江田ウィメンズクラブ青葉主催マリオネットコンサートにて
阿木燿子さんと対談
日時：2008年2月29日 場所：フィリアホール
会場には笑い声が溢れる
江田 阿木さんといえば、作詞家であり、作家であり、映画監督でありと、本当に多才であり、美しくていらっしゃいますが、まずはその「美」の秘訣を。
阿木 良い夫を（笑）。でもあんまり美容とか年齢を気にしないほうがいいのではないでしょうか。好きなことをしているといいのでは。
江田 いつも自然体ですよね。
阿木 そうですか？
江田 肩に力が入っていない感じで。
阿木 肩こりますよ（笑）。
江田 今回、対談させていただくというので私も勉強させていただいたんですが、阿木さんは１日に50種類以上の野菜を食べられるとか。
阿木 それはそうですね。まぁ野菜だけでなく、品目数でいうと最低50種類は食べていますね。数えるのが趣味なんです（笑）。
江田 そんなに沢山の野菜を買ってどうするんですか？冷蔵庫はいくつあるんですか？
阿木 冷蔵庫は合わせて3台半あります（笑）大きいのが3台と、小さいのが1台。
江田 最近は野菜ソムリエとかがあるみたいですね。
阿木 私もチャレンジしてみようかしら。
江田 料理はされるんですか？
阿木 私の料理はビジュアル系なんです。ブロコッリーを森に見立ててみたり。
江田 味はどうですか（笑）？
阿木 主人はもう30数年食べ続けて慣れてくれています（笑）。
江田 そのご主人は皆さんご存知の宇崎竜童さんですが、何か恐い、イカツいイメージが強いんですが、実際はどうなんでしょう？
阿木 全然逆です。ホントに気のいい、明るい、朗らかな、気難しいところの全く無い人です。江田さんはお家では？
江田 え！？ まあ尻に敷かれていることはないですが、女房に合わせています。
阿木 根っからの楽天家とか？
江田 そうなんです。私は落選しても当選しても同じような顔をしているので、あまり同情を引かない、それでまた落選するんですよ（笑）ご主人様とは運命的な出会いだったそうですね？
阿木 私は女子高育ちで、あまり男の子を見たことが無かったんですね。大学初日の入学式が終わって校門を出たところで、彼に声をかけられたんです。
江田 第一印象はどうだったんですか？
阿木 あの当時明治大学のバンカラな校風の中で、彼は東京の世田谷の人だったので、当時はJUNとかVANとか流行っている頃で、彼は今で言うシティーボーイ風で「かっこいい人だな」と思ったんです。
江田 今でもかっこいいですよね。矢沢永吉か、宇崎竜童かといった感じで。
阿木 いや、絶対ウチのほうが（笑）。
江田 失礼しました（笑）。そこで、今日も会場に沢山ご夫婦がいらっしゃっていますが、夫婦円満の秘訣は？ 最近は年金が分割できるということで熟年離婚もはやっていますが。
阿木 数日前に友人の離婚の相談を7時間くらい受けたんですが、私がアドバイス的に言ったのは、「2人にはまだ選択肢があるの？」と。「私には無い」と。私はこの人と添い遂げようと思って結婚し、他の人との人生は考えられないので、もうここまできたら諦めたほうがいいんじゃないのと（笑）。でも、どこか深いレベルで覚悟みたいなものがないと人生が半端になると思うんですね。ですからたった今自分に与えられているものを大切にして磨き、完成させることが大事なんではないかと。たまたまご縁があった2人が別れるのは、「これまでの何十年は何だったの？」って思うわって。そしたら今日友達から電話があって「考え直したわ」って（笑）。
江田 ご主人も作曲、映画、舞台と活躍されていらっしゃいますが、ご家庭で共有する時間ってあるんですか？
阿木 結構ありますよ。かなりの時間、寝る時間を削ったりもしますが、ちょっとしたことでも一緒に喜びたいとか、感じたいとかいう思いがあるので。主人に私がしてあげられることって、料理もありますが、一緒に映画を観たり、ビデオを観たりすることなんです。
江田 お二人の雰囲気をTVなどで見ていると、ホントにいいご夫婦だなと思います。数々の作品をご夫妻でヒットさせていらっしゃいますが、ご夫妻での共同作業はどのように進めるんですか？詞が先なんですか？
阿木 初期のころは詞が95％くらい先でした。最近は、曲が先のことも増えてます。山口百恵さんの作品は100％詞が先でした。たとえば「ばかにしないでよ」なんかはよくメロディーをつけてくれたなと思います。実際のところ詞が先と言っても、二人で相談しながら共同作業でできるんですね。普通、有名な作曲家の方にお願いすると、曲の修正なんて依頼出来ないですが、彼なら「ここをこうして」って言える。
江田 そうですよね。やはりその共同作業が夫婦生活に良い影響を。
阿木 そうですねぇ。私たち夫婦は変則的だと思うんですけど、彼が「あなたと結婚して良かった」と泣いてくれた日が何回かあるんですが・・・。
江田 何度もあるんですか!?（笑）
阿木 それは私が感動する詞を書いた時のみなんですけど（笑）「私は詞を書くマシーンじゃない」と思うんですけど。でも、共同で作品を作るっていうのは我々の人生をクリエイトする大きな核ですね。
江田 じつは私、テリー伊藤さんと番組をご一緒していまして、テリーさんの書いた『天才ノート』という本をもらったんですが、その中に阿木さんについて書かれた章があります。そこには「51対49の天才」とあるんですね。「51対49の天才」って何ですか？
阿木 何でしたっけねぇ、忘れちゃいました（笑）そんなこと申しあげたんでしょうかね？
江田 ７～８年前みたいですよ（笑）テリーさんが「いじめはあるし、環境破壊は進むし、景気は良くならないし、今の時代ろくでもないですよ」という話をした時に阿木さんが「そんなことないわよ」と。覚えてないですか？（笑）
阿木 覚えてないですけど（笑）。
江田 じゃぁ私が解説を（笑）。「今の方が良いんだ」と阿木さんが仰ったと。「じゃぁテリーさんは昔に戻りたいの？家には車もエアコンもありませんよ。海外旅行にも簡単に行けませんよ。パソコンや携帯電話もありませんよ。そんな生活したいの？」と仰ったんですね。それで「テリーさん、悪いことが49個あっても、良いことが51個あったら私は幸せに生きていけます」と仰ったらしいですよ。
阿木 あらなんだ、そんなこと言ったんですね（笑）。私はすごく楽観主義者なんですけれども、個人的に楽観主義者って方は沢山いらっしゃると思うんですね。でも時代とか、たった今の社会とかに対する楽観主義者の方って少ないんじゃないかと思うんですね。人の心が荒廃してきたとか、社会が良くなくなってきているとか、私は全然そうは思わないんですね。人間とか社会とか時代とか、進化の一過程にしかないと思うんですね。人間は浅はかでバカなようでいても、最終的な岐路に立った時に、必ず正しいほうに棒を倒すんじゃないかと思うんです。中世の魔女裁判のあった頃と比べたら、人間は遥かに人道的になっていると思いますし、人類として成長しているという信じ方をしているんです。
江田 前向きですね（笑）私も楽観主義なんですけど、運命論者でもあるんです。ただ、運命論者と言っても運命に流されるんではなくてですね、その時々に自分のできることに全力で取組めば、自ずから道は開けてくるのではないか、といった運命論者なんですが。
阿木 私もそう思います。
江田 で、一つの過程なんだと、落選も（笑）。じつは私は、落選して当選して、落選して当選しているんです。今はたまたま当選しているだけなんです（笑）。だけどこれも一つのプロセスで、落選したけど全力でやったから必ず道は開けると思っていたんですね。これが私のストレスを溜めない、悩まない一番の方法なんですが、いかがですかね？（笑）
阿木 そう思います。何か自分にとって心地よくないことがあっても、それは通過点だと考えながらも、その時々が全てだと思いながらその瞬間瞬間を燃焼し尽くせば、また次が生まれて。私は人間を信じていて性善説なんです。49対51のバランスで、嫌なことより良いことを、きっとみんなが選択するんじゃないかと思うんです。
江田 じゃあ阿木さんもストレスとか悩みとかは無い方ですね。
阿木 そうですね、あまり無いですね。去年から口癖がありまして「あぁ楽しい」って言うんです。歯を磨いた後も、お茶を飲んでいるときも、「あぁ楽しい」って独り言でも言うんです（笑）。で去年の秋ぐらいから自然に口癖が変わったんですが、ふいについて出たのが「あぁめでたい」って（笑）今になっては主人も「あぁめでたい」って言うようになって、出かけるときも、帰ってきたときも「あぁめでたい」って（笑）。
江田 皆さんどう思われます（笑）でも、良いことだけを前向きに考えたりしていると、それを引き寄せるようですね。
阿木 その通りだと思います。確信を強くもって行動することが大事だと思います。
江田 阿木さんのステキなホームページのタイトルが「ちょっと、一福しましょ」なんですよね。「一服」ではなく「一福」。そして「人はちょっとしたことで幸せになれるもの」とあるんですが、本当に今の話の通りだなと思いました。私みたいな下衆は「表向きはそう言っていても、内心はどうか分からない」なんて思ってしまうんですが（笑）。でもこうしてお話を伺って、よく「男は40歳を過ぎたら自分の顔に責任を持て」とか言われて、顔を見ればこれまでの人生が分かるといわれますが、女性だって立ち居振る舞い、佇まいにやはり出てくると思うんですね。今日はホントに率直な自然体のお話をいただけて、ありがとうございました。これを機会に是非、今後ともよろしくお願い致します。
阿木 どうもありがとうございました。
阿木燿子さんと、マリオネットのお2人と
