2014年2月12日(水) 、衆議院予算委員会にて、質問に立ちました。
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■全体
昨日は予算委質疑。幹事長更迭が昨年夏で、それ以来、国会質問には立たせてもらえなかったので、ほぼ一年ぶりの登板。ただ案外、そんなブランクは感じなかった。
まずは、アベノミクスの「第一の矢」(大胆な金融緩和)が効を奏し、株も上がり、円高も是正され、景気も上向き始めた、政治は結果責任であり率直に評価すると、安倍首相を持ちあげながら、「第二の矢」(機動的な財政出動)は既に折れつつあり、「第三の矢」(成長戦略)は飛んでいない、という流れに沿って質問。
45分間は長いようで短い。最後の「農政改革」(減反廃止と農地集約、株式会社参入等)も消化不良、用意していた「原発コスト問題」には入れず。またの機会にしよう。
■ドーマーの定理
予算委でとりあげた「ドーマーの定理」。これは債務(借金)管理の考え方で、GDP(国の支払い能力)に対し、その債務(借金)比率を低減させるための財政方程式だ。
この場合、名目成長率が名目金利(国債の長期金利)を上回れば、借金残高の対GDP比率は下がる、すなわち、借金は維持可能になるというわけ。
1,000兆円の借金を消費増税で賄おうとすれば400%分。だからこそ、増税ではなく、「経済成長」が原動力となってこそ、長期的に借金は返済できていく。小泉政権時、28兆円あった基礎的財政収支の赤字は2007年には6兆円に減った。増税してない。名目1.1%平均の成長があったからだ。クリントン政権が3,000億ドルの財政赤字を98年に解消したのも5.7%の名目成長があったから。
安倍首相は、来年秋からの10%増税を今年中に決断と言っているが、是非、こうしたマクロの借金管理、財政再建の考え方も考慮に入れてやってほしい。
<<最近3年間の名目成長率と名目金利>>
24年度 ▲0.2%(0.84%) マイナス成長で名目金利が上回る→×
25年度 2.5%(0.68%) 名目成長が金利を上回る→〇
26年度予想 3.3%(1.4%) 引き続き上回る→〇
ただし、本当に3.3%成長できる?ここが肝心。
■「第二の矢」(財政出動)は折れつつある(①公共事業)
ここ数年間、公共事業をすさまじい勢いで積み増しているが、もはや経済成長、景気回復への効果が薄くなってきている。ご覧のように未消化額も勢いよく増えてきているのだ。景気が底の時にカンフル剤として公共事業を活用するのもありだが、それも限度があるということだ。
被災地では3割弱は入札不調。資材・人材不足、コスト上昇で全国的に波及。繰越額が年々増えており「入札を2次、3次とかけても応募がない案件も多い」(国交省幹部)。貴重な税金をせっかく使うなら、公共事業ではなく、法人減税、投資、技術革新等へ一円でも多く振り向けなければだめだ。
■「第二の矢」(財政出動)は折れつつある(②基金は即効性なし、かつ使い残し)
麻生政権時、平成21年度補正予算で多用された基金制度。46もの基金に約4兆3000億円の税金が投入された。この時も、結局2兆円を使い残したと会計検査院に指摘されたが、これに味をしめたか、平成24年度までに、なんと161もの基金が新設された。税金投入も総額5兆円!
しかし、昨年10月、再び会計検査院が調査に入ったところ、以下のように、執行率50%未満が46基金。全体の約4割を占め、75%未満が67基金、全体の約6割も占めた。これでは景気対策どころではない。かつ、貴重な税金が死蔵されている!この一般会計以外の、復興予算でも基金事業は7割使い残しというのが会計検査院調べ(13年10月31日)だ。
景気対策で額を積め積めと政治に言われて、今さら知恵もない、時間がなくてニーズの調査もできない官僚が、安易な基金に額を積んだというのが実情だ。単なる「やりました」という「言い訳程度」の景気対策。そのしっぺ返しをくらうのは、他でもない安倍首相自身だろう。そして、国民にそのツケが回る。
(注)基金に一旦予算を積むと多年度間で使えるのがミソ。また、予算を積んだ時点で中央省庁にとっては予算執行率100%。ただし、以上のように使い残しが出て、そのお金で天下り官僚の人件費事務費等が出ているいる場合が多い。
さあ、そこでカギとなるのが成長戦略(第三の矢)だが、安倍首相のブレイン(内閣参与)の浜田宏一イエール大学名誉教授がつけた点数は「E評価」。ちなみにFは落第。ギリギリの線だ。
教授も茶目っけがあって、第一の矢はA評価、第二の矢はB評価、そして第三の矢はE評価。あわせてABE、安倍さんというわけだ。昨日の予算委質疑でも、安倍首相自ら、その意味あいを披露してくれた。その場はどっと沸き、自民党席からは拍手喝さいだったが、「そんな喜んでいる場合じゃないだろう!」。
将来を切り拓く成長産業は、電力・エネルギー、農業、医療・福祉・子育て等だが、こうした分野は規制でがんじがらめ、新規参入が自由にできないのだ。だからこそ規制改革で、農業への株式会社の参入、発送電分離等の電力自由化、医療や福祉、子育てへの民間活力の導入を図り、実体経済を動かしていく必要がある。
経済成長=資本+労働+全要素生産性(技術革新)。この資本ストック、設備投資を活性化させるには成長分野への新規参入しかない。
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