朝日新聞(平成23年11月11日 朝刊6面)
【攻防TPP 賛否を問う】国際大競争時代 危機感を
-みんなの党は、TPP賛成を明確に打ち出しています。
「資源に乏しい日本は、世界に市場を求め、人、モノ、サービス、技術等を自由に往き来させ、それで付加価値を生み稼いでいかないと生きていけない。急激な円高と世界一高い法人税や電気料金、おまけに貿易の自由化でも遅れれば、もう日本でモノづくりはするなと言うようなものだ」
-国会では与野党で反対派が席巻しています。
「熾烈な国際大競争時代への危機意識、国際政治のダイナミズムへの認識が足りない。TPP参加国は小さい国ばかりだとの指摘もあるが、日本が入れば韓国やタイなども参加するはずだ。中国を将来、自由主義経済のルールに組み込む大きなステップにもなる。TPPをより大きなアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)へのアプローチとして戦略的にとらえ、アジア太平洋地域の貿易・投資のルール作りを先導しなければならない」
「反対派が言うように、米国には国益に基づく思惑はある。1995年の日米自動車交渉に通産相秘書官として携わったが、当時も米国は理不尽な要求を突きつけてきた。その時は、欧州と東南アジア諸国を味方に引き込んではねつけたが、2国間協議はその力関係や特殊な背景・事情等がじかに反映される危険がある。だが、TPPのような多国間協議では米国もごり押しはできない。仮に国益に反する問題が出てくれば、考えを同じくする国々と共闘もできる。それでも国益が守れないというなら、協定に署名しなければよい」
-野田佳彦首相はTPPについて十分説明していますか。
「全く思わない。情報開示が不十分で、説明責任を果たさず、国民の不安を助長している。そもそも、対応が遅い。いま首相が参加表明しても、実際に交渉に参加できるのは来春以降だ。もっと早く判断していたら、より日本に有利な形でルール作りに参加できた」
-民主党内の反対派には離党の動きも。政界再編につながりますか。
「つながらない。最後は、これを機に農業予算などをぶんどり、矛を収めるのではないか。口ではきれいごとを色々言うが、日本の将来ビジョンも覚悟もない反対だ」
(聞き手・内田晃)
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