読売ウィークリー2008.3.9号 に記事掲載
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「第二の細川」か 橋本大二郎が政権を獲る日!?
衆院選後の政界再編が現実味を帯びてきた永田町で、橋本大二郎・前高知県知事が「台風の目になるか」と注目を集めている。
「ねじれ国会」で政界再編の兆しが見え始めたいま、93年の政権交代劇の原動力となった「細川氏のような存在」への大きな期待感があるからだ。こうした中、橋本氏が、「第二の細川」の有力候補として浮上しそうなのだ。
政界再編推進派の自民党幹部が、永田町でささやかれているシナリオを披露する。
「いま衆院選になだれ込むと、おそらく自民党も民主党も過半数をとれない。そうなると、自民、公明の与党は、衆院の3分の2で法案を再可決して通すことが不可能になる。そのため、投開票日のその日から政界再編に突入する。しかし、それまで与野党で角突き合わせた議員が一緒になるには、触媒的な役割を果たす新しい『第三の極』が必要なのです」
「第三の極」には、ビッグネームでも、手あかがついた政治家に求心力はない。その点、橋本氏は改革派知事の草分けで、永田町にどっぷりつかっていない。93年に、同じ役割を果たした細川氏と重なるのだという。
衆院選後の政局で、橋本氏や同氏に賛同する無所属当選組をめぐって、自民、民主の双方が綱引きする図式である。その流れのなかで、自民、民主両党は分裂含みの様相を示し、政界地図は最終的に「政策本位の本格的な二大政党」に塗り替えられることになる。
果たして橋本氏はシナリオ通り、大きな流れを呼び起こすことができるだろうか。カギは、どんな旗印を掲げるかにある。橋本氏と今後、二人三脚で行動するという江田憲司衆院議員(無所属)が言う。
「青臭いと言われようが、われわれは政界再編に向け、理念や政策の結集軸を明確に打ち出すつもりです。国会は衆参で与野党勢力がねじれていますが、自民と民主は政策や理念がごった煮状態。それはガソリン税や安保問題でも明らかで、国民は辟易しています。主義主張のはっきりした受け皿をつくれば、国民は選挙で爆発的な意思表示をすると思います」
江田氏は、結集軸を安全保障と外交で「ハト」か「タカ」、内政では「大きな政府」か「小さな政府」の四つに区分し、そのうえで、「われわれは、外交・安保でハト、内政では小さな政府を目指します。その場合、ばらまきでない形での格差是正、セーフティーネットの構築をはかるのは当然です。これを提示し、一致できる人とだけ行動します。改革が進まない現状を目の当たりにし、腹をくくる政治家は自民、民主両党にいるはずです」と言い切る。
橋本氏は国政経験が全くないことが懸念材料だが、細川内閣の官房長官だった武村正義・元蔵相は、「知事は県政では大統領のような存在。判断力やリーダーシップが求められる。その面で宰相となっても十分やれる。」と話し、杞憂で心配ないという。
「橋本・江田」は15年前の「細川・武村」に相当するのかもしれない。テレビ番組での論客ぶりで株価上昇中の江田氏のほうが「第二の細川」になる可能性もあり得る。
「うちの若い議員の束ね役になってくれないか」政界再編をにらむ自民、民主両党が、両氏にそんな秋波を送っている。
米大統領選は「オバマブーム」で沸いているが、日本でも衆院選の結果次第で、「大二郎ブーム」が起きるかもしれない。
── 読売ウィークリー2008.3.9号 ──
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