道路の中期計画に関する質問主意書
一、
今回の中期計画では、十年間で五十九兆円の事業量が計画されているが、これに見合う、統計数値の利用できる直近の十年間で、道路整備の事業量(実績)は何兆円か。
二、
一の事業量(実績)に要した財源の内訳を、「道路特定財源」「地方自治体の一般財源」「国費(道路特定財源を除く。)」「国債」「地方債」「その他」に分けて、それぞれの具体的金額を明示されたい。「その他」がある場合は、その具体的な財源名を特記されたい。
三、
今回の中期計画では、二の財源に見合う財源構成をどう積算しているのか。二の財源の内訳毎に具体的金額を示されたい。
四、
政府が今年一月に衆参予算委員会に提出した資料では、以下の項目が特掲されている。それぞれについて、1.直近十年間の事業量(実績)と今回の中期計画における事業量、2.それぞれの項目に特記されたベンチマークに係る数量、を明示されたい。
(1)
開かずの踏切対策 直近十年間の開かずの踏切除却数、中期計画の開かずの踏切除却予定数。
(2) 学童の通学路の整備 直近十年間の整備キロ数、中期計画の整備予定キロ数。
(3) 救急病院に行く生活道路の整備 直近十年間の整備キロ数、中期計画の整備予定キロ数。
(4) バリアーフリーの整備 直近十年間の整備キロ数・駅前広場の箇所数、中期計画の整備予定キロ数・駅前広場の予定箇所数。
(5) 無電柱化 直近十年間の無電柱化キロ数、中期計画の無電柱化予定キロ数。
(6) 深刻な渋滞対策 直近十年間の信号交差点等の対策箇所数・渋滞損失時間削減、中期計画の信号交差点等の対策予定箇所数・渋滞損失時間削減予定。
(7) 道路の維持や除雪、古い橋の修繕 直近十年間の対策区間・キロ数、中期計画の対策予定区間・予定キロ数。
五、
いわゆる「生活道路」(地域高規格道路やバイパス等の「生活幹線道路」を除く。)は、「道路特定財源」ではなく、地方の一般財源(公債を含む。)で整備されてきたと理解して良いか。また今後も原則、地方の一般財源で整備されていくと考えて良いか。
六、
今回の中期計画の策定にあたって、政府直轄事業を除き、法律上、一義的に道路の採算性を判断して着工するか否かを決める道路会社が、どのような主体的役割を果たしたのか。関与していないなら、その理由は何か。
右質問する。
道路の中期計画に関する質問主意書に対する 答弁書
内閣衆質169 第122号
平成20年3月7日
内閣総理大臣 福田康夫
衆議院議長 河野洋平殿
衆議院議員江田憲司君提出
道路の中期計画に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員江田憲司君提出
道路の中期計画に関する質問に対する答弁書
一について
国土交通省において取りまとめた平成8年度から平成17年度までの10年間における一般道路事業及び有料道路事業の事業量の合計は、実績として約80兆円である。
二について
一についてで述べた事業量の合計約80兆円の財源の内訳としては、国の道路特定財源が約33兆円含まれる。残りの事業量の財源の内訳については、地方自治体が負担する直轄事業負担金等に対して具体的にどの財源が充てられたのかが明確にできないこと等から、お答えすることは困難である。
三について
平成19年12月7日に政府・与党で合意し、取りまとめた「道路特定財源の見直しについて」において示された59兆円の事業量に占める国の負担割合を、仮に、平成19年度予算における事業量に占める国の負担割合を基に算出した場合、国の負担分は約29兆5000億円となり、これについては国の道路特定財源が充当される見込みである。残りの事業量の財源の内訳については、地方自治体が負担する直轄事業負担金等に対して具体的にどの財源が充てられるのかが明確にできないこと等から、お答えすることは困難である。
四の1について
平成20年2月25日に国土交通省が発表した「道路の中期計画(素案)〔補足資料〕」において59兆円の事業量の構成を示しており、「(1)開かずの踏切対策」については、「開かずの踏切等を除去する対策」として3兆8400億円を、「(2)学童の通学路の整備」については、「通学路の歩道整備」として2 兆6700億円を、「(3)救急病院に行く生活道路の整備」については、「生活幹線道路ネットワークの形成」として5兆1000億円を、「(4)バリアフリーの整備」については、「バリアフリー化」として1兆3500億円を、「(5)無電柱化」については、「無電柱化」として1兆3800億円を、「(6) 深刻な渋滞対策」については、「渋滞対策」として19兆4100億円を、「(7)道路の維持や除雪、古い橋の修繕」については、「橋梁等の修繕・更新、維持管理」として7兆2000億円をそれぞれ計上している。
(1)から(7)についての直近10年間の事業量については、集計の作業が膨大であること、関係する資料の保存期間を経過しているものもあること等から、お答えすることは困難である。
四の2について
平成19年11月13日に国土交通省が発表した「道路の中期計画(素案)」(以下「中期計画」という。)においては、「(1)開かずの踏切対策」に関してお尋ねの「中期計画の開かずの踏切除去予定数」については、交通が集中する踏切と合わせて約400箇所の踏切を除去し、「(2)学童の通学路の整備」に関してお尋ねの「中期計画の整備予定キロ数」については、「通学路の歩道整備」として約4万4000キロメートルの通学路に対して交通安全対策を実施し、「(3)救急病院に行く生活道路の整備」に関してお尋ねの「中期計画の整備予定キロ数」については、「生活幹線道路ネットワークの形成」として約5000 区間の生活幹線道路(1万3000キロメートル)に対して対策を実施し、「(4)バリアフリーの整備」に関してお尋ねの「中期計画の整備予定キロ数・駅前広場の予定箇所数」については、「バリアフリー化」として約6400キロメートルの道路及び約900箇所の駅前広場に対してバリアフリー対策を実施し、「(5)無電柱化」に関してお尋ねの「中期計画の無電柱化予定キロ数」については、「無電柱化」として約3700キロメートルの道路に対して無電柱化対策を実施し、「(6)深刻な渋滞対策」に関してお尋ねの「中期計画の信号交差点等の対策予定箇所数・渋滞損失時間削減予定」については、「渋滞対策」として約3000箇所の信号交差点等に対して渋滞対策を実施し、全国の幹線道路について渋滞損失時間を約3割削減し、「(7)道路の維持や除雪、古い橋の修繕」に関してお尋ねの「中期計画の対策予定区間・予定キロ数」については、「橋梁等の修繕・更新」として約15万橋に対して予防保全を実施することとしている。
(1)から(7)に関してお尋ねの直近10年間の各数量については、集計の作業が膨大であること、関係する資料の保存期間を経過しているものもあること等から、お答えすることは困難である。
五について
お尋ねの「生活道路」が何を指すのか必ずしも明らかでないが、いずれにせよ、地方の道路事業においては、各事業の事業量に対して具体的にどの財源が充てられるのかが明確にできないこと等から、お答えすることは困難である。
六について
中期計画においては、真に必要な道路整備を計画的に進めるため、今後の具体的な道路整備の姿を示すものとして必要な事業量を国土交通省として明示したものであり、中期計画の策定に当たり、各高速道路株式会社は関与していない。
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