いわゆる「宙に浮いた年金記録」の突合作業に関する質問主意書に対する 答弁書
内閣衆質166第384号
平成19年6月22日
内閣総理大臣 安倍晋三
衆議院議長 河野洋平殿
衆議院議員江田憲司君提出
いわゆる「宙に浮いた年金記録」の突合作業に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員江田憲司君提出
いわゆる「宙に浮いた年金記録」の突合作業に関する質問に対する答弁書
一、二及び四について
お尋ねの「地方自治体における、年金記録の原簿」とは、国民年金法(昭和
34年法律第141号)第14条に規定する国民年金原簿とは異なり、国民年金保険料の収納業務が市町村(特別区を含む。以下同じ。)から国に移管された平成14年4月1日前において、市町村に備えることが定められていた国民年金被保険者名簿のことを指すと考えられるが、これについては、本年5月に、「国民年金被保険者名簿等の移管の検討に当たっての事前調査について」(平成19年5月2日付け庁文発第0502005号社会保険庁運営部年金保険課長通知)により、保管状況に係る調査を行ったところである。この調査結果については、最終的には公文書による回答を求めているが、公文書による回答に先立ち、同年5月11日に電子メールにより提出のあった回答について取り急ぎ集計したところ、「保管あり」と回答するものが1636市町村、「保管なし」と回答するものが191市町村となっている。また、被保険者名簿の保管媒体については、「紙」と回答するものが1393市町村、「マイクロフィルム」と回答するものが66市町村、「磁気媒体」と回答するものが579市町村となっているが、これらの数値については、今後、公文書による回答の内容を精査した結果、変わり得るものである。
なお、国民年金被保険者名簿は、「国民年金市町村事務処理基準」(平成12年2月18日付け庁保発第3号社会保険庁運営部長通知。以下「事務処理基準」という。)等において、被保険者が転出、就職、死亡などにより国民年金の第1号被保険者の資格を喪失した日から5年間に限り保存することが規定されていたところであり、また、国が国民年金保険料の収納業務を行うこととされた平成14年4月1日以降は、国民年金被保険者名簿の用途がなくなったことに伴い、事務処理基準上の保管義務がなくなったところである。
三について
「国民年金被保険者名簿等の社会保険事務局等における保管状況に係る調査について」(平成19年5月16日付け社会保険庁運営部年金保険課国民年金事業室長補佐事務連絡)に基づく調査結果によると、平成19年5月時点で社会保険事務所において保管されている国民年金被保険者名簿については、「紙」により29市町村分が保管され、「磁気媒体」により1市町村分が保管されている。
なお、社会保険オンラインシステム導入前の国民年金原簿のうち、特例納付記録、前納記録、一部未納記録等が記録された国民年金原簿については、社会保険事務所においてマイクロフィルムによって管理されている。
五について
「年金記録への新対応策パッケージ」(本年5月25日社会保険庁取りまとめ)及び「年金記録問題への新対応策の進め方」(本年6月4日厚生労働省及び社会保険庁取りまとめ)の実施の一環として、基礎年金番号が付されていない又は基礎年金番号に統合されていない社会保険庁において管理している年金手帳記号番号に係る記録及び国民年金又は厚生年金保険の受給権者又は被保険者に係る記録について、平成20年5月までに名寄せを実施することとしている。また、社会保険庁のマイクロフィルム記録や市町村が保有する国民年金被保険者名簿等の記録と、社会保険オンラインシステムにおいて管理する記録の突き合わせ作業については、計画的に実施し、その進捗状況を半年ごとに公表することとしているところであるが、現在、その実施に当たっての具体的な手法等について検討しているところであり、お尋ねの突き合わせ作業の終了時期を現時点で、お答えすることは困難である。
六について
基礎年金番号に統合されていない年金手帳記号番号の記録と年金受給者及び被保険者の記録の名寄せに必要なシステム開発及び運用に係るスケジュール並びに当該名寄せ作業に必要な費用については、現在、システム開発の詳細を検討しているところであり、現時点でお答えすることは困難である。
また、社会保険庁のマイクロフィルム記録や市町村が保有する国民年金被保険者名簿等の記録と、社会保険オンラインシステムにおいて管理する記録の突き合わせ作業のスケジュール及びこれに必要な費用については、現在突き合わせ作業の具体的な実施方法を検討しているところであり、現時点でお答えすることは困難である。
七について
年金記録をめぐる諸問題については、現在、政府部内において、事実関係の調査を行っているところである。また、本年6月14日に、総務大臣の下に置かれた「年金記録問題検証委員会」の第1回の会合が開催されたところであり、まずは、この委員会において、今回の問題の発生の経緯等について検証をおこなった後に、その結果も踏まえ、政府として適切に対処することとしている。
八について
社会保険庁及び市町村において、国民年金保険料の納付の事実等を確認することができる資料が現存しないが被保険者が納付の事実を証明する資料を所持している等の場合には、その事実に基づき社会保険庁長官は速やかに国民年金原簿等を訂正するものである。
一方、被保険者が納付の事実を証明する資料を所持していない等の場合には、総務省に設置した「年金記録確認第三者委員会」において、納付の事実関係についての被保険者の申立て等の丁寧な聴取、関連資料の徹底的な調査、分析等の過程を経て、一つ一つの事案について公正な判断を行い、納付したと認められたときは、その判断を尊重して社会保険庁長官は国民年金原簿等を訂正するものである。
九について
お尋ねの現状把握の状況については、昨年8月以降実施している年金記録相談の特別強化体制において昨年12月末までに受けた約100万件の相談の中に、被保険者等が所持する領収書等の資料に基づき国民年金原簿の保険料納付記録を訂正したものは55件あったが、特例納付制度を利用して納付した期間の記録が訂正されたものは1件である。
また、御指摘のようなケースについては、被保険者等からの申立てがあって判明するものであり、全国的な調査を行うことは困難である。
十について
御指摘の報道に係る具体的な事例について、社会保険庁において調査したところ、市町村は法令に反する徴収事務は行っていなかったが、特例納付制度の国民年金保険料を市町村に納付した旨の申立てを行う事例が散見されていることから、社会保険庁において、今後、当該制度に係る当時の事務処理の状況について、可能な範囲で調査を行うこととしている。
いわゆる「宙に浮いた年金記録」の突合作業に関する再質問主意書
先に提出した、「いわゆる「宙に浮いた年金記録」の突合作業に関する質問主意書」(以下「主意書」という。)」に対する答弁書(以下「答弁書」という。)を踏まえ、また、安倍晋三首相が国民に対し、所要の対策につき丁寧に説明責任を果たし、不安を払拭していきたいと累次にわたって表明されていることから、以下の点につき、再度質問する。
一 、
答弁書一、二及び四について
答弁書においては、市町村における国民年金被保険者名簿の保管につき、「『保管なし』と回答するものが191市町村」とのことであるが、これ自体、大変由々しき事態である。
この情報は、当該市町村に在住する等の関係被保険者にとって、非常に重要な情報であり、事前の証拠収集等の便宜のため、該当者にあらかじめ周知する必要性が高い。
よって、現段階において「保管なし」とされている191市町村につき具体的にその市町村名を明らかにされたい。万一、公表できない場合は、その理由を国民にわかりやすく説明されたい。
二 、
答弁書五について
答弁書においては、「社会保険庁のマイクロフィルム記録や市町村が保有する国民年金被保険者名簿等の記録と、社会保険オンラインシステムにおいて管理する記録の突き合わせ作業については、計画的に実施し、その進捗状況を半年ごとに公表することとしているところであるが、現在、その実施に当たっての具体的な手法等について検討しているところであり、お尋ねの突き合わせ作業の終了時期を現時点で、お答えすることは困難である」とされているが、これに対しては、自由民主党の役員等が今の時点でも、メディア等を通じて、これらの突き合わせ作業も含めて「2008年5月までに終了」あるいは「2009年3月までに本人に通知」等々、まったく異なる見解を表明している。政府が正しいのか、与党たる自由民主党が正しいのか、政策の信憑性にも係わる重大かつ基本的な事柄であるので、明確にされたい。
三 、
答弁書六について
すべての記録の突合作業に必要なシステムの開発、運用に係るスケジュール及びその費用について、「現時点でお答えすることは困難である」とのことであるが、これでは「2008年5月までに突合作業を終了」と言っても誰も信用しない。
日一日と国民の間に広がっている年金に関する不安を解消するために、突合作業に必要なシステムの開発、運用に係るスケジュール及びその費用について、再度、明らかにすることを求める。できないのなら、なぜ、システム開発等の所要時間もわからないのに「2008年5月までに突合作業を終了」と国民に約束できるのか、その理由を説明されたい。
四 、
答弁書九について
「特例納付制度」を利用した際、納付記録が消えるケースにつき、「御指摘のようなケースについては、被保険者等からの申立てがあって判明するものであり、全国的な実態調査を行うことは困難」とのことであるが、相変わらずまったく無責任な対応である。当時、特例納付までして保険料を納めた加入者が不利益を受けないようにするために、広く周知徹底を図り、該当者の申立てを促すべく、積極的に広報活動を行うべきではないか。
右質問する。
いわゆる「宙に浮いた年金記録」の突合作業に関する再質問主意書に対する 答弁書
内閣衆質166第416号
平成19年7月3日
内閣総理大臣 安倍晋三
衆議院議長 河野洋平殿
衆議院議員江田憲司君提出
いわゆる「宙に浮いた年金記録」の突合作業に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員江田憲司君提出
いわゆる「宙に浮いた年金記録」の突合作業に関する再質問に対する
答弁書
一について
御指摘の市町村数については、先の答弁書(平成19年6月22日内閣衆質
166第384号)一、二及び四についてでお答えしたとおり、公文書による回答に先立ち、本年5月11日に電子メールにより提出のあった回答を取り急ぎ集計したものであり、今後、公文書による回答の内容を精査した結果によって変わり得るという事情もあることから、現段階において当該市町村の具体的な名前を明らかにすることは差し控えたい。
二について
先の答弁書五についてでお答えしたとおり、基礎年金番号が付されていない又は基礎年金番号に統合されていない社会保険庁において管理している年金手帳記号番号に係る記録及び国民年金又は厚生年金保険の受給権者又は被保険者に係る記録の名寄せ(以下「名寄せ」という。)については、平成20年5月までに実施することとしている。また、社会保険庁のマイクロフィルム記録や市町村が保有する国民年金被保険者名簿等の記録と、社会保険オンラインシステムにおいて管理する記録の突き合わせ作業(以下「突き合わせ作業」という。)については、計画的に実施し、その進捗状況を半年毎に公表することとしているところであるが、現在、その実施に当たっての具体的な手法等を検討しているところであり、その作業の終了時期を現時点で、お答えすることは困難である。
三について
名寄せに必要なシステム開発及び運用に係るスケジュール並びに当該名寄せの作業に必要な経費については、現在、システム開発の詳細を検討しているとことであり、現時点でお答えすることは困難であるが、「年金記録問題への新対応策の進め方」(本年6月4日厚生労働省及び社会保険庁取りまとめ)にあるように、プログラムを開発し平成20年5月間でに確実に名寄せを実施することとしている。
また、突き合わせ作業のスケジュール及びこれに必要な費用についても、現在、その具体的な実施方法を検討しているところであり、現時点でお答えすることは困難である。
四について
社会保険庁においては、ご指摘のようなケースを含めて、年金記録に不安や疑問を持つ方からの被保険者等の年金記録の確認や必要な調査の依頼等に迅速に対応できるよう、昨年8月以降、年金記録相談の特別強化体制を実施してきているところであり、これについては、新聞、ポスターなどの媒体を活用した広報を行うとともに、社会保険庁ホームページにおいてもその旨を掲載し、広く国民に対する周知を行ってきているところである。
また、「年金記録問題への新対応策の進め方」に基づき、土曜日及び日曜日を含めた24時間体制の電話相談の実施、平日の来訪相談の受付時間の午後7時までの延長など、年金記録に係る相談体制の強化を図り、これについても、新聞による広報を行うとともに、社会保険庁ホームページにおいてもその旨を掲載し、広く国民に対する周知を行ってきているところであるが、社会保険事務所等の相談窓口に対しては、国民の立場に立って、利用しやすい相談体制を構築するとともに、相談に当たっては、丁寧な説明と迅速な処理を行うよう、指示を徹底しているところである。
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