第58弾 特別会計の剰余金・積立金等に関する質問主意書、及び、その答弁書
2008年10月 6日 国会活動 | 活動報告 tag: 労働保険特別会計労災勘定 , 特別会計 , 金利変動準備金
特別会計の剰余金・積立金等に関する質問主意書
一、
平成20年度末の、特別会計の剰余金・積立金・準備金等の総額(平成18年度末の実績は196兆円)はいくらになると想定しているか。平成19年度末の実績額もあわせ答えられたい。
二 、
一、の特別会計毎の内訳を、それぞれの年度毎に答えられたい。
三 、
財政融資資金特別会計について問う。
1.
平成19年度末の資産と負債額はいくらか。同じく、平成20年度末の見込額はいくらか。
2.
金利変動準備金の準備率は、現行何パーセントでその額はいくらか。
3.
準備率は、今後何パーセントを維持することが適正と考えているか。会計検査院の指摘(平成18年10月)も踏まえ、財投債の減少や長期の財投債の発行等で金利変動リスクが減少していること等を勘案して、答えられたい。
4.
金利水準その他所与の前提が今と不変として、今後5年間の金利変動準備金と当年度利益の額の推移を示されたい。
5.
過去に、この会計で決算上不足を生じたことはあるか。その場合の不足額はいくらか。
四 、
外国為替資金特別会計について問う。
1.
平成19年度末の資産と負債額はいくらか。同じく、平成20年度末の見込額はいくらか。
2.
為替変動リスクに備えるための積立金の積立率は、現行何パーセントでその額はいくらか。
3.
積立率は、今後何パーセントを維持することが適正と考えているか。民間(例:保険会社)の積立率が2~3%であること等を勘案して、かつ、会計検査院の指摘(平成18年10月)も踏まえ、合理的な水準とその理由を示されたい。
4.
為替相場、内外の金利水準その他所与の前提が今と不変として、今後五年間の積立金と当年度利益の額の推移を示されたい。
5.
過去に、この会計で決算上不足を生じたことはあるか。その場合の不足額はいくらか。
6.
なぜ、他の先進国に比し、100兆円を超える莫大な外貨準備を保有する必要性があるのか。先進国は、変動相場制を守るために為替介入しないのが原則で、欧米のそれは日本に比し10分の1以下ではないのか。
五 、
労働保険特別会計について問う。
1.
平成19年度末の資産と負債額はいくらか。同じく、平成20年度末の見込額はいくらか。
2.
積立金は平成19年度末で額はいくらか。同じく、平成20年度末の見込額はいくらか。
3.
積立金の適正水準をどう考えているか。会計検査院の指摘(平成18年10月)も踏まえ、国民に対し明確に納得のいく説明をされたい。
4.
失業率等の雇用情勢、金利水準その他所与の前提が今と不変として、今後5年間の積立金の推移を示されたい。
5.
過去に、この会計で決算上不足を生じたことはあるか。その場合の不足額はいくらか。
右質問する。
特別会計の剰余金・積立金等に関する質問主意書に対する 答弁書
内閣衆質170 第72号
平成20年10月14日
内閣総理大臣 麻生太郎
衆議院議長 河野洋平
衆議院議員江田憲司君提出
特別会計の剰余金・積立金等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員江田憲司君提出
特別会計の剰余金・積立金等に関する質問に対する答弁書
一について
平成19年度末における各特別会計の積立金等の金額の合計は、約198兆円である。また、平成20年度当初予算における平成20年度末の各特別会計の積立金等の予定額の合計は、約187兆円である。
二について
平成19年度末における各特別会計の積立金等の金額は、年金特別会計が約138兆円、外国為替資金特別会計が約17兆円、財政融資資金特別会計が約17兆円、労働保険特別会計が約13兆円、国債整理基金特別会計が約11兆円、地震再保険特別会計が約1兆円等である。また、平成20年度当初予算における平成 20年度末の積立金等の予定額は、年金特別会計が約131兆円、外国為替資金特別会計が約19兆円、労働保険特別会計が約14兆円、国債整理基金特別会計が約10兆円、財政投融資特別会計が約10兆円、地震再保険特別会計が約1兆円等である。
三の1について
平成19年度末における財政融資資金特別会計の資産額は約245兆円であり、同会計の負債額は約225兆円である。また、平成20年度当初予算における財政投融資特別会計財政融資資金勘定の平成20年度末の資産の予定額は約205兆円であり、同勘定の負債の予定額は約193兆円である。
三の2について
財政投融資特別会計財政融資資金勘定においては、特別会計に関する法律(平成19年法律第23号)第56条第1項及び特別会計に関する法律施行令(平成 19年政令第124号)第44条第1号の規定に基づき、同勘定の資産の合計額の千分の50に相当する額以下の部分を金利変動準備金とすることとされている。なお、平成20年度当初予算における平成20年度末の金利変動準備金の予定額は、約10兆円である。
三の3について
金利変動準備金の準備率については、平成19年度で郵便貯金及び年金に対する預託金の払戻しがほぼ終了し、金利変動リスクが相当程度減少したこと等を勘案し、平成20年度予算編成過程において、今後の収支状況等についてシミュレーションを行い、財政制度等審議会財政投融資分科会における意見を踏まえて検討した結果、平成20年度より、準備率の上限を、従前の千分の百から千分の50に引き下げたところである。この水準は、財政投融資特別会計財政融資資金勘定が債務超過に陥らないよう、最低限必要な水準として設定しているものである。
三の4について
今後5年間の金利変動準備金及び当年度利益の額の推移については、金利水準のみならず、将来の財政融資資金の資産・債務の状況等にもよることから、現時点で確たる数字を示すことは困難である。
三の5について
旧資金運用部特別会計、旧財政融資資金特別会計及び財政投融資特別会計財政融資資金勘定において、決算上不足が生じた年度及びその不足額は、昭和47年度約76億円、昭和53年度約269億円及び昭和54年度約208億円である。
四の1について
平成19年度末における外国為替資金特別会計の資産額は約129兆円であり、同会計の負債額は約105兆円である。また、平成20年度当初予算における同会計の平成20年度末の資産の予定額は約165兆円であり、同会計の負債の予定額は約142兆円である。
四の2について
平成19年度末における外国為替資金特別会計の積立金の金額は約17兆円であり、積立金の保有外貨資産に占める割合は約17パーセントである。
四の3について
外国為替資金特別会計の積立金については、特別会計に関する法律第80条第1項の規定に基づき、外国為替相場の変動、市場金利の変動その他の要因を勘案し、同会計の健全な運営を確保するために必要な金額を積み立てることとしている。
積立金の水準については、当面は、保有外貨資産の評価損の金額も勘案して適正な水準かどうか判断しているところである。なお、平成19年度末における積立金の金額(約17兆円)については、外国為替相場が1ドル=101円の場合、保有外貨資産の評価損の金額が、これとほぼ同額となる。
また、中長期的には、外国為替相場の変動、市場金利の変動その他の要因を勘案してもなお積立金が保有外貨資産の評価損をおおむね下回らない水準が目安となると考えており、この水準は、保有外貨資産の30パーセント程度と試算している。
四の4について
今後5年間の積立金及び当年度利益の額の推移については、今後の外国為替相場及び市場金利の推移のみならず、外国為替平衡操作の実施状況や保有外貨資産の運用状況等にもよることから、現時点で確たる数字を示すことは困難である。
四の5について
外国為替資金特別会計において、決算上不足が生じた年度及びその不足額は、昭和33年度約1億円及び昭和34年度約2億円である。
四の6について
我が国は、我が国通貨の安定を実現するため、従来より、相当程度の外国為替平衡操作を実施してきており、外国為替市場は巨額の資金が動く市場であることを踏まえると、外貨準備として十分な金額を保有しておく必要があると考えている。
五の1について
平成19年度末における労働保険特別会計の資産額は約16兆円であり、同会計の負債額は約2兆円である。また、平成20年度当初予算における同会計の平成20年度末の資産の予定額は約16兆円であり、同会計の負債の予定額は約2兆円である。
五の2について
平成19年度末における労働保険特別会計の積立金等の額は約13兆円であり、平成20年度当初予算における同会計の平成20年度末の積立金等の予定額は約14兆円である。
五の3について
労働保険特別会計労災勘定においては、特別会計に関する法律第103条第1項の規定に基づき、労災保険事業の保険給付費及び社会復帰促進等事業費(特別支給金に充てるためのものに限る。)に充てるために必要な金額を積立金として積み立てることとしており、労災年金債務の履行等に充てるために必要な金額を勘案して、将来の給付等のため、同会計徴収勘定から繰り入れられた労働保険料の一部を積立金として積み立てることとしてる。
労働保険特別会計雇用勘定においては、特別会計に関する法律第103条第3項の規定に基づき、雇用保険事業の失業等給付費に充てるために必要な金額を積立金として積み立てることとしており、雇用保険制度の安定的な運営を確保するために必要な金額を勘案して、将来の給付等のため、徴収勘定から繰り入れられた労働保険料の一部を積立金として積み立てることとしている。また、雇用勘定には同法第104条第1項から第3項の規定に基づき、雇用安定資金を置くこととしており、雇用・失業情勢の変動に応じて雇用安定事業を機動的に運営するために必要な金額を勘案して、徴収勘定から繰り入れられた労働保険料の一部を同資金に受け入れることとしている。
五の4について
今後5年間の積立金等の推移については、失業率のみならず、労働者の賃金水準等にもよることから、現時点で確たる数字を示すことは困難である。
五の5について
労働保険特別会計労災勘定において、決算上不足が生じた年度及びその不足額は、昭和47年度約387億円、昭和48年度約143億円、昭和52年度約 453億円、昭和53年度約736億円、昭和54年度約848億円及び昭和55年度約45億円であり、同会計雇用勘定の失業等給付等に係る事業において、決算上不足が生じた年度及びその不足額は、昭和52年度約54億円、昭和53年度約321億円、昭和57年度約2億円、昭和59年度約540億円、平成9 年度約597億円及び平成10年度約904億円であり、同勘定の雇用安定事業等に係る事業において、決算上不足が生じた年度及びその不足額は、昭和55年度約104億円、昭和56年度約20億円、昭和62年度約296億円、昭和63年度約1051億円、平成元年度約1532億円、平成2年度約80億円、平成5年度約274億円、平成7年度約532億円、平成8年度約78億円及び平成12年度約691億円である。
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