうとそれはノーでしょう。そこはやはり、官僚をコントロールできるように政治家の資質を上げていくしかない。だけど、それにはまだ時間がかかる。だとすれば、脱藩官僚のように外部から官僚に伍する人材をスタッフとして連れていって、官僚主導に立ち向かう必要があります。
官僚というのは、わからないように落とし穴を掘って、政治家がそこに自然にはまっていくという戦法を使います。しかも政治家は、その落とし穴にはまっていることすら認識しない。官僚はそこまでのノウハウを持っているわけですが、政治家が国政で霞ヶ関と戦っていくには、そうした手口を見抜ける脱藩官僚や霞ヶ関の改革派官僚からなる補佐チームや戦略スタッフが欠かせない。脱藩官僚の会がそうした存在になれるといいですね。
――― 政治家と官僚のねじれた関係、逆転した関係は、今回の人事局をめぐる問題に象徴されていると思うのですが、人事権を官僚の手から国民の信託を受けた政治家に戻すというのはとても真っ当なことなのに、なぜあんなに紛糾したのでしょうか。
江田 それは簡単なことで、人事権を戻すと霞ヶ関の秩序が維持出来なくなるからです。人事院はたしかに政治からは独立しているのかもしれないけれど、霞ヶ関からは独立してないんですよ。というのも、人事院で級別定数の査定や管理の権限を持っている課長は財務省からの出向者で、公務員の総数を管理しているのは総務省行政管理局の総括管理官で、ここも財務省のポスト。そして、公務員給与の総額管理、総人件費管理は、財務省主計局の給与課が担当で、ここが元締めですよ。要は霞が関支配というか財務省支配なんですね。
だからなぜあの人事院総裁が、渡り鳥官僚が、総理に対してあんなにつっぱるかと言うと、まず今、麻生政権はもう続かないから、そんなものに対しておもねってもしょうがないというのがひとつ。でも、より大きな理由は、バックに霞が関の盟主、財務省がついているからですよ。霞ヶ関は自分に都合の良いお手盛りの人事をしたいから、政治介入を極度に嫌がる。だから、人事院があんなにつっぱるのなら「あなたがたは財務省から独立してるの?」と言ってやりたい。内閣からは独立してると言っているけど、それならちゃんと財務省を切ってごらんなさい。絶対切らないでしょう。人事院なんて、財務省の言いなりなんですから。
内閣人事局にあまり権限を持たせると、霞ヶ関のお手盛り人事が出来なくなる。財務省支配が崩れる。もっと言えば霞ヶ関の秩序が崩れる。彼らは政治介入と言うけれども、官僚のような国民から選ばれてない人が勝手にやる人事よりも、我々が選んだ代表者である総理大臣や大臣がコントロールした人事のほうが、はるかに民主主義的じゃないですか。それをまったく理解しようとしない。理解はしていても、霞ヶ関の秩序維持のためには、絶対これは譲れない一線なんです。今、霞ヶ関はみんな、この事態を冷静に見ています。なぜかというと、麻生さんが1年以内に渡りも各省個別の天下り斡旋も廃止しますと言っても、一体政権がいつまで続くというのか。法律だって通るわけないと考えているから、そういう意味じゃなめきってるわけですよ、麻生政権を。
トータルな公務員制度改革が霞ヶ関を再生させ、政治主導の枠組みを形成する
――― しかし、官僚なしではこの国は立ち行きませんよね。私たちは官僚と付き合っていかなくてはならない。江田先生は、官僚が真っ当に働くようにモチベーションを上げるにはどうしたらいいとお考えですか。
江田 我々は何も官僚バッシング、官僚いじめをしてるわけじゃないですよ。若手官僚にきくと、「江田さん、早く天下りを全面禁止してください」と言うんです。天下りを全面禁止すると、うまみがなくなって優秀な人材が集まらないという人がいますが、まったく逆です。今なぜ優秀な人が集まらないかというと、世間から白い目で見られて道を堂々と歩けないから。10年前なら、○○しゃぶしゃぶ事件や度重なる金融スキャンダルで大蔵省勤務だと言えなかった。田中眞紀子外相の時代なら、「私の旦那は外務省」と言えなかった。最近では社会保険庁の人が社会保険庁と言えない。私の選挙区では、社会保険庁の官舎の看板がいつの間にか掛け替えられて別の名前になった。そんな状態ですよ。そんな誇りも持てないような職場に優秀な人が来るわけがないんです。若手官僚にしてみれば、月200時間の残業で、残業手当も一律2万円しかもらえない。時給100円の世界ですよ。20代、30代で法律を作るんですが、今でも100本のうち90本の法律は官僚が作ってるんです。昔はまだ官僚で国はもっているという評価があったから歯を食いしばってがんばれたけれど、今や、いくらがんばっても官僚主導と言われる。「あいつらは何だ、天下りしやがって、渡りしやがって」って、みんな白い目で見る。
だからこそ、官僚を、霞ヶ関を再生するためにも、天下りは全面禁止すべきなんです。その代わり、早期勧奨退職慣行をやめさせ、定年まで働ける人事制度を作る。官僚にも人生設計がありますからね。ただ、その結果総人件費が膨れ上がらないように給与法を抜本改正し年功序列の賃金体系を見直す。労働基本権についても、どこまでそれが緩和出来るかは別として、団体協約権みたいなものはちゃんと認めてあげる。そういう意味では、民間並みの、いざとなればリストラも出来るような、身分保障の見直しを含めた検討も必要ですしね。そのうえで、若手官僚がそれだけサービス残業をしているのであれば、天下りの禁止、税金の無駄遣い解消で浮いたお金の一部を、多少待遇改善に回すことも出来ます。さらに、官邸の内閣人事局で幹部人事を一元化する、総合職は内閣で一括採用するといった方法で、オール・ジャパンの意識を持った官僚というものを育成して、縦割りタコツボに入ってがんじがらめになっている機能不全の官僚組織というものを抜本的に作り直さなきゃいけない。予算局も官邸において、予算編成権を財務省から政治に奪還する。そういうトータルな公務員制度改革というものをやっていけば、霞ヶ関は再生するし、政治主導の枠組みというものを徐々に形成することが出来る。
渡辺喜美氏とともにどうやって戦っていくのか
――― なるほど。先生は、同じく「脱官僚」を目指されている渡辺喜美先生と国民運動体を立ち上げられましたが、この経緯についておうかがいできますか。
江田 僕はこれでも30年、官僚として政治家としてこの世界にいます。官邸にも5年近く勤務しました。その経験から言うと、国会は、政局とか権力闘争とか党利党略とか、そんなことばっかり繰り返していて、おまけに永田町のメディアも、やれ料亭で誰それと誰が会った、清和会が内紛してどうしたという、国民にとってどうでもいいことばかり取り上げて報道する。もう国民は辟易していますよ。だからとにかくこんな永田町を飛び出して、もう直接、国民に訴えていくしかないと。喜美さんも私も、そう考えているんです。永田町の論理であるとか、数合わせのゲームであるとか、そういったものから超越したところで、北海道から沖縄まで、いろんな手法を駆使しながら愚直に、「脱官僚」、「地域主権」を訴えていきたい。具体的には、私や喜美さんは国民運動のいわばパートナーとして位置づけ、文化人や知識人、元首長の方々にナビゲーターというか水先案内人になっていただき、タウンミーティングやシンポジウム、イベントなどをやっていきたいと思います。とにかく国民が主役の、国民参加型の、双方向のグラスルーツの運動が出来ればなあと思っています。
――― なぜ国会議員は渡辺先生とおふたりなんですか。
江田 喜美さんと私に共通していることは、口先だけで脱官僚だ、官僚主導の打破だと言っているのではなくて、実際に政府の中で霞が関と戦った経験があるということです。同期の桜ではないけれど、私は中央省庁の再編や大蔵省の分割、郵政民営化、経済財政諮問会議の創設などでオール霞が関と散々戦ったし、喜美さんは行革担当大臣として、自民党政治の極めて厳しい制約の中で公務員改革を全力でやられた。公務員制度改革法が成立した時、喜美さんが涙を流しましたが、その本当の意味を私はよくわかりました。あの涙の意味は、官僚組織との対決という筆舌に尽くしがたい戦いを経験した人間にしかわからない。彼とは戦友同士のような強い絆があります。
永田町のメディアは常に国会議員が何人かだけしか見てないから、たとえば今回の我々の動きは、劇団ひとりがふたりになっただけだと、非常に冷ややかな目で見ています。しかし、5人で新党を立ち上げることなんか、正直言ってそんなに難しい話じゃないんです。しかしそんなことをやったって根無し草でしょう。永田町の枠組みの中だけで、政治家の都合だけで5人集まって新党なんて言ったって、まったく国民とは連動していない。メディアは注目しても、ひとりよがりの政党でしかないでしょう。だから我々は発想を逆転して、あえて国会議員はふたりにした。「あえて」です、他の議員にはまったく声をかけていない。要はグラスルーツからの盛り上げをしていかないと、いきなり家を建てるんじゃなくて、まずは土台から作っていかないと、この国も政治も変わらないということですよ。
今後、国民運動でいろんなアジェンダを設定して、それらを是非実現してくれって盛り上がったときは、我々ふたりは政治家なので、その民意を受け止めて政治の場でそれを実現をしていくのは、当然の責務だと考えています。しかし、それはこの国民運動以外の場で、次の総選挙に向けて、渡辺喜美と江田憲司がやればいい話です。我々は当然、新党を含むいろんな政治的選択肢を検討していく。出来れば選挙の前に、国民の審判を受け得る選択肢を提供出来るようにしたい。投票日の夜から動くなんていう人もいますが、選挙が終わって、政治が国民の手から離れた途端に政治家が談合してああだこうだと動くのは、はっきりいって国民への裏切りでしょう。これから政界再編を訴えるような政治家や政党は、選挙の前に選択肢を示して国民の審判を受けなければならない。選挙後の政界再編で主導権を握ろうという人は、やはり選挙の前にちゃんと旗を立てて、それで信を問わないと。我々は、まず国民運動で土台や基礎をつくり、その上で、政治家としての責任を全うしたいと考えています。
――― グラスルーツな形で運動を盛り上げるためには、まず、いかにして国民の声を集めるかですよね。
江田 オバマじゃないですけれども、ネットを活用します。ホームページでメンバー登録を増やしていきますし、BBSのような機能を活用して、天下りの禁止や埋蔵金問題、議員定数の削減などの議論をどんどん双方向でやっていきたい。また、この運動体の名称も公募しています。ホームページに投票機能を持たせて、国民に決めてもらいたい。それから10ドル、20ドルのワンクリック献金というのをオバマがやりましたが、我々もクレジット会社と交渉して、ワンクリックで、1000円、2000円ぐらいの小口献金を受け付ける窓口を設けるつもりです。 もちろんネットの活用だけじゃなくて、タウンミーティングや街頭演説会を全国各地で開く。たとえば福岡で開きたいと思えば、我々ではなく、メンバー登録してくれた福岡近辺に住んでいる人たちに呼びかけてもらう。会場費ぐらいは我々が負担しますが、とにかく「上から目線」ではなく、自然発生的なタウンミーティングが全国で出来ればいいなと思っています。
政治理念や基本政策の主義主張の違う健全な二大政党制を
――― 今、経済をはじめとして、外交の問題、地域社会の問題、年金の問題と課題は山積しているのに、自民・民主の政策はあまり変わり映えしませんね。政党がそのビジョンを打ち出せないということは、国民の側に選択の余地が一切ないということだと思います。私たちにしてみれば誰が政権を獲るのかはどうでもよくて、どんな政策をするのかが重要なのですが、江田先生はこうした膠着状況をどう御覧になられますか。
江田 自民党に票を入れたらこの国はどっちに行く、民主党に入れたらどっちに行くっていうのが、なかなか国民にとってわかりづらい状況ですね。やはり、外交安全保障とか内政の基本政策くらい分かれる政党になってくれないと。私は、基本政策も違う寄り合い所帯に過ぎない、今の自民・民主の二大政党制はニセモノだと言い続けていて、ずっと政界再編を訴え、それが自民にも民主にも与しない純粋無所属の理由でもあることは前にも述べました。一本背骨の通ったというか、基本政策ぐらい一致させた、違いのわかる二大政党制、政権交代可能な、本当の意味での政治理念とか主義主張で分かれた二大政党による政治を、ぜひ実現したいと思いますね。
90年代の政界再編は、人間関係で分かれた政界再編だったから失敗したんですよ。もっとストレートに言えば、小沢対反小沢の人間関係で、政党が四分五裂して、合従連衡してきたというのが90年代でした。だからこそ長続きしなかったし、国民の支持も最終的には得られなかった。だけど、これからの政界再編というのは、今度こそ政治理念や基本政策によって、ちゃんと分かれないといけない。ひとつだけ象徴的な事例を挙げれば、あの強引な突破力のある小泉さんですら800億円かけて解散総選挙を打たないと郵政民営化1本の法律も通らなかったわけですよ。これは、政党政治の破綻以外の何者でもないでしょう。だってあれだけ郵政民営化を訴えた総理大臣を自ら選んでおきながら、その足元から造反が出て否決されるなんてことは、もう政党政治じゃありませんからね。そういったことが日常茶飯事に、国民には見えないかもしれないけど、ありとあらゆるところで起きているというのが今の自民党政治なんです。民主党が政権を獲ったって、もっとひどいかもしれないですよ。もっと寄り合い所帯ですから。こんな政党政治を続けていると、頭と胴体と手足がばらばらに動いて、一歩も前に進めない。時代の要請として、このエセ二大政党制というものが、次の選挙、次の次の選挙、もしかしたら次の次の次の選挙までかかって、自ずから本当の意味での二大政党制に収斂されていく過程が必ずあると思っています。それは多少回り道だけれども、民主主義というものを今の日本に本当の意味で根付かせるためのコストだと私は思っています。
――― 政権交代というものが健全に行われるためには、何が対立軸になるんでしょうか。国民からすると、今の自民・民主は兄弟みたいなものなわけですよね。どっちが官僚体制にちょっと厳しい顔を出来るのか出来ないのか、ぐらいの差異しかないという感じです。先生はどういったメッセージこそが二大政党の対立軸になるとイメージされていますか。
江田 結局、内政問題というのは五十歩百歩なんですね。大きな政府だ、小さな政府だ、自由主義だ、ナントカ言ったって、真実は真ん中にあるので、現実はそんな白黒はっきり分けられないんですよ。そこはまあ多少の違いは出るにしても、そんな大きな違いじゃない。大きな違いはやっぱり外交安全保障だと私は思うんですね。これについては自民も民主もぐちゃぐちゃだから。
――― そうですね(笑)。どっちも同じような。
江田 やっぱり、集団的自衛権を認めるのかどうかがシンボリック。それだけじゃないけれど、やっぱりそこなんでしょう。ただ、日本の国民や国土を徹底的に守るという点については国民のコンセンサスが出来上がってきているので、この辺についてはあまり差はないわけですね。ミサイル防衛をどうするかとか、いろんな問題があるにしても、有事法制だって自民・民主ともに賛成したわけですから。しかし、イラク戦争を支持して自衛隊を派遣したような、集団的自衛権の行使は反対だというのが私の立場です。私は若手官僚の頃、集団的自衛権を行使して普通の国になれと思っていました。だけど湾岸戦争のときに官邸に出向して「湾岸戦争のトラウマ」を直接体験したり、橋本政権で官邸の中枢に入り、中台危機や日米間の新しい安全保障宣言、それに基づくガイドライン法(周辺事態法)の策定などに参画する過程で、今の政治家の対軍事ガヴァナビリティーのなさ、自衛隊のオペレーション能力のなさなどを実体的に知ってしまったんです。仮に百歩譲って集団的自衛権の行使を認めるにしても、とても今の段階で集団的自衛権を行使して、米軍とともに戦うなんてことは出来ない。憲法理論とか理屈以前の問題で、そんなこと議論してもしょうがない。特に陸軍での米軍とのインターオペラビリティー(相互運用性)などありませんよ、自衛隊に。一緒に戦うと言ったって米軍に忌避されるだけです。しかも何もいまさら日本が軍事的に貢献して、他の二百ヶ国近い国連加盟国と同じことやったって限界効用もない。そうじゃなくて日本に求められているのは、日本の得手の分野でしっかり世界に貢献することでしょう。どんな小国でも持っているような集団的自衛権を行使していまさら軍事的に貢献しても、「ああ、そっか」っていうぐらいの話ですよ。インド洋上の油の供給だって、政府レベルはともかく、世界の人からほとんど認識されていませんしね。
それから、この問題で看過できないことは、日本では、政治の世界で、イラク戦争を支持し、自衛隊を派遣した責任が問われていないということです。アメリカでなぜオバマ大統領が誕生したかというと、イラク戦争に反対したからなんですね、もちろん、それだけじゃありませんけど。アメリカでは厳しく政治家の過去の行動について責任を問うているけど、日本ではまったく責任も問われず、イラク戦争の総括もされないから政治家はいい加減になるんです。私は集団的自衛権の観点から、アフガン戦争にもイラク戦争にも一貫して反対しました。アフガン戦争なんて自衛戦争とブッシュが公言し、それに加担したんですから、後方支援だって集団的自衛権の行使ですよ。日本にとって戦後はじめてのことだったのに、小泉流の詭弁で簡単に通してしまった。イラク戦争なんて国際的な大犯罪だと思いますよ。だって、あいつは武器持ってて危険そうだって殺してみたら武器がない。たとえ武器を持っていたとしても、それはまず捕まえて裁判にかけるのが普通なのにいきなり殺しちゃった。しかも、殺しちゃったらその武器がなかった。それは殺した奴が犯罪者でしょう、真っ当な法治国家なら。そんな当たり前のことがなんでわからないのか。そんなものに賛成した政治家は、懺悔をして辞めるべきだと思いますよ。
今の政党政治を整理整頓する触媒政党という役割を果たしたい
――― 二大政党制の話に戻りますが、政界再編の中で、先生ご自身のお立場はどのようにお考えですか。
江田 僕の立場としては、政権交代した後の民主党の好ましからざる点――たとえばバラマキ的なところをしっかりチェックして、正していく役割の政党があってもいいと思います。民主党が言っている高速道路の無料化は聞こえはいいですが、通行料に代えて税金でまかなうということですから、それでは40兆円の借金はどうするのか。農家の所得保障制度は、制度としてはあってもいいと思いますが、しかし兼業で農業収入も少なく、後継者がいないところにも小遣い銭を税金でわたすのか。それがどうして将来的な農業の足腰を強くすることにつながるのか。公務員制度改革については、たしかにマニフェストを読む限りでは、天下りの全面禁止も言っているし、100人以上の政治家を役所に入れるということも言っている。自民党よりはるかにいい案を民主党は出していますから、その点では私は連携出来る。しかし、官公労や自治労をバックにしている民主党が政権を獲った暁に、本当にそれを実行出来るのかという不安もある。やっぱり政権を獲ったら財務省のような官僚に丸め込まれるんじゃないか。そうじゃないと言うんなら、ちゃんとマニフェストを100%実行しなきゃいけない。
そういう意味でも、本当にマニフェストをやれと尻を叩く役割っていうのはある。政界再編の過渡期には、こうした役割の政党なり、政治勢力が必ず必要だと思います。触媒政党と言ってもいいし、時限政党でもいい。我々の勢力が第一党として政権を獲るなんて大それたことは考えてない。うまく今の政党政治が整理整頓されるような触媒になる役割を果たせればいいと思うんですね。
国民に溜まった静かなマグマにどうやって火を点けるのか
――― お話をきいていて、旧来型の政治行政システムをとにかく変えていかないとしかたがないことがわかりました。先生が自民党で選挙をされたとき、圧力団体に辟易しながら頭を下げたその構造は、政権政党が民主に代わっても、また違う圧力団体があるだけで変わらない。じゃあそれとは違う民主主義の体制まで掘り起こしていかないと。ここが、キーだと思うんです。そこに触れているというのが新鮮でした。ものすごくそこには夢が持てる。たとえば地域社会なのか、もしくは別の集団のコミュニティーが出来て、そこから政治への関心と理想のようなものが反映されるシステムとルートが出来るというのは、面白いと思いますし、これまでなかったなと思います。先生はこれをあえて、キャスティングボートを握る新党の結成という形にしなかった。これは戦略だと思うんですけれども。それと今お考えになっていたグラスルーツの活動というのも戦略ですね。では、先生がお感じになっている静かなマグマに、どうやって火を点けるのか。たしかに、これに火が点くとものすごいことになりそうな気がとてもしますが、問題は火の点け方ですよね。何かアイディアはおありでしょうか。
江田 それはもう、私と喜美さんの力量にかかっていると思いますね。我々が愚直に訴えるしかない。いかに多くの機会に国民と触れ合って、我々の思いを理解していただくかということにかかっています。その辺の成算は私にはないけれども、しかしもう奇策はない。今の感じを言うと、全国から手紙やメールで励ましの声をいただいていて心強いです。この前、新宿でタウンミーティングをしたときは、300人の定員に600人の人が来て立ち見が出た。渋谷で街頭演説をしたときは、若者が「がんばってください!」と握手を求めてきた。そういうポテンシャルの芽はあるんです。だからもう、思いを届けるために愚直にやるしかないと喜美さんと話していますね。
――― なるほど。
江田 だから永田町のメディアがいくら冷たくても関係ないと。永田町のメディアは、政治家以上に永田町の論理に毒されていて、すぐ国会議員の数だけで評価するけれど、我々ははっきり言って、自民党から出てくる、出てこないといったことを期待してもしょうがないと思っています。選挙が間近だから、自民党の中で「自分たちだけがいい子ちゃん症候群」をやっているだけで、いつも下らない三文芝居ばかりを見せられて結局尻すぼみじゃないですか。選挙は自民党で戦わざるを得ないから絶対出てこない。それに自民党の中で5つも6つも違う旗を立てられたって、有権者はそれを選り分けて投票出来ませんからね。国民にとっては意味のないことです。
政治家というのは、前にも述べましたが、自分の信念や政策を実現するために存在するのです。それが自分の所属する政党で、1年2年ならともかく、10年以上がんばってもその党の政策に一向にならないのなら、喜美さんや私みたいにリスクをとって出てきなさいと言いたい。選挙の勝ち負けよりもまずそれが大事なんじゃないですか。永田町のメディアも、もう半年やそこらで下野する一政党の権力闘争、コップの中の嵐ばかりを、なぜ微に入り細に入り報道するんだろうと。国民にはもっと大事な生活があって、そんなことはどうでもいいことです。
――― どうでもいい話ですよね。
江田 政治家が、喜美さんのように離党して、リスクを取っているという姿を見せたら、まだ国民も、「ああ、これだけリスクを取れる人だったら、もしかしたらやってくれるのかもしれない」って期待もするでしょうが、何回も何回もきれいごとをきかされても、まったくそれが実現しない人ばかりなんですから。そういう意味ではもう、僕らは永田町の血を全部入れ替える覚悟でやりますよ。既存の政治家に期待しない。喜美さんと全国を回っているのは人材発掘という意味もあります。国民運動をやっている中で有為の人材が出てきたら、我々が今後、新党なり政治集団を立ち上げるときには有力な候補者となり得ますからね。
――― それは実際、手応えはあるんですか。
江田 あります。今だって、私のところに、無所属の地方議員を中心に何人もの方から連絡がありますよ。
――― 無所属の地方議員には、どんどん自分の政策を前に出していくような熱い方が多いんですか。
江田 熱いですよ。そういう人って、組織に頼らないから、自分なりの政治活動や選挙活動のやり方を知っているんです。地元にしっかりした根が生えている人じゃないと、当選しませんからね。そういう気概のある人を、10人でも20人でも30人でも当選させれば強いですよ。
――― 先生ご自身が無所属でいらして、組織に頼らない戦術をご存知ですよね。
江田 私は、自民党を出てからは本当に茨の道でした。今の選挙区で生まれたわけでも育ったわけでもない落下傘候補で、しかも自民党を出た途端に基盤はゼロですよ。もっと言うとマイナス。それはなぜかというと、ひとつは元官僚ということでマイナス。それから橋本首相の秘書官だったということでマイナス。だから僕はゼロからのスタートじゃなくて、マイナスからのスタートでした。それがやっと今、これは胸を張って言えますが、全部自前の純粋ボランティアの皆さんで選挙をしています。おそらく国会議員で唯一人だと思いますよ。
よく皆さん、新党といったらすぐ金、金というけれど、それはもう旧来の発想ですよ。決して金があれば当選できるわけではない。私は480人の衆院議員の中で、一番政治資金が少ない議員です。年間2000万前後。それは政党助成金もなければ、企業・団体献金もない議員だからです。だから私の国会議員としていただいているお金を個人寄付し、かろうじて事務所を運営しています。もう赤貧状態ですが、お金のかからない政治活動を実践すればいい。例えば、私の政策ビラも全部自前で作っていますが白黒のガリ版刷りのような代物です。全国でA31枚1円の一番安い紙を見つけて事務所で自家印刷。ボランティアが全部印刷して折ってくれる。もう手が真っ黒けになるの。それでポスティングといって家に配るのもボランティア。街頭で演説するときも全部ボランティア。だから2000万円でできるんです。これを印刷所に頼んでパンフレットを豪華なカラー刷りにする、事前ポスターを大量に刷って街中に張り巡らす、そんなことをするからお金がかかる。私は自民党を出てから事前ポスターは一切貼りません。貼れるけど貼らない。景観も害するし、政治家が思うほど効果もないし。金のかからないやり方はいくらでもあるんです。
予見可能な将来不安を払拭する、100年安心の医療制度、年金制度、介護制度、子育て制度の具体的な計画を
――― 先生のおっしゃる官僚制度改革というのは、きっと民意としてもおそらくそういった流れになってくるでしょうし、次の政界再編を見通したときに、必ずいい方向に進むんじゃないかなと思えます。政策決定のシステムとして、官僚の主導から政治の主導へと変わる。それはすごく大事なことだと思うんですけれども、ただ、そこまででやっとスタートラインに立つというだけのことですよね。その後どうするかというグランドデザインをおききしたいんですけれども。外交にしても財政にしても、いろいろな問題があると思うんですけれども、先生はどういったイメージを持たれていますか。
江田 まず、短期的には、経済が「全治3年」というなら、この3年間のしっかりとした工程表を、財源を含めて示すことが第一だと思います。私が天下りの全面禁止を訴えているのは、4600団体に2万6000人の官僚が天下って、12兆円の税金が無駄づかいされているからです。全部とは言わないですが、天下りを禁止すれば、数兆円のお金が出てきますよ。特別会計の埋蔵金だって今、資産負債差額だけで百兆円という数字がある。その中には売れない資産もありますから全部は遣えませんが、しかし50兆円はある。
こうしたお金ひとつとっても、財務省がOKを出した、つまみ食い的な使い方ではなくて、全部いっぺんに出して、それを3年間で集中的に、雇用・失業対策、医療・介護や年金、子育て支援などの具体的なメニューに投入する。そういった3年間の段取りを明確に国民の前に示すと。それで3年後に、天下りも全面禁止しました、特別会計のへそくりも全部1円残らず出しました、国会議員の数も官僚の数もこれだけ減らしましたと言って、「でもこの行政サービスのレベルを維持するためには○兆円の財源が足りません。だから消費税を何%上げさせてください」というのならまだわかるんです。国民もそれなら理解出来ると思いますよ。だけどそれをやらずして、麻生さんのように、「大胆な行革をやります」とだけ言って、その中味はまったく示さない。どころか、それに逆行するようなことを平気でやる。それで消費税を増税すると言っても国民は納得などしませんよ。それに、増税した分、何に使うかも具体的に麻生さんは言わない。社会保障に充てますという程度のことしか言わない。そうじゃなくて、後期高齢者医療制度はどうするんだ、基礎年金の税方式はどうするんだ、子育て環境の整備とか、ヨーロッパ並みの子育て支援のようなものをどうするんだと、具体的なメニューを出さないといけない。
日本は世界一の少子高齢社会ですから、消費税が未来永劫5%ではやっていけない、将来的には増大する社会保障財源に消費税の増税はやむを得ないと国民は考えていますよ。ただ国民はその前にやるべきことがあるだろうと言ってるんです。国民に負担を求める前にまず国会議員や官僚が身を切るべきだと。そうした国民の声にしっかり真面目に応える政治にしていかなきゃいけないんです。その後で、「乾いた雑巾を絞っても、もう一滴も出ませんから消費税を上げさせてください」と言って、総理大臣が記者会見して国民に頭を下げるのが筋でしょう。まず今後数年間の、しっかりとしたタイムスケジュール込みの、財源付きの工程表を出していく。その上で、世界一の少子高齢社会で増大せざるをえない社会保障費を中心にその財源を検討していく。消費税を含めた税制の抜本改革を行う。そこの手順というものが、決定的に政治としては大事なんです。
その上で一番重要な課題は、医療・介護、年金、子育て支援ですね。そうした生活回り、そこに重点的に税金を投入出来るようなシステムを作って、国民の将来不安を払拭する、本当の意味での100年安心の社会保障制度を作らなければいけないということです。
次の選挙は脱官僚一点で正面突破する
江田 私は若くして総理秘書官をやらせていただいたということに感謝しています。自分の力で山の上まで登ったわけじゃないですが、総理大臣に手を引かれて登って、山のてっぺんから全部、今の日本、政治を鳥瞰して見ることができた。これはものすごく貴重な財産だと思っています。だいたい他の政治家は、森喜朗さんとか偉い人に反抗したらどんな仕打ちを受けるのかと怖がっちゃうから駄目なんだけど、私は自民党の機能の仕方とか、だらしなさとか、情けなさとかいうのを相場としてわかっているから怖いものがないんです。元官僚としての贖罪意識じゃないけれども、腹を括って、政治家としてこの経験を国民に還元していきたい。永田町メディアは、すべて彼らのファインダー越しにしか政治を見ないから、政治家が何か行動を起こすとすぐ保身のためにやっていると書く。たしかに、大部分の政治家はそうだから仕方ない面もあるんですが、中にはそうじゃない政治家もいるってことを示したい。渡辺喜美さんがなんで拍手喝采されたかというと、そうじゃない政治家だとやっと認めてもらったからです。彼だって離党する前は、「いい子ちゃんぶって行動もしないくせに」ってインターネットで散々叩かれていました。ところが、党を出た途端にその評価が一変したんですよ。政治家がちゃんとリスクを取ってるという姿を見せれば、国民はついてくるんです。
――― なるほど。とても面白いお話でした。健全な民主主義の姿がわかったような気がします。
江田 私は次の選挙は「脱官僚」一点で正面突破する。本当は何でもかんでも、一挙に解決出来ればいいんでしょうが、残念ながら、今のグチャグチャな政党政治にそんなことは期待できませんから。国民も今の政治に100点満点を望んでいないでしょう。せめて60点は取ってくれと言っているだけなのに、それが20点、30点しか出来ないのが今の政治の情けない現状なんです。とにかく次の選挙は「脱官僚」で、連携出来るところとは連携をして、官僚主導を打破するということだと思いますね。まずは日本の病巣をえぐり出さなければ何も始まらない。そうじゃないと、この国の将来はありませんからね。
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