2012年6月7日(木)、江田けんじが社会保障・税特別委員会にて質問に立ちました。
(社会保障・税特別委員会 平成24年6月7日)
【動画】社会保障・税特別委員会の質問の様子は「衆議院TV」よりご覧いただけます。
①民自公「密室談合協議」
報道によれば、3党で消費増税法案の修正協議がされるという。自民党は「最低保障年金制度」、「後期高齢者医療
制度廃止」を撤回するようにと求めている。これらの政策は2009年の政権交代選挙で民主党が掲げたマニフェストの
中でも核の部分である。協議の結果によってはこのマニフェストの「心臓部分」も撤回するのか。また、修正協議が
整わない場合、消費増税法案の採決はどうするのか
②財務省の「どんぶり勘定」
財務省がこの委員会(社会保障・税 特別委)に提出した試算では消費税を5%から10%に引き上げると13.5兆円の税収が増えるとされている。しかし、消費税を3%から5%に引き上げて現在まで、消費税1%の税収は1年あたりの平均で
2.5兆円である。前回の特別委でも質問したが税収13.5兆円増の根拠は消費税1%あたり2.7兆円で、それが5%だから
13.5兆円の増収となるということだった。しかし、消費税1%あたり2.7兆円の税収は未だかつて入ったことのない数字だ。
財務省は「名目成長1.6%を達成すれば無理な数字ではない」とか「政策効果を考慮すればこの額の税収はすでに
達成している」と色々いい加減なことを言うが、「だったら法案にしっかりと書き込め!」と言いたい。未だかつてない
数字を並べて試算を出すなどあまりにもいい加減なのではないか
③伏魔殿「国債整理基金」は即刻廃止せよ!!
まず、国が発行する国債は60年で償還することになっている。いわゆる「60年償還ルール」である。ではなぜ、60年
で償還するのか。それは、公共事業の便益(橋や建物を建設し、老朽化して取り壊すまで)が60年であるとされて
いるからである。
昨年、震災後の予算委員会で何度も質問したが、国債を償還するための基金「国債整理基金」には60年償還ルールに基づき毎年機械的に国債の元本部分×1.6【※1】の額が繰り入れられている。
【※1】 100%(償還する総額) ÷ 60(年) = 約1.6
60年で償還するのは公共事業の便益が60年だからというが、堅牢な高速道路は100年であったり、木造の建築物は
30年ももたない。要は、60年というのは「えいや」とは言わないが、擬制、フィクションでしかない。また、現在、年間の
新規国債発行額は約44兆円だが、建設国債はその内たったの約5兆円である。よって国債の大部分を占める赤字国債(特例公債)にこの60年償還ルールを適用するのはおかしい。ことほど左様に、すでに60年償還ルール論理的に破たん
しているのだ。それを後生大事に守って、この国家危急の時に一円も使わせないという方がおかしい。また、60年償還
ルールが破たんしているならば、これに基づいている国債整理基金による減債制度も即刻廃止すべきだ。
国債整理基金には10兆円もの積立金が残っている。いわば使われることのない「タンス預金」である。今は震災や原発事故で1円でもお金がほしい国難の時に、なぜ、このようなタンス預金を使わないのか。使えるお金があるのに、
それを使わずして国民に「増税」という重い負担をお願いするとは一体どういうことなのか。
財務省は「国債整理基金を使えばマーケットからの信用がなくなる」というが、こんな外国投資家も理解できないような伏魔殿を廃止してもマーケットからの信用がなくなるなど絶対にありえない。現実に過去11回にわたり基金の余剰金を
取り崩しているのだ。
加えて、基金に10兆円もの残高があるのは若い国債(発行されたばかりで償還がまだかなり先の国債)が大部分を
占めるからだ。償還が迫った国債の額は簡単に算出可能だ。それに基づいて毎年償還する金額を予算で措置すれば
いい。元本の総額を基に毎年機械的に基金に繰り入れるのはおかしいと言っている。「元本を払うな、利子分を払うな」
とは言っていない。国債は滞りなく償還するのだから、マーケットからの信用を失うということは絶対にありえない。
最後に安住財務大臣は「歳出削減に取り組むために基金は廃止できない」というが、基金を廃止すると、基金の残高
10兆円分の新規国債発行額が減ることになる。また、大臣は「基金の廃止は慎重に検討して大胆に実行したい」と
答弁があったが、是非、大胆に実行してほしい。以上で質問を終わりにする。
参考
【今週の直言】増税なしでも20兆円は明日にでも出せる! ・・・国債整理基金への繰入れ停止で10兆円
※江田けんじの拙著「財務省のマインドコントロール」はこちら
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