朝日新聞 9月12日 朝刊 イラク給油疑惑追及へ
イラク給油疑惑追及へ
民主党は11日、インド洋での自衛隊による給油活動の実態に関する内部資料の提出を政府に求め、不十分と判断すれば参院で国政調査権の発動を提起する方針を固めた。テロ対策特別措置法の趣旨を逸脱し、イラク作戦に向かう米艦船に給油した疑いがあるとみて、補給先の艦船名や任務、補給地といった詳細な情報開示を求める。イラク作戦との関連を追及することで、給油活動の継続反対について国民の理解を求める狙いがある。
民主党は参院で第1党となったことを踏まえ、今国会で資料請求を政府に繰り返す方針だ。11日も参院民主党が08年度予算の概算要求を中心とした資料を請求。過去5年間の国家公務員の天下り先への資金交付状況、国会議員が役員に就く公益法人などについても回答を求めた。
給油活動の延長をめぐる審議にあたっては、イラク向け艦船への給油疑惑の解明を最優先に位置づける。まず、衆院議員40人以上の要求で衆院調査局が実施する予備的調査を利用し(1)補給先の艦船名(2)補給後の任務や行動(3)補給地――の開示を要求。回答が不十分なら、与野党が逆転した参院外交防衛委員会で国政調査権を発議し、国会法104条に基づく「記録提出要求」に踏み切る。
疑惑は、江田憲司衆院議員(無所属)が米軍第5艦隊のホームページの記述をもとに指摘した。イラク戦争の作戦名である「OIF(イラクの自由作戦)」の表題の文章の中で「日本政府は8662万9675ガロン以上、7600万ドル相当以上の燃料の貢献をしてきた」と書かれ、記述はその後、削除された。
これに対し日本政府は「読み違えだ」(高村防衛相)と否定。アフガニスタン戦争を意味する「OEF(不朽の自由作戦)」の一環として活動する米国などの艦船に補給していると説明している。だが、具体的な米軍の活動実態などは説明していないほか、05年4月の参院質疑では大野功統防衛庁長官(当時)がイラク作戦に使われる可能性について「油に糸目はないということもある」と答弁し、民主党内には可能性を示唆したものとの受け止めもある。
── 朝日新聞 2007年9月12日付 朝刊 ──
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