第7弾 「ホワイトハウス型の官邸」について安倍首相に公開質問状、及び、その答弁書
2006年10月27日 国会活動 | 活動報告 tag: ホワイトハウス型の官邸 , 郵政民営化
「ホワイトハウス型の官邸」に関する質問主意書
安倍政権は、「ホワイトハウス型官邸」を標榜して発足した。橋本政権当時、経済財政諮問会議の創設や首相補佐官制度の拡充、内閣法改正による首相の「基本方針発議権」の明確化等の「官邸機能の強化」を立案した者として、首相補佐官枠5名をはじめてフル活用したこと等は率直に評価したい。ただ、その人事面での運用、今後の方向性等をめぐっては、各省大臣や特存の官邸スタッフとの関係等との二重行政、非効率性等の問題も生じうるので、以下質問する。
一 、
首相補佐官の活用等官邸機能の強化については、「米国のような大統領制ならともかく、我が国のような議院内閣制にはなじまない」との考えがあるが、これに対する反論如何。
二 、
日本の行政機構の最大の問題点は各省庁割拠による「縦割り行政」であり、本来、それを総合調整すべき国家の司令塔たる官邸にも、必要な組織や人員が十分整備されておらず、首相主導の足かせになっていた。そこで、2001年スタートした中央省庁再編では「官邸機能の強化」が図られ、経済財政諮問会議の設置や首相補佐官の増員等で官邸の内実を埋め、首相がリーダーシップを発揮する場合の「知恵袋」とされた。安倍内閣も、同様の認識で「ホワイトハウス型官邸」をめざしていると考えてよいか。
三 、
昨年成立した郵政民営化関連法は、所管の総務省ではなく内閣で作成され、内閣法第四条第二項に定める首相の「基本方針発議権」に基づき閣議に発議され、閣議決定されたと理解してよいか。また、首相のリーダーシップを発揮するため、これまでの、閣議にかける案件は事務次官会議の決定を経る必要があるという慣例、すなわちボトムアップ型の意思決定過程から、内閣の重要政策については「基本方針発議権」に基づくトップダウンの意思決定過程を、安倍内閣としても踏襲していく決意はあるか。
四 、
各省庁大臣と首相補佐官との関係如何。二重行政、屋上屋との批判にどう反論するか。
五 、
より問題となるのは、既存の官邸ライン職員、特に事務の官房副長官、内政、外政、安全保障・危機管理担当の官房副長官補との関係と思料されるが、どう整理するのか。
六 、
「二重行政」「屋上屋」との批判を封じるためには、首相補佐官の権限と責任を明確にする必要がある。
(1)
そのためには、補佐官を単なるスタッフ扱いではなく、各種政策課題毎に置かれた戦略会議(経済財政諮問会議、安全保障会議、教育再生会議等)の事務局長に任命、併任させることが考えられる。事務局長であれば、その下に官僚だけでなく外部人材を多数登用し、自前のスタッフを置くこともできる。そうしてはじめて、首相の意向、しかも微妙なニュアンスまでくみ取って会議を切り盛りしていくことができるのである。山谷えり子補佐官は教育再生会議の事務局長に就任したが、こうした考えに基づくものか。同様に、小池百合子補佐官を国家安全保障会議の、根本匠補佐官を経済財政諮問会議の、それぞれの事務局長に任命する考えはあるか。
(2)
伝えられるところによると、首相補佐官の権限を強化する方向で法改正を検討するとのことだが、その具体的な内容如何。
七 、
以上に加えて、安倍内閣として、首相のリーダーシップの強化、官邸機能の強化について、独自に検討している課題はあるか。あればその内容如何。
右質問する。
「ホワイトハウス型の官邸」に関する質問主意書に対する 答弁書
内閣衆質165第119号
平成18年11月2日
内閣総理大臣 安倍晋三
衆議院議長 河野洋平殿
衆議院議員江田憲司君提出
「ホワイトハウス型の官邸」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員江田憲司君提出
「ホワイトハウス型の官邸」に関する質問に対する答弁書
一について
御指摘の「考え」については、その趣旨が必ずしも明らかでないが、世界のグローバル化が進む中で、時代の変化に迅速かつ的確に対応した政策決定を行うためには、大統領制のみならず議院内閣制においても政治のリーダーシップの下で政策決定を行うことが不可欠であり、内閣総理大臣補佐官の活用を始め内閣総理大臣を支えるスタッフを一層充実させることにより、内閣総理大臣官邸の機能(以下「官邸機能」という。)の強化を図ることが重要であると考える。
二について
政府としては、中央省庁等改革基本法(平成10年法律第103号)第4条に定める中央省庁等改革の基本方針の趣旨も踏まえ、更なる官邸機能の強化に取り組んでいるところである。
三について
郵政民営化関連6法案については、内閣官房においてこれを作成し、内閣総理大臣が、総務大臣及び財務大臣と共同で、内閣法(昭和22年法律第5号)第4条第3項に基づき閣議を求めたものである。
また、内閣総理大臣がリーダーシップを発揮するためには、時代の変化に迅速かつ的確に対応した政策決定を行うことができるよう官邸機能の強化を図ることが重要であると考える。
四及び五について
内閣総理大臣補佐官の職務は、内閣法第19条第2項に規定するように、内閣総理大臣に対する補佐的なものであり、ご指摘のような批判は当たらないと考える。
六の(1)について
山谷内閣総理大臣補佐官は、教育再生を担当していることから教育再生会議の事務局長となっているところであり、今般任命された他の内閣総理大臣補佐官についても、今後とも、それぞれの担当に応じた形で活用を図っていく考えである。
六の(2)及び七について
内閣総理大臣補佐官を含めた官邸機能の在り方等については、現在行っている取組の状況も踏まえた上で、今後検討していく必要があるものと考える。
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