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江田けんじ 衆議院議員 神奈川8区選出(横浜市青葉区・緑区・都筑区)

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第2弾 耐震強度偽装事件について小泉首相へ公開質問状

2006年2月17日 国会活動 | 活動報告 tag: , ,

 耐震強度の偽装事件を受けて、その真相究明や居住者や周辺住民の安全確保等を図ることはもちろん重要であるが、この事件を教訓に、建築行政を今後見直していくことも喫緊の課題である。このような視点から以下質問する。

一 、
 住宅品質確保法(2000年4月施行)により、10年間の瑕疵担保責任が義務づけられたとはいえ、その売り主等に資力がなければ、今回の事件被害者のように、十分な被害額の賠償が受けられない。この点で、銀行が破たんした場合の預金払い戻し等のための預金保険機構のように、関係業界全体で何らかの形で資金を積み立て、あるいは新たな保険を掛け、今回のような場合に十全の補償ができる枠組みを構築していくべきではないか。既存制度の拡充も含め、政府の方針を問う。
二 、
 今回の事件では「指定確認検査機関」のずさんな検査実態も浮き彫りにされた。国土交通省は、指定した民間検査機関すべてに対し、立ち入り検査を実施とのことだが、現在までの検査結果如何。

三 、
 「指定確認検査機関」については、徹底的にその審査の実態を確かめ、不適格な機関の指定取消等の厳格な措置を講じていただきたいが、一方で、単なる規制の強化や厳罰にとどまらず、検査機関の健全な育成、すなわち財政基盤や審査能力の向上にも配意すべきだと考える。よって以下質問する。
 
(1)
 現在の建築確認の申請手数料の額は適正と考えているか。中堅どころのマンション一件当たり十五万円程度の手数料では、綿密な審査より、数をこなして採算をとろうという検査機関も出てくる。人手も時間もかかる構造計算、設計等の審査のため、必要十分な手数料体系を再構築すべきではないか。
(2)
 そもそも建物の設計費等のソフトウェアに係るコストが、建設費等のハードウェア面のそれに比し「おまけ同然」(建設費の3~5%程度)の扱いをされている業界の慣行にも、今回の事件の遠因があると考える。一昔前、コンピューターのソフトウェアにも同様の問題があったが、ハードウェアとソフトウェアの「アンバンドリング(unbandling)」を含め、こうした業界慣行を是正し、設計、特に構造設計に適正な報酬が支払われるよう、行政としても対応していくべきではないか。
(3)
 指定確認検査機関の建築確認審査に当たっては、問題のある会社や設計士の情報(いわゆるブラックリスト)をはじめとした不審情報等の検査機関間の相互流通、情報の共有化のシステムが必要ではないか。また、NPO法人等が容易に審査書類(特に構造計算関係)を閲覧できる体制づくり等第三者がチェックできる仕組みを導入すべきではないか。
(4)
 構造計算の大臣認定プログラムが百以上あるというが、多すぎる公認プログラムの存在が、第三者からのチェックを困難化し、容易に偽装や偽造等を可能としている要因となっているのではないか。公認プログラム制度の改善策如何。

四 、
 現在、新耐震基準が導入された昭和56年以前に建築された「既存不適格住宅」(耐震性が不十分とみられる住宅)は、日本全国で1150万戸存在するという。国土交通省は1月25日、改正耐震改修促進法の施行に向け、今後10年間で、1.住宅は150万~200万戸を耐震診断し100万戸を耐震改修する、2.学校や病院など多数が利用する建物は5万棟を診断し3万棟改修する等を通じて、2015年までに「震度6強または7の大規模地震でも倒壊しない」とする建築物の耐震化率を、現状の約75%から90%に引き上げる数値目標を盛り込んだ基本方針を決定したが、
 
(1)
 目標値を100%ではなく90%とした理由は何か。あとの10%の「既存不適格住宅」の耐震改修等はどう進めていくのか。
(2)
 「改修」だけでなく「建て替え」も含め、具体的に、どういう政策的枠組みの下で、どの程度の国費(税金)を使って、この目標値を達成していくのか。これに呼応した都道府県の施策も含めて、実効性ある政策手段を提示されたい。

    右質問する。


耐震強度偽装事件に関する質問主意書に対する 答弁書

内閣衆質164 第76号
平成18年2月24日
内閣総理大臣 小泉純一郎
衆議院議長 河野洋平殿
衆議院議員江田憲司君提出
耐震強度偽装事件に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

衆議院議員江田憲司君提出
耐震強度偽装事件に関する質問に対する答弁書

一について
 現在、社会資本整備審議会において、住宅の購入者等の保護の観点から、住宅の売主等の瑕疵担保責任が確実に果たされるための措置について検討を行っているところである。

二について
 今回の構造計算書の偽装問題に係る指定確認検査機関(建築基準法(昭和25年法律代201号)第77条の21第1項に規定する指定確認検査機関をいう。以下同じ。)への立入検査の結果は、平成17年12月28日に国土交通省が公表した「指定確認検査機関等への立入検査の結果について」及び平成18年1月26日に同省が公表した「指定確認検査機関への立入検査結果(追加)について」のとおりである。なお、これあの資料については、同省のホームページに掲載しているところである。

三の(1)について
 指定確認検査機関が行う確認検査(建築基準法第77条の18第1項に規定する確認検査をいう。以下同じ。)の業務に関する申請手続料については、各指定確認検査機関において、確認検査の業務の適確な実施のために必要な額を定めているものと承知している。

三の(2)について
 現在、社会資本整備審議会においては、構造計算書の偽装問題の再発防止の観点から、設計及び工事監理の報酬基準の見直しを引き続き検討すべき課題の一つと考えているところである。

三の(3)について
 現在、社会資本整備審議会において、免許の取消し、業務の停止等の処分を受けた建築士の氏名等の情報開示について検討を行っているところである。
 また、現在、同審議会において、建築主事(建築基準法第4条第1項に規定する建築主事をいう。)又は指定確認検査機関が同法第6条第1項又は第6条の2第1項の確認を行う場合に、第三者機関における構造計算書の内容の審査を義務付けること等について検討を行っているところである。

三の(4)について
 現在、社会資本整備審議会において、構造計算プログラムの入出力情報の標準化等について検討を行っているところである。

四の(1)について
 平成17年3月に開催された中央防災会議において、今後十年間で被害想定に基づく死者数や経済被害額を半減させることを目標とする東海地震の地震防災戦略及び東南海・南海地震の地震防災戦略が決定され、この目標を達成するために必要かつ実現可能な目標として、建築物の耐震診断及び耐震改修の促進を図るための基本的な方針(平成18年国土交通省告示第184号)において、平成27年までに住宅の耐震化率を少なくとも9割とすることを定めたところである。また、御指摘の「あとの10%の「既存不適格住宅」」についても、住宅の所有者等に対する啓発及び知識の普及や必要な支援の実施により引き続き耐震化の促進に努めてまいりたい。

四の(2)について
 建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律(平成17年法律第120号)において、都道府県耐震改修促進計画の策定や建築物の所有者等に対する指導等の強化等について規定された。また、平成18年度予算案において、住宅市街地総合整備に係る経費を計上しており、この内数として、建築物の耐震診断及び耐震改修を促進するための経費を130億円としているところである。さらに、第164国会に提出した所得税法等の一部を改正する等の法律案等において、耐震改修促進税制を創設することとしている。

第1弾 議員年金の偽装廃止法案について小泉首相に公開質問状
第3弾 普天間飛行場の移設先についての質問主意書