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江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

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第57弾 医療を巡る諸問題に関する質問主意書、及び、その答弁書

2008年6月16日 国会活動 | 活動報告 tag: , ,

医療を巡る諸問題に関する質問主意書

一、
 医師不足、医師の偏在について問う。
 
1.
 近年、下記の診療科で医師の不足が顕著であるとされる。診療報酬等の大胆な見直しをはじめ、それぞれの要因に応じたきめ細かい対策を講じていく必要があると考えるが、科毎の具体的方策如何。
(1)
産科
(2)
小児科
(3)
麻酔科
(4)
外科
2.
 診療科だけでなく、医師の地域的な偏在も深刻な問題となっている。自治体によっては、医師を自治体職員として採用し地域の医療機関に派遣したり、医師を対象とする移住・招聘対策、医学部定員における「地域枠」の創設等の措置が講じられているが、国として、医師の地域偏在解消策として、今後、どのような対策を講じていくのか。
3.
 医師不足対策では、最近、医師国家試験合格者の3割を超える女性医師が、出産や育児等で職場復帰が困難にならないような対策を講ずることも重要である。
(1)
 職場復帰の環境整備のため、病院内での24時間保育室の設置やベビーシッターの配置、子供の病気時デイケアーの整備等きめ細かな対策を講じていくべきではないか。
(2)
 厚生労働省は2007年1月、「女性医師バンク」を設けたとのことであるが、その趣旨如何。その運用実績はどのようになっているのか。求人件数と求職者の数、並びに実際に再就職に至った女性医師の人数を明らかにされたい。
(3)
 出産・育児等で現場を一時的に離れた女性医師のスムーズな職場復帰をサポートするために、職場復帰に向けたトレーニング・プログラム等を国として実施する必要があると考えるが、現状どのようなプログラムを実施しているのか、その内容とその結果、復職に至った女性医師の人数につき答えられたい。
二 、
 2004年の、新臨床研修医制度(以下「新制度」という。)導入に伴い、研修先の自由化が図られた結果、都市部や処遇等研修環境の良い病院に研修医が流出し、大学医局の人員不足、ひいては、系列病院からの医師引き上げが相次ぎ、系列病院の人繰りの困難に伴う病棟の縮小・閉鎖等の問題が起きているとの報道がなされている。
 
1.
 新制度の導入により、大学医局の人員不足、ひいては、系列病院への派遣医師の引き上げ等が起きているとの実態を、厚生労働省は、どこまで正確に把握しているか。具体的数字をもって明らかにされたい。
2.
 ただでさえ、地方医療の崩壊が深刻な問題となっている中、国としてこのような医師不足・偏在化を引き起こす可能性をもつ制度を見直す考えはあるか。見直すなら、具体的にどこをどう直すのか。
3.
 一方、報道によれば、医師法で禁じられている臨床研修医のアルバイト診療が、新研修医制度導入後も多発しているという。これを受けて厚生労働省は、今年度にアルバイト診療が発覚した研修先病院に対し、罰則として今後の研修医定員を削減することを決めたとのことであるが、
(1)
 臨床研修医のアルバイト診療の件数、人数等どこまで実態を把握しているのか。
(2)
 なぜ、新研修制度導入後も、このような臨床研修医のアルバイト診療が多発しているのか。背景には、臨床研修医としての収入のみでは経済的に厳しいという現状があるのではないか。厚生労働省の見解如何。
(3)
 (2)の要因からすると、単に、罰則により研修医定員を削減するだけでは問題の根本的解決はないのではないか。臨床研修医の処遇改善等今後どのような措置を講じていくつもりか。
三 、
 医師不足とともに、看護師不足も深刻な事態となっている。その背景には、いわゆる「7:1看護制度」の導入により、国立病院や大学病院等大病院に看護師が集中し、中小病院や診療所の看護師採用が困難になっている事情があると言われる。
 
1.
 厚生労働省は、この看護師不足、偏在の問題をどう認識し、その要因をどう考えているか。
2.
 「7:1看護制度」を見直す考えはあるか。その具体的見直しを含め、看護師不足、偏在の問題にどう対処していくのか。
四 、
 救急患者のたらい回しを防ぐ方策が急務である。
 
1.
 救急隊員が患者搬送時に病院の受け入れ態勢を検索する「救急医療情報システム」を備えている44都道府県757消防本部のうち、53.2%に当たる403本部でほぼ活用されていないことが、2008年2月に総務省消防庁のまとめで明らかとなった。
(1)
 このシステムが半分以上の消防本部で活用されていない理由は何か。
(2)
 厚生労働省は2008年度、システム改修の補助事業を実施するとのことだが、その具体的な改修点と現時点における進捗状況如何。いつまでに完了するのか。
2.
 東京消防庁等が試行している「救急搬送トリアージ」について、国としてどう考えているか。今後、全国的に導入を促進していく考えはあるか。

    右質問する。


医療を巡る諸問題に関する質問主意書に対する 答弁書

内閣衆質169 第537号
平成20年6月24日
内閣総理大臣 福田康夫
衆議院議長 河野洋平
衆議院議員江田憲司君提出
医療を巡る諸問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

衆議院議員江田憲司君提出
医療を巡る諸問題に関する質問に対する答弁書

一の1について
 政府としては、昨年5月に政府・与党で取りまとめた「緊急医師確保対策について」(以下「緊急医師確保対策」という。)に基づき、大学医学部の定員を増員するなどの医師確保対策を講じてきているところであるが、特に、産科や小児科については、今年度、産科医療機関や小児救急事業への支援等のための予算を確保するとともに、本年4月の診療報酬改定において、合併症を有する妊婦等に対する医学管理についての診療報酬の引き上げや高度な小児医療を提供する医療機関等に対する診療報酬の引き上げ等を行ったところである。また、麻酔科や外科については、同診療報酬改定において麻酔管理料や技術料等の引き上げを行ったところである。
 なお、本年6月18日に、厚生労働省において「安心と希望の医療確保ビジョン」を取りまとめたところである。

一の2について
 お尋ねについては、政府としては、今年度、緊急医師確保対策に基づき、地域において中核的な医療を担う拠点病院が医師が不足している病院へ医師を派遣することに対する助成、国や都道府県が決定した医師派遣に協力する病院に対する支援、都市部の臨床研修病院の研修医が医師が不足している地域などで一定期間研修を行うことに対する支援などを行うこととしている。

一の3の(1)及び(3)について
 厚生労働省としては、女性医師の職場復帰の環境整備のために、緊急医師確保対策に基づき、病院内の保育所の運営を支援する事業の拡充や女性医師バンクの体制を強化するとともに、都道府県が行う女性医師の復職研修に係る相談業務や医療機関における研修プログラムの作成に対する助成を行っているところである。

一の3の(2)について
 女性医師バンクは、女性医師が家庭の状況等に応じた勤務形態を選択することができるようにすることを目的として、昨年1月に開設したものである。
 その求職登録者数等は、同月から本年5月までの間において、求職登録者数が313人、求人登録件数が1456件、就業成立人数が61人となっている。
二の1について
 御指摘のような報道があることは承知しているが、大学附属の病院における具体的な医師の不足数や医師の引き上げ人数については承知していない。また、それらが新医師臨床研修制度の導入に起因するものなのかといった点についても承知していない。
二の2について
 医師臨床研修制度については、より効率的な実施を図るため、今年度、研修内容の見直しや臨床研修医の受入れ数の適正化を行うとともに、都市部の臨床研修病院の研修医が医師が不足している地域などで一定期間研修を行うことに対する支援を行っているところであり、今後とも必要な見直しを行ってまいりたい。
二の3の(1)について
 お尋ねの臨床研修プログラムにない診療を行っている臨床研修医数等については把握していない。
二の3の(2)及び(3)について
 厚生労働省としては、臨床研修を実施するための体制や環境を整備するため、臨床研修病院等に対する助成を行ってきているところであり、臨床研修医の処遇等についても、各臨床研修病院等において適切になされていると考える。
三の1について
 厚生労働省としては、医療現場において看護師不足を懸念する声があることや御指摘の「7対1入院基本料」の導入を受け、看護職員の採用活動を積極的に行った医療機関があったころは承知しているが、平成17年12月に策定した「第6次看護職員需給見通し」に基づくと、全体としての看護職員の需給の不均衡は縮小していくものと認識している。
三の2について
 御指摘の「7対1入院基本料」については、制度導入後、短期間にこれを算定するために必要な届出が数多く行われたこと等により、地域医療に深刻な影響を与える懸念が示されてきたところであり、本年4月の診療報酬改定において、急性期の患者等手厚い看護が必要な患者が数多く入院している医療機関に限り届出を可能とすることとしたところである。
 また、看護職員の確保対策として、これまでも民間の看護師等養成所の運営に対する補助や看護師等の離職の防止、再就業の支援等の施策を実施してきており、今後とも、これらの施策を通じて看護職員の確保に努めてまいりたい。
四の1の(1)について
 御指摘の「総務省消防庁まとめ」は、総務省消防庁が本年2月に実施した調査であるが、当該調査において消防本部が当該システムを利用していない理由を尋ねたところ、これについて回答のあった380消防本部のうち、104消防本部が「リアルタイムの情報ではない、情報の信憑性が低い」、98消防本部が「当番制、輪番制が確立されているから今の体制で十分である」、50消防本部が「独自で情報収集している」、41消防本部が「医療機関数が限られている」とそれぞれ回答している。
四の1の(2)について
 お尋ねについては、救急医療情報システムに掲載された内容の更新頻度の増加や入力情報の改善等を図るための改修を想定しており、本年度中の同システムの改修の完了を予定している。
 現時点においては、同システムを導入している43都道府県のうち、10府県で改修を行うことが決定されていると承知している。
四の2について
 御指摘の「救急搬送トリアージ」は、消防機関において、緊急通報を受信した際に当該通報内容から、又は救急隊が出場した際に救急現場において傷病者の状況等から判断して、傷病の程度及び緊急に搬送する必要性が高いと考えられる傷病者に対してより迅速かつ的確な対応を行うための取組を指すものと考えるが、このような取組は、救命率の向上に資するものとして、それぞれの地域において、その実情を踏まえた上で導入を検討すべきものと認識している。

第56弾 官民人材交流センターの制度設計に関する質問主意書、及び、その答弁書
第58弾 特別会計の剰余金・積立金等に関する質問主意書、及び、その答弁書