いわゆる「宙に浮いた年金記録」の責任問題に関する質問主意書
いわゆる「宙に浮いた年金記録」の責任問題をはっきりさせるため、以下、質問する。
一 、
昨年6月、5000万件の「宙に浮いた年金記録」がはじめて国会で取り上げられた時点以前に、その事実を政府部内で知っていた者は、どのレベルの誰なのか。厚生労働省の大臣、事務次官、担当局長等、社会保険庁の長官、部長、課長等であって、知っていた者の官職を具体的に示して明確にされたい。
二 、
安倍晋三首相、塩崎恭久官房長官が、この事実を知ったのはいつか。
三 、
首相、官房長官がその事実を知ってから、5月下旬の対応策発表まで、長期間を要したのはなぜか。
四 、
四の歴代厚生(労働)大臣に加え、安倍首相や渡辺行革担当相は「歴代社会保険庁長官」の責任を問うとも発言しているが、その「歴代」の範囲如何。責任を問うなら、基礎年金番号導入以前に、紙台帳のデータをマイクロフィルム化する過程、コンピューターに入力する過程での誤りも多々あると伝えられるところ、その時点まで遡るべきではないか。
五 、
現在、社会保険庁のコンピューター内にある「宙に浮いた年金記録」の突合作業だけでなく、右記一~三のデータとコンピューター内にあるデータの突合作業を含め、2008年5月までに作業が完了すると理解してよいか。それとも、2008年5月までという期限は、社会保険庁のコンピューター内にあるデータの突合作業だけか。後者なら、右記一~三のデータとコンピューター内にあるデータの突合作業はいつまでに終えるのか。
六 、
昭和60年9月の社会保険庁通達で、地方自治体が保管していた年金記録(紙台帳等)の廃棄を命じた責任も問うのか。
七 、
右記五及び六で責任を問う場合、歴代厚生(労働)省関係者、歴代社会保険庁長官及び社会保険庁職員の責任の果たし方如何。安倍首相も責任追及を行うと明言し、渡辺行革担当相は、退職金の返上や天下りポストからの退職等も選択肢と発言、自民党の中川幹事長も退職金返上に言及しているが、政府として具体的にはどう責任を問うのか。明確に示されたい。
八 、
「宙に浮いた年金記録」の突合作業等、今回の事態を受けた一連の対策にかかる費用は、社会保険庁(国)の一方的重過失で生じた費用であり、国民の負担(税金)ではなく、社会保険庁等政府関係者の費用弁償でまかなうべきではないか。
右質問する。
いわゆる「宙に浮いた年金記録」の責任問題に関する質問主意書に対する 答弁書
内閣衆質166第385号
平成19年6月22日
内閣総理大臣 安倍晋三
衆議院議長 河野洋平殿
衆議院議員江田憲司君提出
いわゆる「宙に浮いた年金記録」の責任問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員江田憲司君提出
いわゆる「宙に浮いた年金記録」の責任問題に関する質問に対する答弁書
一について
社会保険庁においては、基礎年金番号が付されていない年金手帳記号番号に係る記録(以下「未統合の記録」という。)を基礎年金番号に統合する取組を進めてきており、昨年6月以前にも未統合の記録が存在することは、社会保険庁長官及び関係職員並びに厚生労働省の担当部局の職員が認識していた。なお、約5000万件の未統合の記録があることは、「国民年金・厚生年金の納付した保険料の記録が消失する事案等に関する予備的調査(松本剛明君外42名提出、平成18年衆予調第4号)についての報告書」の取りまとめの過程において明らかになったものである。
二について
安倍内閣総理大臣及び塩崎内閣官房長官が未統合の記録の件を含め年金記録の問題について認識したのは、昨年の暮れから今年の初めである。
三について
社会保険庁では、昨年8月から「年金記録相談の特別強化体制」を実施してきたが、その後の対応について検討するに当たっては、まずは、相談の内容や未統合の記録の状況等を十分に把握することが必要であり、そうした把握の後に、国会における議論も踏まえ、年金記録に対する国民の不安を解消するためには、行うべきことはすべて行うとの方針の下に、本年5月に「年金記録への新対応策パッケージ」を公表したものである。
四から八について
年金記録をめぐる諸問題については、現在、政府部内において、事実関係の調査を行っているところである。また、本年6月14日に、総務大臣の下に置かれた「年金記録問題検証委員会」の第1回会合が開催されたところであり、まずは、この委員会において、今回の問題の発生の経緯等について検証を行った後に、その結果も踏まえ、政府として適切に対処することとしている。
Copyright(C) Kenji Eda All Rights Reserved.