いわゆる「宙に浮いた年金記録」の確認作業に関する質問主意書
いわゆる「宙に浮いた年金記録」につき、あくまで国民の側に立って納付記録の確認作業を行うべきとの立場から、以下具体的に質問する。
一 、
総務省に、保険料が納付されているか否かを判定する第三者委員会を設置するとのことだが、国民に二度三度足を運ばせないためにも、その判断基準を具体的に定め、事前に国民に公表すべきではないか。
二 、
納付したという何らかの物証(領収書、銀行通帳出金記録、雇用主の記録等)もなく、第三者の証言等物証以外の証拠もない場合、納付の有無をどう判定するのか。それとも、その場合、「納付の事実なし」と判定するのか。
三 、
第三者委員会への申し立てにつき、すべて自動的に認めるのは問題ではあるが、問題が社会保険庁(国)側の一方的重過失で発生した以上、その申し立て内容が「間違い」或いは「虚偽」であるという挙証責任は、第三者委員会側が負うべきではないか。それともあくまでも申立人が「納付の事実」を証明しなければならないのか。端的に答えられたい。
四 、
中央だけではなく、総務省の出先機関にも第三者委員会を置くとのことだが、全国で何箇所の設置を予定しているのか。また、その設置場所につき、申立人の利便性を考慮することは勿論のことだが、第三者委員会までの交通費等については、申立人の負担とするのか、或いは国で何らかの補填を行うのか。
五 、
現在、社会保険庁において、24時間電話相談窓口を設置しているが、実際問題として、コンピューターシステムが18時に終了してしまうのであれば、電話窓口が24時間設置される効果がかなりの部分減殺される。コンピューターシステムも24時間稼動システムに変更すべきと考えるが、見解如何。
六 、
6月10日に、全国23県の130カ所の社会保険事務所で、公的年金の記録を管理する社会保険庁の照会システムに障害が発生し、相談に来た加入者らの記録照会ができなくなったとのことであるが、トラブルの原因はなにか。今後同様の障害が起こらないように早急に対策を講じるべきと考えるが、その対応如何。また、その対策にどの程度の費用がかかるのか。
七 、
6月9日(土曜日)、10日(日曜日)と週末の相談業務を行ったというが、この週末、休日の相談業務は、いつまで行うのか。また、相談時間帯の拡大を考えていないのか。
八 、
繁華街への臨時の相談窓口の設置は、事前の広報不足で相談件数も少数との報道もあるが、今後、いつ、どこに設置するか。計画的に行い、かつ事前に相談者への周知徹底を図るべきではないか。
右質問する。
いわゆる「宙に浮いた年金記録」の確認作業に関する質問主意書に対する 答弁書
内閣衆質166第383号
平成19年6月22日
内閣総理大臣 安倍晋三
衆議院議長 河野洋平殿
衆議院議員江田憲司君提出
いわゆる「宙に浮いた年金記録」の確認作業に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員江田憲司君提出
いわゆる「宙に浮いた年金記録」の確認作業に関する質問に対する答弁書
一から三について
保険料が納付されているか否かの判定に当たっての基準については、総務省に設置した年金確認中央第三者委員会において、総務大臣の求めに応じ、総務大臣が行うあっせんに当たっての基本方針その他年金記録に係る苦情のあっせんに関する重要事項として調査審議することとされており、その公表についても同委員会において調査審議されることとなるものである。
四について
お尋ねについては、申し立てを行う方々の負担ができるだけ少なくなるよう、全ての都府県それぞれ1か所と北海道4か所の合計50か所の各管区行政評価局等に年金記録確認地方第三者委員会を設置したところである。
五について
社会保険オンラインシステム(厚生年金保険及び国民年金等の適用、保険料の徴収、給付並びに年金相談等に使用するコンピュータシステムをいう。以下同じ。)については、同システムの全面的な見直しを必要とすることから24時間稼動可能なシステムに移行することは困難であるが、年金記録に係る相談体制の充実を図るため、本年6月4日より、平日におけるオンライン稼動を原則午後8時まで延長する等の措置を講じたところである。
一方、二についてで述べたとおり、予算や権限を背景とした押し付け的なあっせんに関しては、各府省等から特定の職員の再就職の受入れを要請したものだけではなく、国民の目から見て押し付け的なものも含まれていると考えており、例えば、近年摘発されている官製談合等の背景には押し付け的なあっせんがあったであろうと推測している。このように、押し付け的なあっせんが存在することと先の答弁書の事実認識は矛盾するものではない。
六について
御指摘の「トラブルの原因」は、社会保険オンラインシステムの制御プログラムの不具合及び今回の年金記録に係る相談業務の実施のため通常行われない金曜日の延長稼動並びにこれに引き続く土曜日及び日曜日の連続した社会保険オンラインシステムの稼動を行ったことであり、その結果、当該制御プログラムが処理する情報量の多いホストコンピュータ9系統のうち3系統に対し、日曜日のオンライン稼動の命令が正常に行われなかったものである。
今後、当該制御プログラムの不具合を改修することとしているが、それまでの間、今回のような通常の稼動と異なる運用を行う場合には、オンライン接続の処理手順の変更による暫定措置を講ずることとしたほか、事前に正しく稼動することの確認試験を更に徹底して行うこととしている。
御指摘の「費用」については、当該制御プログラムを開発した株式会社エヌ・ティ・ティ・データ自らが暫定措置及びプログラム改修を行うこととしており、このための国としての費用負担は生じない。
七について
社会保険事務所における相談業務については、年金記録に係る相談体制の充実を図るため、全ての社会保険事務所において、御指摘の日以外の休日にも、6月16日及び17日に年金相談を実施したところであり、今後については、現時点では、6月23日、6月24日及び7月14日に開庁を予定している。また、毎週月曜日に加えて他の平日も午後7時まで受付時間を延長したところであり、更なる相談時間帯の拡大については、今後の相談実績等を踏まえて、適切に検討してまいりたい。
八について
臨時の相談窓口の設置については、これまでも、平成19年6月7日に、東京及び大阪の各社会保険事務局において実施したほか、6月8日及び15日には全国の社会保険事務局において、一斉に実施したところである。今後も、全国の社会保険事務局において、6月22日及び29日に一斉に実施するとともに、特に相談件数が多い社会保険事務局においては、可能な限り、これ以外にも、随時、積極的に実施することとしている。当該窓口は、繁華街やターミナル駅等の人が多く集まる場所に設置することとしており、臨時窓口の設置場所・日時については、各社会保険事務局において、報道機関へのプレスリリースやホームページへの掲載等の公報啓発活動等を通じて周知徹底を図ることとしている。
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