週刊アサヒ芸能 11月19日号
「テリー伊藤さんとの対談」記事
政治不信の極みから低投票率に終わった、 10月27日の衆参統一補選。組織選挙に有利といわれた中、 唯一、政党の公認、推薦を受けず当選したのが 江田憲司議員だ。 かつては橋本龍太郎首相の秘書官を務めたが、 今は無所属から政権を目指す。 「若手議員を結集して新しい流れを」 と訴える彼の決意に対し、天才テリーは 「いずれは都知事も」と予言!
(テリー)
当選されて、今のお気持ちはどうですか。
(江田)
喜び半分、厳しさ半分ですね。無所属が厳しいというのは、私がいちばんわかってますから。ただね、うれしかったのはこういう選挙ができたことです。
(テリー)
というと?
(江田)
前回出たときは、おみこしみたいに担がれて、あっちへ行け、こっちへ行けという選挙しかできなかったわけです。今回はいわゆる組織というものには一切頼らないでみんなボランティアで、僕のことを知ってくれる人たちがやってくれましたから。
(テリー)
前回は自民党の組織に乗っての立候補でしたね。
(江田)
そう。今回、投票率がものすごく低かったでしょう。で、組織政党が軒並み勝ってるわけですよ。自民党5勝、民主党1勝と。僕のところだけビクともしなかったというのは、やっぱり有権者の高い意識のおかげですね。
(テリー)
小泉さんが自民党候補の応援に来てもダメでしたもんね。
(江田)
鳩山さんも菅さんも来たけど、全然ダメ。むしろ候補者ががすんで逆効果。そこは地方とは違いますよね。
(テリー)
横浜ですからね。
(江田)
今回感じたのは、もうホントに政党不信ですよ。自民党は抵抗勢カがいっぱいいて、族議員が改革の足をひっぱり続けている。民主党はといえば、代表選と人事で論功行賞、労組依存体質のいちばん悪いところが出てきたし。
(テリー)
でも、とりあえずどっちにつくんですか、与党と野党と。
(江田)
今、議席は野党側です。議席番号1番。でも、小泉さんが道路公団の改革でムダな高速道路を造らないよう法案を出すんなら賛成、抵抗勢力におもねった法案を出すんなら反対。
(テリー)
政党に所属してるとそうはできませんよね。
(江田)
自民党や民主党はどうかというと、本会議の前に議員総会を開くわけです。そこへ国対委員長が出てきて、「この法案は賛成ですよ。この法案は反対ですよ」と言って、みんなそれに入れるわけ。僕はそんなこと関係ないから、小泉総理が抵抗勢力におもねって棺桶に足を突っ込むかどうかで決める。
(テリー)
現状はどうですか。
(江田)
棺桶に足をー本突っ込んでますよ。
(テリー)
経済のことで。
(江田)
すべてです。経済も金融も中途半端、道路公団の改革も危うくなってるでしょ。
(テリー)
それは自民党の抵抗勢力が小泉さんの足をひっぱっている面もありますよね。
(江田)
まさにそのとおりです。自民党の8割は抵抗勢カだと僕は思ってますから。小泉さんにも問題があるんですけど。得手不得手が多すぎる。
(テリー)
経済は苦手ですよね。
(江田)
そうそう、苦手。
(テリー)
小泉さんは一匹狼だからブレーンがいないかな。
(江田)
いません。小泉さんって要は勉強嫌いなんですよ。そのツケが今来てる。だから結局、竹中さんがああ言ったらああ言う、財務省の役人がこう言ったらこう言う。猫の目で毎日変わっているというのが、今の小泉さんの一番の問題です。
(テリー)
やると言ってたことをやらなかったり。
(江田)
だから、小泉さん自身に対して信任がなくなってきている。経済も金融も結局は信用の問題ですよ。信用がなくなるのが、いちばんいけない。
(テリー)
江田さんはもともとエリートで、今まで体制側にいたわけじゃないですか。
(江田)
そういえば、そうかな。
(テリー)
それがどこから変わってきたんですか。
(江田)
突然橋本さんが通産大臣で来られて、役所で秘書官というのが付くわけですよ。
(テリー)
それは自分から行ったわけじゃないですよね。
(江田)
ええ、人事で。そしたら橋本さんがたまたま総理大臣になって、「オマエ、付いてこい」って言われて、政治担当の総理秘書官になった。そこから僕の人生の歯車が狂っていった。
(テリー)
あれは結構話題になりましたよね。
(江田)
まあ39歳の若造が、5人いる総理秘書官のうちの筆頭ということで。しかも、ほかは僕より10年ぐらい上の人ですから。
(テリー)
何で橋本さんは江田さんのことを買ったわけ?
(江田)
それは橋本さんに聞いてもらわなきゃわからないですが(笑)。当時、日米自動車交渉というのがあって、アメリカが数値目標を言ってきたわけです。
(テリー)
もっと部品を買えとか、代理店を作らせろとかね。
(江田)
それに対して橋本さんはカンター代表をねじ伏せて、それで総理待望論が出てきたんですが、そのとき私も20回ぐらい海外出張をして、朝から晩まで一緒でした。それで気に入られたのかどうか。
(テリー)
歯車が狂ったという言い方をされましたけど、もし総理秘書官にならなかったらどうなってたんですか。
(江田)
今、経済産業省の課長ですね。
(テリー)
あ、そう。
(江田)
そのまま終わったでしょう。で、どっかへ天下りしてる。
(テリー)
うん(笑)。
(江田)
今、天下り禁止を主張してますけどね、ハハハハ。
(テリー)
あれ、天下りをしたときには退職金をもらえないとか、そういう制度を作んなきゃダメだよね。
(江田)
そう。僕はマジメに禁止を主張してるんだけど、そうすると同僚や先輩から「江田もついにおかしくなった」と言われる。
(テリー)
総理秘書官当時、江田さんは行革で業績をあげましたよね。
(江田)
ありがとうございます。そこでやった経験から、最初に立候補したときは、自民党を中から変えられると思ったんです。で、「自民党を変えなければ日本は変わりません」とポスターに刷って、ビラには「構造改革なくして景気回復なし」と書いたの。1年後、そのとおりの政権ができたわけ。小泉さんにはキャッチコピー代、1億円ぐらいもらいたいと思ったんだけど(笑)。
(テリー)
今、日本は全体がへたってるじゃないですか。
(江田)
へたってます。それにもかかわらず、規制緩和も税制改革も不良債権の処理も不十分だし、予算の中身も改革しない。で、日本は世界一の少子高齢化でしょう。これはどういうことかというと、医療費1つ取っても、今30兆かかってるわけですよ、1年間に。
(テリー)
ええ。
(江田)
医療制度を改革しないと10年後には50兆になり、25年後には80兆になります。消費税1%が2.5兆円だから、医療制度を支えるだけで消費税が5%から25%に上がるんです。プラス年金の支払いもどんどん増えるし、あと教育費だなんだっていっぱいあるわけですよ。
(テリー)
それが全部国民の負担になる。
(江田)
今は10万円稼いだら3万8000円引かれてるけど、このままだと7万円も8万円も税金と保険料で引かれる。
(テリー)
ただ、地方としては公共事業以外に何があるのか、次の一手がなかなか見つからないというのが現状じゃないですかね。
(江田)
そのとおりです。ただ、長野県だって、ダムのふもとにある町の人がもういらないと言ってるわけですよ。いると言ってるのは村長さん、町長さん。そういう構図が田中康夫という人が出ることによって変わったわけでしょう。だからそういう受け皿的な人材が出てこないと。テリーさんとか(笑)。
(テリー)
これから江田さんは何をしてくれるんですか。
(江田)
僕は端的に言うと、もう政策とか国会質問とかいうレベルじゃなくて、比較的しがらみのない若い政治家と語らって、次の解散総選挙までに国民本位の新しい流れを作り出したい。そのためにまあ1年か2年、猶予期間をくださいということなんですよ。
(テリー)
政界再編ということですね。できますか?
(江田)
もちろん僕1人ではとてもできません。そうじゃなくて、今、民主党でも、ものすごく閉塞感を感じてる若手議員も多いです。数十人のレベルでいますね。
(テリー)
この前の補選でも負けましたからね。
(江田)
国会議員というのはお尻に火がつかないと動かない。何でお尻に火がつくかというと、選挙ですよ。今の鳩山体制では選挙で負けると思ったら動きます。
(テリー)
そういう人たちと手を組むと。例えば?
(江田)
具体的に言うと迷惑をかけるから言えませんけど、民主党には社会党的なところ、労組依存体質をぶった切れと言ってるんです。そうすると民主党というのは結構再生するんですよ。
(テリー)
江田さんの言ってることは鳩山さんに近いよね。
(江田)
鳩山さんはちょっと違うんだけどね。あの人は「友愛」しか言わないんだから(笑)。背骨が通ってない。
(テリー)
ハハハ。
(江田)
僕は「旧さきがけグループよ、もう一度」という気持ちなんです。さきがけという党は一時、数十人いたんですよ。それが分裂しちゃった。
(テリー)
最後、3人ぐらいになっちゃったよね。
(江田)
さきがけというのは労組依存でもないし、わりと良質な部分だったのに、それを数の論理で社会党まで一緒にして民主党を作ったのが間違いだったと思ってますよ。
(テリー)
自民党から出るような侍はいますか。
(江田)
今はあんまりいません。やはり政権与党だから。でも、河野太郎さんとか渡辺喜美さんとか塩崎恭久さんなんかはぜひ行動してほしい。
(テリー)
どういう行動を。
(江田)
自民党を出てほしい。
(テリー)
あ、そういう意味。でも、江田さんも変わったね。
(江田)
何で?(笑)。
(テリー)
だって、橋本さんのもとにいて、自民党から推薦されて出た人がねえ。
(江田)
だって、僕は自民党だったわけじゃないし、たまたま自民党から出てくれって言われて、まあ1年間オーバーホールして元気になったこともあって出たんですよ。
(テリー)
話は違いますけど、うまくいかなくなると、国会議員より首長のほうがおもしろいですかね。
(江田)
そうでしょうね。
(テリー)
石原さんなんか都知事になったら生き返ったじゃないですか。
(江田)
でも、都知事も飽きちゃったみたいですね(笑)。
(テリー)
これは俺の予言なんだけど、石原知事が辞めたら横浜市長の中田宏さんが立候補して、そのあと江田さんが立候補するんじゃないかって。
(江田)
ハハハ、そういうことはないです。
(テリー)
俺の予言は当たるんですよ(笑)。
(江田)
ないない。僕は逆に言うと、今言った流れができなきゃ国会議員は辞めます。だってやってる意味ないもん。
(テリー)
ところで、江田さんは44歳まで結婚してなかったの?
(江田)
してなかった。
(テリー)
何でしてなかったの?官僚だったらいろいろあったでしょう。
(江田)
いや、お見合いもしたけど、僕はいったん結婚したら離婚したくないし、浮気もしたくない。そういう前提で選ぶと、なかなか巡り会えなかったんです。
(テリー)
おつきあいは・・・。
(江田)
当然ありましたよ。一部ホモ説も流れたけど、それは絶対ない。あんまり否定するとまた疑われるけど(笑)、めでたく去年結婚して、ハネムーンベビーができて、当選の2日後が1歳の誕生日だったんで、両方お祝いさせていただきました。
(テリー)
将来の夢は?
(江田)
うーん・・・、総理大臣ですね。ホントに思うことができるのは総理大臣だけです。それは官邸にいた僕の実感です。大臣じゃダメです。総理大臣でないと僕の目指してることは全部実現できない。
~解毒剤~
初心忘れるべからず。その心意気を持って、総理大臣目指して、日本のために頑張ってください。
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