北朝鮮の核実験に関する質問主意書
北朝鮮による核実験をめぐる諸状況について、以下質問する。
一 、
今回の北朝鮮による核実験の意図は何か。単なる「外交カード」、いつもの「瀬戸際外交」なのか。それとも「核保有こそが現体制を守る唯一の手段」という周到な国家生き残り戦略、安全保障戦略の中から出てきたものなのか。
二 、
今回の核実験は成功したのか失敗したのか。政府の見解如何。
三 、
再度の核実験の可能性を問う。
四 、
北朝鮮は「核保有国」なのか、未だそうではないのか。
五 、
北朝鮮による核開発は、いつの時点から開始されたと政府は認識しているのか。
六 、
中国は先頃、唐家?(セン)・国務委員を米国に派遣したが、そこで話し合われた会談の内容如何。米国または中国からどういう説明を受けているのか。
七 、
中国の唐家?(セン)・国務委員は先頃訪朝し、金正日総書記と会談したが、総書記による核実験への謝罪、再度の核実験の保留、米国による金融制裁の緩和または解除、六者協議への復帰等の点を含む会談の内容について、中国側からどういう説明を受けているのか。
八 、
北朝鮮に対する中国の政治的、経済的影響力を、政府はどう認識しているか。一説によれば「中国が本気で制裁すれば一週間で北朝鮮は崩壊する」ともいわれているが、その真偽如何。
九 、
最悪の事態を想定して「備えあれば憂いなし」とするのが危機管理の要諦と考えるが、政府は、今後、状況によっては北朝鮮による暴発はあり得ると考え、そうした事態を想定して検討を進めているのか、あるいは100%ないと考え想定していないのか。「暴発」とは、核の使用、ミサイルの発射等による他国への武力行使、あるいは生物化学兵器等によるテロ等をいう。
十 、
結局、北朝鮮の核実験を止めることができなかった「六者協議」の枠組みを、政府はどう評価しているか。北朝鮮にとっては単なる核開発のための「時間稼ぎ機関」ではなかったのか。その有用性についても問う。
十一 、
小泉前首相は、ブッシュ大統領との会談で、一時、米朝直接(二国間)協議を強く働きかけたと報道されているが事実か。また、今後、政府として米朝直接協議を米国に促していく考えはあるか。
右質問する。
北朝鮮の核実験に関する質問主意書に対する 答弁書
内閣衆質165第120号
平成18年11月2日
内閣総理大臣 安倍晋三
衆議院議長 河野洋平殿
衆議院議員江田憲司君提出
北朝鮮の核実験に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員江田憲司君提出
北朝鮮の核実験に関する質問に対する答弁書
一について
お尋ねについては、北朝鮮が極めて閉鎖的な体制をとっていることもあり、
一概にお答えすることは困難である。
二について
我が国がこれまで収集した情報とその分析及び米国や韓国の分析等を我が国独自で慎重に検討・分析した結果、北朝鮮が核実験を行った蓋然性が極めて高いものと判断している。
三について
お尋ねについては、関連情報の収集及び分析に努めているところであるが、これらの情報の詳細を明らかにすることは、我が国の情報の収集及び分析能力を明らかにすることになることから、お答えすることは差し控えたい。
四及び五について
お尋ねについては、北朝鮮が極めて閉鎖的な体制をとっていることもあり、断定的なことは申し上げられないが、一連の北朝鮮の言動を考えれば、以前から、核兵器計画が相当に進んでいる可能性を排除することはできないと認識している。
六について
平成18年10月12日、ブッシュ米国大統領及び唐家?(セン)国務委員が会談し、北朝鮮の核問題等について意見交換したこと、並びに、唐国務委員が同日、ライス米国国務長官及びハドレー米国大統領国家安全保障補佐官とも同問題について意見交換を行ったことを米中双方が明らかにしていると承知している。
米国政府及び中国政府との関係もあり、両政府からどのような説明を受けたかについては、お答えすることは差し控えたい。
七について
お尋ねについては、中国政府との関係もあり、同政府からどのような説明を受けたかについては、お答えすることは差し控えたい。
八について
外務省としては、中国は、北朝鮮に対し、従来より食糧やエネルギーといった分野を中心に、一定規模の支援を行ってきており、一定の影響力を有しているものと認識している。
九について
政府としては、いかなる緊急事態にも対処し得るよう必要な備えをするために、その対処の在り方について、不断の検討を行っている。
十について
政府としては、核問題の平和的・外交的な解決に当たっては、現時点では、六者会合が最も現実的な枠組みと考えている。
十一について
我が国と米国との間の協議の詳細な内容については、米国との関係もあり、お答えすることは差し控えたい。また、今後、政府として米国に対し北朝鮮との協議を促すか否かについては、北朝鮮をめぐる諸問題の解決に向けた我が国の取組に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい。
Copyright(C) Kenji Eda All Rights Reserved.