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江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

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週刊現代(1/10号)「渡辺喜美氏らとの政界再編対談」記事掲載

2009年1月10日 メディア情報 | 新聞・雑誌 tag: , ,

「各界22人が読み解く 2009年大予測ニッポン」

週刊現代(10/17号) 掲載記事


渡辺喜美×江田憲司×田村耕太郎・与野党のキーマンが緊急集結
政界再編で「脱・官僚政権」が誕生する
麻生自民党はもはや終わっている。目指すは、「平成の薩長同盟」

総選挙の前に官僚支配打破のマニュフェストを掲げるべし。衆院解散要求決議案の採決に賛成した渡辺喜美氏らが、「打倒、霞ヶ関支配」の旗のもとに結集した。

◆      ◆      ◆

渡辺 いま、霞が関の役人が暴走しているんです。私が安倍内閣や福田内閣で担当大臣として取り組んだ行政改革や公務員制度改革の"逆コース"を官僚たちはひた走っている。
 たとえば、解体・廃止が決まっていたはずの「雇用・能力開発機構」を、「高齢・障害者雇用支援機構」に統合させて事実上温存することにしてしまった。それから、私が担当大臣の時に「常識的にはできなくなる」と答弁した役人の天下りに関する各省ごとの斡旋について、つい先日、河村(建夫)官房長官がひっくり返す発言をされた。恐らく事情を知らずに、事務方の役人に言われるまま発表したのでしょうが、ことほどさように、官僚たちは「麻生内閣がどうなろうが知ったことじゃない」となかりに、既得権益拡大に邁進している。

江田 最大の問題は、麻生首相自身が公務員制度改革や行政改革に関心がないことじゃないんですか。だって、行革担当相だった渡辺さんに「なんでそんなことやるんだ」と言っていたくらいなんでしょう?

渡辺 ・・・。(苦笑して頷く)

江田 総裁選の時に霞が関で言われていたんですよ。「麻生さんが当選するなら万々歳、与謝野(馨)さんなら万歳、石破(茂)さんなら小万歳」と。それほど麻生さんは、役人たちにとって与しやすい人なんです。

渡辺 首相に就任していきなり「官僚は敵ではない。官僚を使いこなしてこそ政治家だ」とおっしゃいましたけど、これ以上官僚にとって嬉しい言葉はなかったでしょうね。
 官僚はよく言うんです、「私たちを使いこなしてください」なんて。その一方で、官僚たちは政治家を使いこなすコツを営々と蓄積している。
 だから「官僚を使いこなす」なんて言った政治家は、その瞬間に「官僚内閣制」のドツボにはまったと言っていい。本人が気づかぬ間に、官僚に手玉に取られてしまうんですよ。

田村 麻生さん自身は「オレは一生懸命やっている」と思っているはずです。朝刊で首相の動静欄を見ると、安倍さん、福田さんの時と比べて、1.5倍から2倍くらい多くの人と会っているんですから。
 これって官邸の事務方である官僚の作戦じゃないかと思うんです。わざとたくさんの人に会わせて、麻生さんを思考停止に陥らせる。答弁や会見のときだけ都合のいいことを吹き込んで、麻生さんを後ろからコントロールしようという意図があるんじゃないかと・・・。

江田 首相になると、昼間は秒刻み分刻みで本当に時間がないんです。夜だって8時、9時に公邸に帰ってきたとしても、休んでいる訳じゃない。外国から送られてくる公電や重要な資料、参考文献も読まなければならない。なにより、国や国民のことを思い、リーダーシップをどう発揮していくべきか、一人で沈思黙考しなければならない。
 でも麻生さんは毎晩のようにバー通いしているでしょう。これじゃあ、じっくり国の行く末や国民のことを考える時間なんてありませんよ。

田村 アメリカの大統領は、一日に10人以上の人間とは会わないそうですね。自分と向き合う時間を確保するのも指導者のなすべきことだという発想があるからです。

渡辺 なるほど。

――― ガンと闘った筑紫哲也の遺言

田村 それから先日、ある官僚にこう言われたんです。「田村さん、良かったですね。世界的な経済危機で、貧富の差が小さくなりますよ。だって、この危機で損を被っているのは株や土地を持っている富裕層なんですから」って。
 こりゃあダメだと思いましたよ。経済危機で庶民が被った損害があまりにも無頓着なんですから。官僚たちは、官舎に住んで、公用車に乗っている。家もクルマも買ったことがないから、一般の人たちと同じような生活実感がまるでないんですよ。やっぱり渡辺さんが普段から言っているように、政治任用で民間と霞が関の人材の入れ替えを図らないと、この感覚のギャップは埋められないでしょうね。

渡辺 株価や不動産価格の下落が回り回って民の竃を直撃するということが実感として分からない。「暴落してザマーミロ」という感覚の官僚たちが、100年に一度という非常時に実権を握っているというのはこの国の最大の不幸ですよ。
 だから霞が関の人材の流動化を図ることがどうしても不可欠なんです。
 霞が関は、各省ごとに試験で選抜されたエリートを採用し、きっちりとした年功序列で遇する。50歳を過ぎたらポストがないから肩叩きをするが、そのかわり天下り先を斡旋して最期まで面倒を見ると。
 そういう仕組みの中で官僚たちは、自分たちが政治も、地方も、さらには民間までコントロールするんだと思ってしまっている。

江田 なぜ官僚がこれほど力をもっているかと言えば、政治家が同じ党の中で二つや三つに割れて、足を引っ張り合っているからですよ。その間隙を縫って官僚が「それじゃあ足して2で割りましょう」なんて囁いて実権を握ってしまう。この状況は自民党も民主党も同じです。だから政界再編が必要なんです。
 先日亡くなった筑紫哲也さんの「最後の多事争論」という動画がインターネットで見られますが、その中で彼はこう言っている。「日本という国は、自分と同じようにガンを発症している。ガンになると本来は体の隅々に行渡らなければならない栄養が、ガン細胞と戦うために吸い上げられてしまう。日本では、道路建設などに税金が吸い取られていて、国民がどんどんやせ細っている」。

田村 まさにその通りですね。官僚の既得権益や利権というガンを摘出しないと、この国の健全性は取り戻せない。

――― 首長や財界人と国民運動を起こす

江田 だから次の選挙では、自民党でも民主党でもいいです。"官僚国家ニッポン"を変える、という一点で旗を掲げて、力を糾合するべきですよ。官僚内閣とか、官僚政治とかいわれる構造を、それを打ち倒す必要がある。よく、いまの政治は幕末にたとえられるけれど、いまこそ「平成の薩長連合」をつくるべきじゃないですか。

渡辺 考え方が似通っている政治家が別々の政党や会派に属しているのが問題なのですが、その解消のために再編は不可避です。
 もちろん、「自民党も分裂、民主党も分裂、理念と政策に基づいて一気に政界再編だ」というシナリオは理想ですが、そう簡単にはいかない。民主党は、次の総選挙で勝利できると信じ込んでいるようですから、分裂するとは思えませんし。そういう膠着状態が、世の中の閉塞感に繋がっている。そこが悩ましいところです。

江田 次の選挙の前後で、官僚主導体制を打破する"芽"は出てきますよ。脱・官僚政治の旗をかかげることが大事です。

田村 理想は、自民党・民主党の中にいる改革に反対する勢力が全部落選し、その後に大連立を組んで一致団結してこの緊急事態に対応するのがいいんでしょうけど・・・。

江田 よく選挙前ではなく「選挙後に政界再編」というシナリオを言う政治家がいますが、それは有権者に対する裏切りですよ。だって、投票を終え、有権者の手から政治が離れた瞬間に政治家同士で談合を始めるわけですからね。
 自民党でも民主党でも、本当に政界再編をするつもりがある候補者は、選挙前に旗を立てて離党し、新党なりグループなりを作って国民の審判を受けないとダメですよ。
 自民党のままアレコレ旗を立てても、有権者に選挙の時には自民党か民主党かの選択肢しか与えられない。選挙前にちゃんと新しい選択肢を提供しないと、この前の大連立騒動と同じ事になっちゃいますよ。

渡辺 確かに選挙前の行動は必要です。
 自民党の枠の中だけで考えると思考停止になっちゃうけれど、自民党とか永田町、あるいは国会の枠を超えて、危機認識を共有している人はたくさんいます。実は私は、同じ意志を持つ自治体の首長や財界人、学識経験者らを巻き込んだ国民運動を起こすつもりなんです。その運動でこの膠着状況を破るんです。

江田 私も同じことを考えていました。そのためには早く旗印、マニフェストを出さなければ。

渡辺 ええ。国民運動のアジェンダ(政策課題)もいま作っている最中です。

江田 そうしたら後は行動です。

渡辺 そうです。江田さんといっしょにできる部分もいろいろ出てくると思いますよ。

田村 細田(博之)幹事長は「離党者の選挙区には刺客を送る」なんて言っている。今の支持率で刺客になる人がでるわけがない。

渡辺 そうなりゃ、こっちから"逆刺客"を送り込む決意でいきますよ。日本中から同士を募ってね

江田 いずれにせよ、官僚内閣、官僚政治は、われわれが打ち倒すしかありません。

渡辺・田村 うん。やりましょう。

 

朝日新聞(12/29)「官僚に関する談話」記事掲載
新聞各紙(1/17)に 「国民運動体」の記事掲載