国民一人一人の夢を実現できる社会を実現したい

江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

文字サイズ
Home  >  メディア情報  >  新聞・雑誌  >  ZAITEN 2008年4月号掲載記事

ZAITEN 2008年4月号掲載記事

2008年4月 3日 メディア情報 | 新聞・雑誌 tag: ,

B・フルフォードの憂国対談

『自民・民主の「整理整頓」で永田町の"妖怪"を一掃せよ!』
ZAITEN 2008年4月号

「10人の同志でも政界再編は起こせる」
フルフォード(以下 F〕 江田さんは、なぜ今も無所属でいるんですか?

江田憲司衆議院議員(以下 江田) 今の政党政治がニセモノだからですよ。政党というのは基本政策くらいは一致させて、「この指、とまれ」で、その政策を実現しようという集団。今は自民・民主双方とも、考え方が違う議員の「寄り合い所帯」です。これではなかなか改革が前に進まない。

F じゃあ、次の選挙で民主党が政権を取っても、あんまり変わらないということ?

江田 一度くらいは政権交代したほうがいいとは思いますが、民主党が政権を取っても、いざ政策を実行する段階になれば、今の自民党と同じか、それ以上の困難に直面するでしょう。
 こうした政党政治の破綻を象徴する事例でよく出すのが、小泉政権時の「郵政選挙」です。あれだけ「郵政を民営化したい!」と言っている人を総理に選んでおきながら、その足元の自民党から反対者が続出し、法案が通らない。結局、700億円以上の税金をかけて総選挙を打たないと、1本の法律すら実現できないのが今の政党政治なのです。

F 民主党も同じですか?

江田 そうです。基本政策の安全保障政策ですらバラバラ。テロ特措法について、代表の小沢(一郎)さんが「憲法違反」と主張しているにもかかわらず、その民主党の議員が何人もテレビに出てきて、「あれは小沢さんの個人的見解で、党の公式見解ではない」と言う。ワケがわからないですよ。
 要するに、自民、民主と言っても、大きな議員の塊が2つあるだけで、有権者の選択肢たり得ていない本当の「二大政党制」とはとても言えません。

F じゃあ、代わりにどういう仕組みが必要だと思いますか?

江田 無所属の議員は選挙も大変だし、お金もない、日常の政治活動も厳しい。でも、僕がどうしてずっと、こんな痩せ我慢をしてきたかというと、次の解散・総選挙後に必ずガラガラポンが起きる、と思っているからです。つまり、"政党の整理整頓"のチャンスが到来するのを待っていたのです。真の政党政治の実現です。

F 政界再編はどうやって進むのですか?

江田 残念ながら、国会議員というのは平時にはリスクを取らない。寄らば大樹の陰で、テレビなどでは好き勝手言っても、党に帰ったらおとなしくなる。執行部に従順でないと公認ももらえず、ほとんどの議員が落選するからです。
 次の選挙では、自民・民主、共に過半数を取れないでしょう。そうなれば、もう合従連衡しかない。結果、議員たちのお尻に火がついて動き出すわけです。
 ただ、一時的な混沌状態は避けられず、その先の組み合わせは予想できません。が、一本筋の通った、しっかりとした志、主義主張を打ち立てていけば、悪い言い方ですが、有象無象というべき"その他大勢"は、それについてくる。だから、数よりも、国民本位の旗を掲げれば、10人でも、20人でもいいんです。そうすれば、それが触媒になり、政党は政策軸で整理整頓、される。これが次の総選挙後に起こるでしょうね。

「東国原知事も古い自民党体質だ」
F どんな政党の細み合わせが考えられますか?

江田 いろんなバリエーションがありますが、一番望ましいのは外交・安全保障の「タカ派」と「ハト派」、それから、内政における「大きな政府(社会的弱者重視)」と「小さな政府(白由主義・市場経済重視)」の2×2の4通りでしょうね。
 1990年代の政界再編は結局、「小沢」対「反小沢」だった。理念ではなく、人問関係、好き嫌いで決まっていたのです。

F たとえば、自民党の旧田中派(現津島派)の流れと民主党の小沢派が一緒になって、前原誠司・民主党前代表の仲問が、旧岸・福田派(町村派)に合流するというのはどう?

江田 清和会(町村派)とか、伊吹派などの自民党右派と、前原さんなどの民主党右派が一緒になるのが一番わかりやすい。あと、それに、平沼(赳夫)新党が加わる。こうなると、非常に国家主義的なタカ派の新党ができる。で、残った人で、ハト派のグループをつくればいい。ただ、同じハト派といっても、弱者者視派と改革重視派があり得る。単純には分けられませんが。

F 今、日本は国家破産の状態と言われますが、どの政党になっても大変な仕事が残っている。

江田 もちろん。福田政権になって当初、ハト派は期待したんですが、その悪いところが出ていますね。」要するに、格差是正の処方箋が間違っている。

F "ばら撒き政治"に陥っていますよね。

江田 社会的弱者救済はいいんですが、旧来のばら撤きで対処しようとしています。その典型が、10年間で59兆円の道路予算や、過去最大規模の整備新幹線・・・。田中角栄さんの「日本列島改造」と見紛うはかりです。こんな30年以上も前の発想で政治をやっているのが、一番の問題です。

F 自民党、とりわけ古賀誠選挙対策委員長は、去年の参院選で小沢民主党が奪った農村有権者や特定業者の票を必死になって取り戻そうとしている。

江田 仮にそうなら、間違った認識ですね。去年の参院選で民主党が勝ったのは、年金問題をはじめ、松岡利勝農水大臣の自殺やら、ばんそうこう大臣、政治とカネ・・・そんな自民党の体質なんです。メディアも含めて、誤解している。
 それをいいことに、自民党の道路族や農業族が復活しているんですが、次の選挙で必ずしっぺ返しを食らいますよ。

F 宮崎の東国原(英夫)知事がやっていることはどうですか?

江田 観光や地元物産を売り込んで宮崎の名を広めたことは評価しますが、一方「道路特定財源維持で高速道路を!」と、道路官僚や道路族議員と同じようなことを言っている。古い自民党政治の発想ですね。「高速道路を通したら、宮崎を素通りされる!!」という声にも耳を傾けたほうがいい。アクアラインの木更津、瀬戸大橋の児島が今どうなっているか。
 ガソリン税の問題にしたって、住民に直接聞いたら、高速ができて10分、20分早く行けるよりも、1リットル25円下がったほうがいい、という人のほうが多いですよ。地方は車社会なので、都会よりも「減税効果」が大きいですしね。宮崎県民も同じでしょう。

「財務省は政権転覆まで企てる」
F 江田さんは橋本龍太郎元首相の秘書官だったけど、今の官邸はどうなっているんですか?

江田 霞ヶ関が占拠していますね。もう、見事なぐらいに復権しました。

F やはり財務省?

江田 もちろん。財務省の力は抜きん出ていますから。具体的に官邸のなかの人脈を見ても、要所要所に財務省の役人がしっかりと配置されている。

F それは福田首相に問題があるのですか?

江田 と言うよりも、もともと福田首相は官僚以上に官僚的な発想の人なんです。道路特定財源も「どうして一般財源化しなきゃいけないの?」「何で天下りの禁止が必要なの?」・・・と。残念ながら福田さんは"平時の宰相"です。今求められているのは"乱世の宰相"ではないでしょうか。

F その点、橋本元首相はどうでしたか? 橋本さんは「米国債を売る」って発言して失脚したという見方もあるけど・・・。

江田 それは、米国の大学の講演で、橋本さん一流の茶目っ気でジャブを打ってみた程度の話。リアクションはかなりありましたが、それで失脚はありません。
 ただ、これは"両刃の剣"ですね。日本は結局、米国ドル建てで債権を特っているんですよ。米国債売りでドルが急落すると、日本も大きく損をする。やはり、禁じ手だと思いまね、今の米国依存を前提にすると。

F 私はずっと、日本の外貨600兆円を世界から貧困や環境問題をなくすために使うべきだ、と主張しているんですが、この考えはどうですか?

江田 検討に値しますね。今、アラブ諸国や中国は外貨準備で政府系ファンドを作り、有効に運用していますからね。

F 日本がバーのママだとすると、米国はタチの悪いチンピラで、ずっとツケで飲み放題、食べ放題です。しかも、彼らは定期的にツケをチャラにしてしまう。そんな客は追い出すべきでしょ?

江田 違います。米国はガキ大将であって、日本はその背中の後ろから指だけ出して、「そうだ、そうだ!」と言っているだけのミソッカスですよ。だから、米国も含め、世界から尊敬されない。

F でも、官邸に対する米国の圧力はあるでしょ?

江田 基木的にはないですね。よく陰謀説で出てくる米国の対日「年次改革要望書」。これに郵政民営化の要望が載っていたと言うけど、(作成している)米国の下級官僚なんて調査能力もレベルも低いんですよ。日本で専門家たちが言っているようなことを全部かき集めてきて報告書にするから、それがただ逆流しているだけ。

F じゃあ、橋本さんはどうして矢脚したのですか?

江田 山一証券などの金融連鎖破綻を機に不況に突入したのが最大の要因です。この山一の突然の廃業には不明朗な点が多々ある。背景には、大蔵省(現財務省)の意に反して財政と金融を分離し、金融庁をつくったことがある。大蔵省って役所は、気に食わなきゃ、時の政権も倒すということを平気でやる。だから、むしろ陰謀と呼ぶのなら、こちらのほうですね。

F やはり、日本は一度、かつてのソ連崩壊のときのように全部ぶっ壊して、ゼロからつくり直さないといけませんね。

江田 そのとおり。ゼロベースで予算を組むくらいのことをしないと変わらない。

F 江田さんは今の政党政治を壊すと言っているから、ゴルバチョフ(元ソ連大統領)の役?それともプーチン(ロシア大統領)の役を狙っている?(笑)

江田 プーチンとは言いませんよ(笑)。幸いなことに、僕には権力に対する執着心がないんですね。10年前、自分の足じゃないけれど、橋本龍太郎という人に手を引いてもらって、一度、山のてっぺんまで連れて行ってもらった。頂上から政界とか官界、経済界の景色を見てしまったんです。

F 何が見えました?

江田 もうグチャグチャ。魑魅魍魎。ヌエだとか、一反木綿だとか、ネズミ小僧・・・(苦笑)。

F 最後に、どうすれば日本は変わりますか?

江田 だから次の総選挙後の政界再編しかないですね。政策軸で真っ当な政党政治をつくる。現状では、首相が身命を賭してもやっと多少改革が進む程度ですよ。そのためにインディペンデント(無所属)という立場を活用して触媒役になれれば、と考えています。


ベンジャミン・フルフォード
1961年、カナダ生まれ。外交官の家庭に育つ。元・米経済誌『フォーブス』アジア太平洋支局長。現在はフリージャーナリストとして、日本の権力構造の暗部を精力的に取材している。著書に、「ヤクザ・リセッション」ほかがある。

対談を終えて
 江田さんの言う、「政党の整理整頓」について、私も大賛成である。かつては「欧米を追い越せ!」とうい絶対的な目標のあった日本だが、今はそれを失っている。どうやって、それを取り戻すのか。やはり江田さんが言うように、総理が閣僚たちの辞表を集めて、腹を切る覚悟を持って自分の信念に基づいた改革に臨まなければ、何も進まない。米国の日本への影響力に関しては、多少温度差があったように思うが、日本が米国に対する依存度を低めていくよう努力する必要がある。江田さんには是非、無所属という立場から大いに政界をかき回して欲しい。

「SIGHT」2008 SPRING号にインタビュー記事掲載
朝日新聞(4/5) 特別会計追及記事掲載