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江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

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フジサンケイ ビジネスアイ(7/30) インタビュー記事掲載

2008年7月30日 メディア情報 | 新聞・雑誌 tag: , ,

デスクの興味津々 なぜ「脱藩官僚の会」を旗揚げするのですか? フジサンケイ ビジネスアイ 2008/7/30 掲載記事


*「脱藩官僚の会」設立発起人代表(衆議院議員)
江田 憲司氏

不幸なのは国民
――― 霞が関(中央省庁)を中途退職した元官僚を結集して新政策集団「官僚国家日本を変える元官僚の会(脱藩官僚の会)」を旗揚げされますね。どのような問題意識からですか
 「今の霞が関はレーゾンデートル(存在意義)を失っています。高度経済成長時代は、欧米に追いつき追い越せで、手本があったので着実に成果を上げられたのですが、日本が成熟社会になるに伴って明確な目標を失い、『小人閑居して不善をなす』という状況になってしまった。この10年余りをみても、旧大蔵省(現財務省)の過剰接待問題に始まり、外務省の機密費問題や最近の社会保険庁のずさんな年金管理、防衛省の調達汚職などスキャンダルが相次いでいます。その霞が関が死守しようとしているのが天下りを含めた『一生安心システム』です。無駄な外郭団体に無駄な補助金を出したり、無駄な許認可制度を設けたりして天下りポストを維持しようとしている。組織防衛に走り、行政改革をはじめあらゆる改革の抵抗勢力として立ちはだかって、改革を骨抜きにしようとしているのです」

――― それでは「官僚主導」から「政治主導」へと移行できないわけですね
 「政治家の大部分が官僚の手のひらの上で踊らされているのです。ごく一部の官僚以上に政策に詳しい政治家、いわゆる族議員のボスクラスの人たちは官僚と結託して利権あさりに走り、自分たちに都合の悪いことは国民に説明しようとしません。その典型が後期高齢者医療制度です。今になって大騒ぎしていますが、2年前の強行採決の時には、大部分の政治家が法案をよく理解していなかった。小泉チルドレンの中には『法案に賛成したけど、当時は中身を知らなかった』とテレビで平気で語る議員すらいます。一方で厚生族のボスは『早く説明責任を果たしておけばよかった』などと白々しい話をしている。これが今の政治家、官僚の一番の問題点で、不幸なのは国民です。」

――― そうした現状に対し、「脱藩官僚の会」はどんな活動をするのですか
 「官僚が改革に抵抗したり、改革を骨抜きにしようとするときに、政治家を正面から攻撃することはありません。面従腹背で、目に見えない落とし穴、それも政治家がはまっても気づかないような落とし穴をいっぱい作るのです。私たちは、政府の政策や法案ができる過程で官僚の作った文書などをチェックして、そうした動きをいち早く察知し、記者会見などを通じて国民に情報提供します。骨抜きにするための文章術、いわゆる『霞が関文学』は、私たちもかつて上司の命を受けて駆使していたので、その手口を熟知しています。官僚の手口を白日の下にさらすことで、政治家やメディアや国民から批判を受ければ、具体的な骨抜きの動きはその限りにおいて止まるだろうということです。元自民党幹事長の中川秀直さんが近著で、官僚や族議員の複合体を、目に見えない爆撃機であるステルス爆撃機に例えて『ステルス複合体』と形容していますが、私たちはこのステルス複合体を可視化します。そうすれば、政治家に撃ち落してもらえるでしょう」

外と内から改革
――― 若手官僚の中途退職が増えていますね
 「今の官僚はバッシングの嵐の中にいて、仕事は相変わらず忙しいので、生きがいを見いせないだろうし誇りも持てないと思います。私が官僚になったのは、国のために役立ちたいからで、それは今の若手も基本的には変わらないと思います。私が通産省(現経済産業省)で官房総務課の法令総括(課長補佐)をしていたときは、残業が月平均200時間に上りました。しかも、残業手当は一律2万円。だけど当時は、政治は三流でも官僚が一流だから国が持っているのだと評価されていたので士気は高かった。ところが、今の人たちは徹夜続きで仕事をしても評価されないどころか、官僚であること自体が犯罪者のように扱われています。だからこそ、私は若手官僚に『決起せよ』と言いたい。局長や幹部やOBを突き上げろと言いたいのです」

――― 「脱藩官僚の会」も支援するわけですね
 「若手、ベテランに関係なく、内なる改革に身を投じる官僚がいれば、もちろん連携しますし、仮にそのことでその省庁に居づらくなれば、私たちのネットワークの中で、再就職のアドバイスもできます。改革というのは外と内の両方からやらないとだめです。明治維新も体制内にいた人たちが体制外の人たちと連携して実現しました。政治やメディアの圧力でやらされたという形で霞が関の改革をやっているうちは、国民の信頼が霞が関に戻ることはありません」

――― 会はいつ発足するのですか
 「9月上旬に発足します。現時点で10数人の入会申し込みがありますが、最終的に何人参加するかはまだわかりません。8月から個別面接をして、脱藩性(出身省庁と完全に縁を切っているか)を厳しく審査し、問題意識を共有できる人だけを会員にします。この会は霞が関のブラックリストを自ら公開するようなものですから、会員の間に温度差があってはよくない。腹をくくった人だけで固めていきます」

■後記
 「各省庁の事務次官や官房長が総理のところに頻繁にやって来る。それで言うことはすべて行革反対、組織防衛だ。自分の将来の姿を見ているようで(官僚でいることに)失望した」
江田憲司氏は通産省(現経済産業省)を辞めた理由をこう語る。1996年1月、現役官僚でありながら当時の橋本龍太郎首相の政務秘書官に39歳の若さで抜擢されたエリート中のエリート。その江田氏が首相官邸で垣間見たのは、橋本政権が中央省庁再編を推し進める中、国益よりも省益を優先して汲々とする先輩たちの姿だった。
 江田氏は当時を「スーパーパワー官庁の大蔵省と対峙して、大蔵省から金融行政を分離するのも私の仕事。それはすさまじい霞が関との戦いだった」とも振り返る。いわば霞が関改革は、首相秘書官以来の江田氏の一貫したテーマなのだ。
 「脱藩官僚の会」を旗揚げすることになったきっかけは、元財務官僚で「さらば財務省! 官僚すべてを敵にした男の告白」の著者、高橋洋一氏との出会いだという。高橋氏は小泉政権下で竹中平蔵総務相の補佐官として郵政民営化など構造改革の先兵に立ったが、そのために官僚の世界には居場所がなくなり、安倍政権の内閣参事官を最後に退官した。その著書を読んだ江田氏が「10年ぶりに同じような境遇の官僚が現れた」と感じ、江田氏の方から面会を求めて意気投合した。
 エリートの座を捨てて立ち上がった彼らには、本当の霞が関改革が期待できそうだ。

<「脱藩官僚の会」設立趣旨・目的>
 「官僚主導」から「政治(国民)主導」が叫ばれる中、現実には、多くの政治家が「官僚の手のひらの上で踊っているにすぎない」というのが実情。官僚の手の内を熟知した「元官僚」が、そのノウハウ(知識・経験など)を国民本位に活用し、政治・行政を真に国民の手に「だっかん」(「奪還」「脱官」)したい。

<「脱藩官僚の会」設立発起人>
 △寺脇研・京都造形芸術大学教授(元文部科学省)△高橋洋一・東洋大学教授(元内閣官房・財務省)△上山信一・慶応大学教授(元運輸省)△福井秀夫・政策研究大学院大学教授(元建設省)△木下敏之・木下敏之行政経営研究所代表、元佐賀市長(元農林水産省)△岸博幸・慶応大学教授(元経済産業省)△石川和男・新日本パブリックアフェアーズ上級執行役員(元経済産業省)※カッコ内は出身官庁で、退官時の省庁名
 

読売新聞(7/28 朝刊) インタビュー記事掲載
毎日新聞(9/5 朝刊) 記事掲載